今週はこう動く! マーケット羅針盤

2012/11/12 14:04豪ドル「オバマ・ショック」の意外なシナリオ

◆要約◆
・じつは過去1ヶ月米株安が続く中、豪ドルはむしろ堅調に推移してきた。
・これは現在の金融市場のメイン・シナリオが、オバマ・ショックのリスクオフではなく、米金利低下・米株高「バブル破裂」の可能性を示しているのではないか。
 
 
1.リスクオン・オフで説明できなくなった8月以降の豪ドル
 
米大統領選挙でオバマ再選が決まった後の株安、金利低下が目立っています。このため、いわゆる「財政の崖」を懸念したリスクオフ相場になっているとの説明が多いようです。
 
ただ、米株安自体は、オバマ再選が決まった後から始まったものではありません。≪資料1≫のように、NYダウは10月初めに当面の高値を付けた形になっているので、要するに過去1ヶ月下落相場が展開し、その中で6%程度の下落となったのです。
 
≪資料1≫「豪ドル円とNYダウ」(2012/1〜現在)
  
  (出所:Bloomberg)
 
ところで≪資料1≫で注目されるのは、そんな米株と本来は同じように動く傾向の強い豪ドル円が、むしろ正反対といっても良いような展開になってきたということです(※1)。10月初めから展開してきた代表的なリスク資産である米株の下落に象徴されるリスクオフ相場の中で、為替の代表的なリスク資産である豪ドルは堅調に推移してきたのです。
(※1:10/1〜現在:相関r =-0.712)
  
なぜ過去一ヶ月の株安の中で、豪ドルは堅調な展開となったか。これをある程度うまく説明できるのは≪資料2≫のように豪金利でした。10月初めから11月にかけて豪ドル高・円安となった動きは、豪州の金利上昇に伴う豪日金利差豪ドル優位拡大が一因だったことがわかるでしょう。
 
≪資料2≫「豪ドル円と豪日金利差」(2012/1〜現在)
  
(出所:Bloomberg)
 
以上のように、この一ヶ月展開してきたのは豪金利上昇、株安、豪ドル高でした。それは、オバマ再選後の株安、米金利低下、豪ドル下落といったリスクオフと呼ばれる組み合わせとは違って、米金利の動きに株、為替が追随する展開なので、単純にリスクオン・オフで説明できるものではなかったでしょう。
 
ところで、このような株と豪ドル円の別々の動きは、10月から始まったものではなく、≪資料1≫を見るとその前から起こっていたものです。8月から10月にかけての2ヶ月は、米株高に豪ドルが追随しない展開となっていたのです(※2)。
(※2:8/1〜10/31:相関r =-0.312)
 
そんな8―10月の豪ドル円の動きを説明できるのも、≪資料2≫のように豪州金利でした。豪州の金利が一進一退で推移する中で、豪ドル円も一段高となる米株に追随することなく一進一退が続いたわけです。
 
それにしても、本来的には同じような展開となる米株と豪ドル円が、なぜ8月以降はこれほど連動性が大きく崩れた形となっているのでしょうか。その意味では、じつは8月以降はリスクオン・オフでの説明がかなり難しい状況が多くなっているといえそうなのです。
 
米株、米金利、豪ドルのような高金利通貨が順相関で動くことをリスクオン・オフといいます。しかしこれまで見てきたように、8月以降は、じつは米株と米金利、豪ドルの順相関が大きく崩れているわけです。
 
2.「バブル破裂」なら株安でも豪ドル下がらない可能性
 
ところで、そんな米株は≪資料3≫のように、昨年から米景気で説明できる範囲を大きく超えた株高となっていました。その意味では、「バブル」の可能性もあったわけです。一方、≪資料4≫のように、米金利は米景気で説明できる以上の低下となっていました。こういったことから私は、米金利低下と米株高はセットで「バブル」の可能性があると考えてきました。
 
≪資料3≫「ISM製造業指数とNYダウ」(2002/1〜現在)
 
 (出所:Bloomberg)
 
≪資料4≫「ISM製造業指数と米実質金利」(2002/1〜現在)
  
(出所:Bloomberg)
 
以下は私の仮説です。10月初めにかけての米株一段高は、9月QE3などに期待した「バブル」のクライマックスだったのではないか。それは、欧州情勢の安定化が確からしくなり、雇用統計など米景気指標も改善が目立ち始めたことで、いよいよ「バブル破裂」が始まったのではないか。
  
そういったことがメイン・シナリオだとすると、オバマ再選後の株安・米金利低下・豪ドル安といったリスクオフは一時的で、米株と米金利は本来の方向、つまり株安、米金利上昇へ動くポテンシャルが強まっているのではないか。
 
豪ドルの行方を考える上では、株安がリスクオフの結果なのか、それとも金利上昇に伴う「バブル破裂」の逆金融相場の結果なのかによって方向性が正反対になります。なぜなら、8月以降の展開が示してきたように、豪ドルは基本的に株より豪金利と同じ方向に動くものだからです。
 
以上をまとめてみましょう。現在の金融市場のメイン・シナリオが、オバマ・ショックのリスクオフなら米金利低下、豪ドル安になるでしょう。そうではなくて、株高・金利低下「バブル破裂」なら、株安を尻目に豪ドルはそれほど下がらないといった展開になるのではないでしょうか。(了)

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