今週はこう動く! マーケット羅針盤

2012/12/05 17:32「普通の円安」と「悪い円安」の境界線

先日セミナーでお客様から、「止まらない円安が始まっているのでしょうか?」といったご質問をいただきました。そこで今回は、「普通の円安」と円暴落、「悪い円安」の違いについて考えて見たいと思います。
 
◆ドル円と購買力平価の関係
≪資料1≫は、1988年以降でこれまで4回あったドル高・円安トレンドについてまとめたものです。これを見ると、円安の終点は、1990年の160円、1998年の147円、2002年の135円、そして2007年の124円でした。
 
≪資料1≫「ドル円の上昇トレンド時の騰落率・期間(1988年以降)」 
 
  以上の4つの円安終点に共通していたのは、日米卸売物価基準の購買力平価(以下、購買力平価)とほぼ一致していたということです。≪資料2≫のように、過去4回のドル高・円安は、購買力平価前後まで戻ったところで終わっていたわけです。その意味では、購買力平価前後までのドル高・円安は「普通」ということになるのではないでしょうか。
 
ちなみに、足元の購買力平価は95円程度です。≪資料2≫を見ると、1980年代後半以降のドル高・円安で、ドルが購買力平価を最も上回ったのは、2007年6月の12%でした。これを今回に当てはめると100円台後半程度までのドル高・円安は「普通」ということではないでしょうか。
 
ちなみに、1980年代後半以前には、購買力平価を大きくドルが上回った局面がありました。その最大記録は、1982年10月の28%でした。当時は、米国のインフレを退治するべく、FRBが政策金利FFレートを10%以上に引き上げるといった異例の高金利政策に動いた局面でした。
 
その中で起こった異常なドル高において、ドルは購買力平価を3割近くも上回るところとなったわけです。今回それを当てはめると120円程度のドル高・円安といった計算になります。
 
以上のように見てくると、足元95円程度の購買力平価を少し上回る、100-110円程度のドル高・円安は、むしろ「普通のドル高」の中で起こるものであり、それを大きく超えて、120円を大きく超えるようなドル高・円安になるなら、購買力平価との関係で説明できないといった意味で、「悪い円安」を警戒する必要が出てくるかもしれません。(了)
 
≪資料2≫「ドル円・購買力平価(生産者物価・消費者物価)」(1973/3〜現在)
 
  (出所:Bloomberg)

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