今週はこう動く! マーケット羅針盤

2012/10/17 13:55ドル高・円安再開トライになっている舞台裏

ドルが79円突破含みになってきました。この数か月に何度も見てきた水準ですが、これまでと少し違うのは120日移動平均線が79円付近まで下がってきたことです。ドル高方向への120日線のブレークをトライしにいくのは、今年2月以来、8か月ぶりのことです。
 
その今年2月の時は、ドル円が120日線を完全に上抜けた後、約一か月半で84円付近まで一段高となりました。それを後押ししたのはドル金利の大幅上昇。特にドル円と同じように動く傾向のある米2年物金利は、0.25%程度から0.4%近くまで大幅上昇しました。
 
米2年物金利は金融政策を反映します。当時の米金融政策はゼロ金利政策を実施しており、それは政策金利を0-0.25%に誘導するというものでした。その2年物金利が0.25%を大幅に上回ってきたということは、つまりゼロ金利解除を織り込む動きだったことにもなるでしょう。
 
ちなみに2月といえば、日銀のインフレ目標採用も話題になりましたが、米ゼロ金利解除の思惑が浮上する理由にはなりませんでした。
 
ここは、イタリアを主役にした欧州債務危機が一段落し始めていたのが主因と思われます。それが米ゼロ金利解除の思惑をもたらした可能性は十分考えられるものでした。
 
そもそも、FOMCは「欧州が不安だからゼロ金利を行っている」という位置付けでした。その意味では欧州不安が一段落し始めたから、ゼロ金利解除の思惑が浮上したとの辻褄も合います。
 
当時のイタリアの10年物金利は、一時7%を超えていたのが大きく反落していました。これを受けて3月FOMCは、欧州不安を指したと思われる「グローバル市場の下押しリスク」という表現に「have eased(緩和した)」という言葉を追加しました。
 
ただ、その後に「だからゼロ金利を変更する」と続けたわけではなく、「though(けれども)」という言葉でつなぎ、それでもゼロ金利は続けることにしました。こういった中で米2年物金利とドル円の上昇は、3月中旬にかけて一巡したわけです。
 
その後、欧州債務危機はイタリアからスペインへ主役を変えます。ギリシャ選挙騒動などが5-6月に広がると、スペイン10年物金利は、かつてのイタリア10年物金利のように一時7%突破してきました。
 
 
欧州危機が再燃する中で、FOMCは再び「グローバル市場の下押しリスク」もゼロ金利を続ける理由という形に戻したのです。
 
ただ、そのスペイン危機も最近にかけて落ち着いてきました。3月にイタリア10年物金利が5%を割り込んでくると、FOMCは欧州危機を指した表現を修正してきました。
 
次のFOMCは10月24日の予定です。もしスペイン10年物金利が5%以下の水準を維持し続けたままでFOMCが開催された場合、「グローバル市場の下押しリスク」といった表現を再び変更して、ゼロ金利政策の見直しが試されることにはならないでしょうか。
 
このように見ると、時計の針は“ある一面で”2月まで戻してきたとも言えそうです。その意味で、ドル円が2月以来の120日線ブレークをトライしにいく動きを見せているのもわかりやすいでしょう。
 
もちろん、2月と最近では違いもあります。
 
ただ、欧州債務危機の主役は変わったものの、スペイン10年物金利が5%割れとなるか、ドル円が120日線を完全ブレークするかという点は重要な共通点であり、それが今後のドル円の一段高が再現するかの鍵を握っているといえるでしょう。(了)

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