今週はこう動く! マーケット羅針盤

2012/11/26 13:25豪ドル「80―100円」時代が始まったのか

◆要約◆
・豪ドルの変動範囲はここ数年の70―90円から80-100円への移行が始まった可能性も。
・中国の景況悪化一巡、米ドル高・円安の進行などが鍵を握る。
 
1.豪ドル利下げ局面終了後に何が起こるか
 
円全面安気味の展開が広がる中で、FX投資家に人気の高い豪ドルも、3月に記録した88円半ばの高値を視野に入れた動きになってきました。そこで今回は、当面の豪ドルの見通しについて考えて見たいと思います。
結論的にいうと、豪ドルは3月に88円で天井を打った局面より、最近は上昇力に余裕があるかもしれないと思っています。最大の要因は中国要因です。これに、ドル高・円安が中期的に一段と広がる要因も加わるようなら、豪ドルの変動範囲は、ここ数年の70―90円から80-100円への移行が始まっている可能性もあるのではないでしょうか。
 
豪ドルが88円半ばで今年の高値を付けたのは3月中旬のことでした。これは、米ドルが84円台で高値を付けたタイミングとほぼ同じ頃です。つまり、全体的な円安が一巡したタイミングで、豪ドル高・円安も一段落となったわけです。
ところでもう一つ、豪ドル高が3月に一段落した要因として重要なのはやはり中国要因だったでしょう。≪資料1≫のように、豪州の政策金利は中国の景気でかなり説明できるものです。そんな中国の景気が3―4月で頭打ちとなり、悪化に向かう中で、豪州の中央銀行であるRBAは4月の4.25%から11月現在で3.25%まで1%もの大幅利下げを行ったわけです。

ただ≪資料1≫のように、そんな中国の景況感悪化は、ここに来て歯止めがかかり始めています。中国の景況感悪化が一巡すると、さらなる利下げの可能性は少ないでしょう。そもそも≪資料2≫のように、RBAの政策金利と密接な関係のある豪州失業率で見ると、すでにさらなる利下げの可能性はかなり低いようです。

RBAの政策金利は、いわゆるリーマンショックなど「100年に一度の危機」の中で、2009年4月に3%まで引き下げられました。現在は、それに近いところまですでに政策金利は低下したわけです。それをもたらしたのは、これまで見てきたことからすると中国要因が大きかったと思います。そんな中国の景況感悪化が一巡したなら、RBAのさらなる利下げ余地は限られるということになるでしょう。
 
≪資料1≫

≪資料2≫
 
「100年に一度の危機」での利下げ局面が2009年4月で終ったRBAは、その半年後には利上げへ転換しました。そして約1年で1%の大幅利上げを行ったのです。それは、先進国の中では異例の金融政策急転換となったわけです。

豪州の場合はこのように、利下げ局面終了となると、今度は一転して利上げへの転換も、日米欧などでは想像できないくらい早いペースで視野に入ってくる可能性があります。それは豪ドルの一段高を後押しする要因となるでしょう。

≪資料3≫は、豪ドル円の5年移動平均線からのかい離率です。豪ドル円の5年線は足元82円程度ですから、豪ドルは中長期的にほぼニュートラルな位置にあるといえそうです。その意味では、今後仮に90円を越えて豪ドル高が進むなら、それは豪ドルが上がり過ぎを拡大する中で起こる現象ということになるでしょう。
 
≪資料3≫
 
≪資料3≫からすると、豪ドルの5年線からのかい離率はプラス30%程度が、上がり過ぎの限界圏となってきました。その意味では、100円を大きく超える豪ドル高は上がり過ぎの限界に達しつつある可能性があるものとして警戒する必要はあるでしょうが、逆にいえばそこまでは上がり過ぎを拡大する形での豪ドル高もありうるものでしょう。
 
2.株高・金利低下「バブル」と豪ドルの関係
 
この数ヶ月の豪ドルの動きで興味深いことの一つに、≪資料4≫のように米株、NYダウとの相関関係が大きく崩れてきたということがあります。これは、≪資料5≫のように、米株がそもそも景気で説明できる範囲を大きく超えた上昇、つまり「バブル」気味になっていたため、それに豪ドル高が追随しなくなったということがあつたのではないでしょうか。
 
≪資料4≫
 
ではなぜ米株高「バブル」に豪ドルは追随しなくなったのか。それは一方で、豪州も含めた金利は、景気で説明できないほどの低下、つまり「金利低下バブル」になっていたからではないでしょうか≪資料6参照≫。資源国通貨として、リスク資産の一つである豪ドルも、金利低下傾向が続く中での「米株高バブル」への追随は限界があったということです。


以上からすると、米株高バブルの破裂で株価がある程度下落となっても、それは一方で「金利低下バブル」の破裂による金利上昇をもたらすと考えられることから、豪ドルも株価下落より金利上昇の影響で、下がるというよりはむしろ上がってもおかしくないのではないでしょうか。(了)
 
≪資料5≫

≪資料6≫
 

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