今週はこう動く! マーケット羅針盤

2012/10/03 14:36大統領選前後で米国は「豹変」する?今回は??

日米独などの先進国の歴史的な金利低下が示す「空前のリスク回避」は異常現象、いわゆる「逆バブル」ではないかとの見方も一部にあります。ただ、米大統領選挙に前後して、このような「逆バブル」についての見方が「豹変」した例が過去にあります。今回はどうなのでしょうか?
 
◆1996年米大統領選前後の「豹変」

米大統領選挙前後に、「逆バブル」についての見方が「豹変」したケースで、私の中で最も強い記憶となっているのは1996年のケースです。その年は11月の大統領選が近付く中、前年からの「超円高」の是正に伴うドル高・円安、そして株高基調が続いていました。
 
ドルは95年4月の80円から96年11月の米大統領選の時までに、1ドル115円近くにまで上昇していました。ところがクリントン大統領の再選が決まった翌日、ある「サプライズ」が起こったのです。
 
「私が円安誘導しているというのは誤解だ」。
 
超円高是正のキーマンとして「ミスター円」と呼ばれ、その言動が金融市場の注目を集めていた当時の大蔵省高官、榊原英資氏のそんな発言が報道されると、たった一日でドルは114円台から110円割れ付近まで急落したのです。
 
これについて有力な米投資専門誌「バロンズ」は、「再選したクリントンから主役を奪った人物がいた。発言でドルを急落させたミスター円、サカキバラだ」と書いたくらいでした。
 
それにしても、この為替に関する「サプライズ発言」が飛び出したのが大統領選の終了直後だったというのは単なる偶然だったのでしょうか。そして間もなく、榊原発言以上に有名になったもう一つの「サプライズ発言」も飛び出しました。
 
「Irrational Exuberance、この株高は根拠なき熱狂なのか」。
 
当時のFRB議長だったA.グリーンスパンによるこの「根拠なき熱狂」発言は、その後ITバブルを警告したものとして「歴史的な有名発言」の一つとして記憶されるようになりましたが、発言が飛び出したのは1996年12月、つまり大統領選から約1か月後のことでした。
 
◆「逆バブル」なのか、否か?!

このように「ミスター円」のドル高・円安容認の否定発言や、グリーンスパンの株バブル懸念発言が飛び出したのは大統領選挙の終了後、間もない時期だったのは、単に偶然だったのでしょうか。
 
金融市場の急変が大統領選挙へ影響しかねないことを警戒して発言を待ったということはなかったでしょうか。
 
翻って現在。≪資料≫のように記録的なリスク回避を示している空前の米実質の金利低下は、米国の景気で説明できる範囲を超えたものとなっており、この点から現状の金利の低下は異常な現象「逆バブル」の可能性があります。
 
≪資料≫「ISM製造業景況指数と米実質金利」(2002/1〜現在)
 
(出所:Bloomberg)
 
そんな景気で説明できない金利低下を、これまで比較的うまく説明できたのは欧州債務不安でした。
  
ただ、そんな欧州債務不安を受けたスペイン国債の急落、利回り急騰について、ECBドラギ総裁は「根拠なき疑念による歪み」が生じた結果との見方を示し、それを是正するために無制限で介入する方針を決めました。これはバブルを懸念した表明ではないでしょうか。
 
一般的に、過剰な楽観論を「バブル」と言います。もし現在が過剰な悲観論の中にあるなら「逆バブル」ということになるでしょう。ただこれまでのところ、米国の「要人」から「逆バブル」といった認識はほとんど聞かれません。
 
本当に「逆バブル」と思っていないのか。それとも大統領選前の「逆バブル」破裂に伴う金利急騰、株価急落などの金融市場が急変しかねないリスクを警戒しているのか。また、選挙が終わるまで動けない、いわゆる「財政の崖」対策の見通しが出るまで慎重を期しているということなのか。
 
もしそうならば、大統領選挙終了後の見通し次第では、現状の米国が「逆バブル」といった一部の評価に対して、「豹変」したような構図になる可能性も注目されるのではないでしょうか。(了)

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