今週はこう動く! マーケット羅針盤

2012/09/26 15:13政治と国際情勢と為替の「点と線」

「分不相応な幸運は、知恵のない者にとっては不幸に陥る契機ともなる」、これはある古代ギリシャの哲学者の言葉だそうです。民主党政権を例える意味で、ある著名な学者が引用していたものです。
 
◆「自己の評価は、他人の行動によって気付かされることも少なくない」
 
この言葉は、ある大手新聞の名物コラムが、最近の中韓などによる対日外交強硬化を例える意味で使ったものです。上述の古代ギリシャ哲学者の言葉も合わせると、最近の外交関係の悪化は、民主党政権時代に対日評価が劇的に低下している可能性を再確認する意味にもなっているようです。
 
一方で、とりわけ強い対日姿勢で動いている中国の場合、双日総研副所長・吉崎氏のコラムを読むと、中国国内の権力闘争の影響もあるそうです。
 
中国では3月に「赤いフェラーリ事件」が起こったとされます。赤いフェラーリの事故で死亡者も出た事件ですが、その中に現国家主席の「片腕」で、国家主席派の将来のホープとされた人物の子息が入っていたことが「不祥事」のような扱いになったとされます。
 
とりわけ、この「不祥事」情報を“現・国家主席派”とは対立関係にある“前・国家主席派”が入手すると、“次期・国家主席”と連携し、いわゆる「重慶問題」も続く中で重大な問題であるとして、“現・国家主席”の「片腕」は左遷される形になったとされます。
 
10月に迫った政権交代を前に、このような主導権の移行が起こっていることが、対日政策にも影響し、強硬路線へと転換した結果が、最近の強硬姿勢につながっている可能性があるというわけです。
 
9月初めに、“次期・国家主席”が決まっている“現・国家副主席”の「行方不明」が話題になったことがありました。特に米クリントン国務長官との会談予定を、直前になってからキャンセルしたことで注目を集めたわけです。
 
 
これまで見てきたことからすると、当時はまさに「権力闘争」の最中で、また米オバマ政権の中でもアジア外交重視派とされたクリントン国務長官とのこの時期の面談はむしろ回避すべきとの判断もあったのかもしれません。
 
また、そんなクリントン長官のアジア歴訪中、米国内では民主党の党大会が開かれていました。党大会を欠席したクリントン国務長官は、仮にオバマ再選となっても2期目のオバマ政権での続投の可能性がないことを暗に示唆しているとの解釈が基本のようです。その意味では、中国にとってクリントン国務長官は「過去の人」だったかもしれません。
 
◆これはまた、オバマ政権におけるエネルギー政策の転換も影を落としているのかもしれません。いわゆる「シェールガス革命」などを受け、米国の原油輸入は中東からカナダ、中南米へ大きくシフトする見込みとなっています。それは、米国の中東依存度の低下であり、米国にとっての中東及びアジアの戦略的重要性が相対的に低下している可能性がありそうです。
 
米国の中東に対する影響力が後退する中では、相対的に中国の影響力拡大が見込まれます。
 
ところで、民主党政権は、一時「2030年代原発ゼロ」方針を打ち出しました。これは、裏返すと、引き続きエネルギーにおける高い原油依存、つまり中東依存度の高い状況が続くといった意味にもなります。
 
このように見ると、「原発ゼロ」方針と中東への影響力の大きくなる中国との対立ということは、そもそも持続可能なことではなさそうです。その後の民主党政権が「原発ゼロ」方針の閣議決定を見送り、曖昧化に動いたことが批判されていますが、ある有力株式ストラテジストは自身のレポートで、それは中国に対する対立関係改善への「シグナル」といった意味も暗にあったのではないかとの見方を示していました。
 
さて、こういった中、26日に自民党の総裁選が行われます。次期総選挙では自民党が第一党になることが確実視されているので、その意味では次期総理を選ぶ可能性もあるものです。
 
そんな政権第一党復帰が見込まれている自民党は、8月末に日本再生プランを発表しました。これは次期選挙でのマニュフェストと目されるものです。その中の最初の項目は「円高・デフレ対策」となっています。しかし、その次期政権の第一党のトップを決めるタイミングで、マニュフェストをしり目にしたように円高が進んでいるわけですから皮肉ではあります。
 
再び、「自己の評価は他人の行動で気付かされるもの」という言葉を参考にすると、「円高・デフレ対策」を第一項目に掲げた自民党が政権第一党に復帰することも、実はほとんど期待されていないということなのかもれません。この「不評」をはね返せるかどうかは、「知恵」の有無が試されるのではないでしょうか。(了)

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