今週はこう動く! マーケット羅針盤

2012/10/22 15:13豪ドル円、ユーロ円の反発を再考する

◆要約◆
・クロス円も金利次第。クロス円が反発したのは「欧州発リスク回避」修正が続いたため。
・米経済、中国要因等に一喜一憂するが、基本は「欧州発リスク回避」をどう読むかが鍵。


1.最重要テーマは「欧州主導リスク回避」をどう読むか

豪ドル円、ユーロ円といった主なクロス円は今月、下値不安の強い中でスタートしましたが、現在は上昇しつつあります。そこで今回は、なぜクロス円が反発したかについて考えてみたいと思います。
 
クロス円が反発に転じた理由、その一つには金利差縮小が一巡したことが挙げられます。
 
≪資料1≫は豪ドル円と豪日の2年物金利差のグラフ、≪資料2≫はユーロ円と独日の2年物金利差のグラフです。このようにクロス円の動きは、ほぼ金利差で説明できるものであり、上昇へ転じたのは円と豪ドルやユーロとの金利差が拡大し始めたためです。
 
≪資料1≫「豪ドル円と豪日金利差」(2012/1〜現在)
  
  (出所:Bloomberg)
  
≪資料2≫「ユーロ円と独日金利差」(2012/1〜現在)
  
  (出所:Bloomberg)
 
なぜ、金利差は拡大し始めたのでしょうか。
 
日本の2年物金利は0.1%前後での横ばいの状態が続いているので、金利差は外貨の金利次第となります。要するに、豪州や独の2年物金利が上昇し始めたことが、金利差拡大の理由です。
 
よって、なぜ豪州や独の金利が上昇に転じたかを考えるのが、今月のクロス円の動きを理解する上で最も重要なことになるでしょう。
 
さて、程度差はありますが、豪州や独の金利も米金利と基本的には同じように動きます。
 
その米10年物金利は、今月に入ってから1.6%程度から一時は1.8%を大きく越えるところまで上昇してきました。その意味では、豪州や独の金利が最近、上昇し始めたのも当然の動きといえるでしょう。
 
では、なぜ米金利は上昇し始めたのか。この数ヶ月間、米金利は欧州債務危機の代理変数であるスペイン金利と逆相関の関係が続いてきたのがわかります≪資料3≫。直近は少し相関が薄れているものの、それでも今月の米金利の上昇は、欧州不安後退を示す形でスペイン金利が一段と低下したためと思われます。
 
 ≪資料3≫「スペインと米国の10年債利回り」(2012/1〜現在)
  
(出所:Bloomberg)
 
以上から、「今月、クロス円はなぜ反発に転じたか?」に対する回答は、スペイン金利が一段と低下し、世界的なリスク回避を修正する動きが出始めたからということになります。
 
今月は、米失業率が大幅な低下を示す「ミラクル」が起こったり、中国を取り巻く外交、経済問題に一喜一憂したりすることはあったものの、基本的には「欧州主導リスク回避」の行方をどう読むか?が焦点だったのではないでしょうか。
 
その欧州については、年初のイタリア危機と最近のスペイン危機における金利の動きの類似性に注目してきました≪資料4≫。
 
≪資料4≫「伊・スペイン10年物金利の7%越え達成前後の動き」
 
※イタリアは2011年11月9日を起点に前後100営業日をグラフ化
※スペインは2012年6月18日を起点に前後100営業日をグラフ化
※共に利回り7%を突破した日を起点(0日)
(出所:Bloomberg)
 
スペイン金利については、同国の支援申請の遅れは指摘されますが、それでもイタリア金利との類似性は続いており、先週ついにスペイン10年物金利は5.5%を大きく割り込んできました。
 
この類似性が続くのであれば、いよいよスペイン金利の低下はクライマックスに近付いてきそうです。
 
スペイン金利が一段と低下し、比較的低位圏での安定が続くのかどうかが、クロス円の行方を考える上での最大の鍵となり、「欧州主導リスク回避」をどう読むかという意味でも、重要なテーマになるのではないでしょうか。
 


2.豪ドルを取り巻くもう一つの変化
 
≪資料5≫はリスク資産であるNYダウと豪ドル円のグラフを重ねたものです。このように、過去2-3ヶ月、両者の相関性は大きく崩れています。米株が上昇し続けているのに対し、豪ドルは上値が重く、追随しきれなくなっています。
 
≪資料5≫「豪ドル円とNYダウ」(2012/1〜現在)

(出所:Bloomberg)
 
その一因は豪ドルの「買われ過ぎ」にもあったと思います。豪ドルの買い越し幅は一時9万枚近くまで拡大し、過去最大規模に肉迫しました≪資料6≫。
 
つまり豪ドルの買いが「限界」に達した結果、米株高などのリスク資産の上昇に豪ドルが追随しきれなくなった面もあったと思います。
 
≪資料6≫「CFTC豪ドルポジション」(2010/1〜2012/10/16)
 
(出所:Bloomberg)
 
 
ただ、そんな豪ドルの「買われ過ぎ」もかなり修正され、ポジションの買い越し幅は最近のピークから半減以下の3万枚台近くにまで縮小しております。
 
「買われ過ぎ」ていた豪ドルは、リスク選好材料への反応が鈍くなる一方で、リスク回避の材料に過敏に反応しやすかったのがNYダウとの相関性が薄れた理由と思われます。
 
ただ、ポジションの買い越し幅が縮小しつつあるということは、その構図も変化し始めていることにもなるでしょう。(了)

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