今週はこう動く! マーケット羅針盤

2012/10/15 13:502月ドル円大相場「前夜」との類似性

◆要約◆

・ドル円の「超小動き」が終わり、大相場が始まった今年2
月と最近は類似点がある。

・2
月は欧州危機一段落後に大相場が始まったが、スペイン危機一段落後はどうか?-  -  -  -  -  -  -  -  -  -  -  -  -  -  -  -  -  -  -  -  -  -  -  -  -  -
1.為替の小動きはどのように終わったか=今年2月の場合ドル円は過去3ヶ月、たった1―2円前後の値幅で推移する小動きが続いております。そして、この動きはまだ続くのか、それともそろそろ動き始めるのかという関心が高まりつつあるようです。
 
今回のように1―2円前後した動かない小幅な値動きは、昨年末から今年初めにかけても見られました。ただ、その時はそれも3ヶ月程度で終わり、2月以降はドル高・円安方向へと大きく動き始めました。なぜでしょうか。
 
主な理由として、2月中旬に日銀がインフレ目標採用を決定したことが挙げられます。ただ、≪資料1≫を見ると、別の説明の方がより正確なのではないでしょうか。
 
≪資料1≫「ドル円と米2年物金利と米日2年物金利差」(2012/1〜現在)
 
  (出所:Bloomberg)
 
≪資料1≫は、ドル円と米金利と日米の金利差のグラフを重ねたものです。このグラフからは2月からのドル高の要因は、米2年物金利の大幅な上昇によるものだったことがわかります。では、2月からなぜ、米2年物金利は大幅に上昇したのでしょうか。
 
 
FOMCは1月末にゼロ金利政策を2014年末まで延長することを決めました。つまり金融緩和の強化に動いたのですが、にもかかわらず2月から米政策金利を反映する2年物金利は大幅に上昇してしまいました。
 
≪資料2≫は、米2年物金利とイタリア2年物金利のグラフを重ねたものです。
当時のイタリアは欧州債務危機の主役。その中でイタリア2年物金利は、昨年11月に7%を越えるところまで急騰しましたが、その後はECBの対策などを好感して急低下しました。
米2年物金利は、そんな欧州危機一段落に連動する形で大幅に上昇しました。
 
≪資料2≫「イタリアと米2年物金利」(2011/9〜2012/3)
 
(出所:Bloomberg)
 
≪資料3≫は今年初め、イタリア危機が一段落し始めた際のイタリア10年物金利と、最近のスペイン10年物金利のグラフを重ねたものです。これを見ると、スペイン金利はイタリア金利が低下しきった局面をこれから迎えようとしているタイミングにあるように見えます。
 
上述のように今年2月はイタリアを主役とした欧州危機一段落の後、米金利が急上昇し、つれて「脱・小動き」からドル高・円安が急加速した時期です。その意味では、今は「スペイン発の(ドル円の)脱・小動き」の直前の状況にあるのではないでしょうか。

≪資料3≫「伊・スペイン10年物金利の7%越え達成前後の動き」

※イタリアは2011年11月9日を起点に前後100営業日をグラフ化
※スペインは2012年6月18日を起点に前後100営業日をグラフ化
※共に利回り7%を突破した日を起点(0日)
(出所:Bloomberg)

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2.スペイン10年金利5%割れとFOMCの関係に注目

FOMCは昨年9月以降、超金融緩和を継続する理由の一つに「グローバル市場の下押しリスク」を挙げていました。これは欧州債務危機を指していると思われます。
 
その欧州債務危機の「イタリア編」が今年2月に一段落したことで、3月のFOMCでは文言が微調整されました。「グローバル市場の下押しリスク」は「have eased(緩和した)」という言葉が追加されたのです。
 
その意味では、2月から米金融政策を反映する米2年物金利が大幅上昇したのは、FOMCの超金融緩和方針の大前提の一つとなってきた欧州債務危機の変化を受けて、緩和方針の変更を織り込む動きだったとも思われます。
 
さて、現在の欧州債務危機の主役はスペインです。このスペインの支援申請が実現すると、スペイン金利は一段安となる可能性が高いと見られています。ではそれはいつなのか。
 
欧州危機におけるスペインの「先輩」イタリアの10年物金利が5%を完全に下回ってきたのは今年3月にかけて。それを受ける形で3月FOMCは文言を変更したわけです。
 
今回の場合は次のFOMCは10月24日で、その次は12月12日の予定です。これらをにらみ、スペイン10年物金利が5%割れとなるなら、FOMCは再び文言の変更に動く可能性もあるでしょう。
 
では、それを織り込む形で、米2年物金利は再び大幅上昇するのでしょうか。
 
年初と異なり、最近の「グローバル市場の下押しリスク」は欧州危機だけではなく、中国の景気先行き不安も加わっているから、スペイン危機の一段落だけでは、文言は変わらないのでしょうか。また、年明け後のいわゆる「財政の崖」不安もあります。
 
それにしても、うんざりするほどの「動かない為替」が、大きく動き出すことになった今年2月の局面と、欧州危機との関係では最近、とても似た位置関係にあることは確かですから、注目しておきたい場面ではあるでしょう。(了)

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