今週はこう動く! マーケット羅針盤

2012/09/18 17:17QE3で豪ドル、ユーロはどうなる?

◆豪ドル米ドルはどうなる?
 
注目された9月FOMCでは、量的緩和第3弾QE3が決定されました。ではこれを受けて、豪ドルやユーロがどのような見通しになるかについて考えてみます。
 
まずは豪ドルについて。≪資料1≫のように、2010年11月にQE2が始まった前後においても上昇し続けたのは、主にコモディティ相場と、それと相関性の高い代表的な資源国通貨である豪ドルでした。
 
≪資料1≫
(出所:Blommberg)
 
コモディティの総合指数であるCRB指数は、2010年8月下旬から2011年4月下旬にかけて260ポイントから360ポイントまで4割近くもの大幅高となり、それと連動する形で、豪ドルの対米ドル相場も0.88ドルから1.1ドルへ25%の大幅高となったのです。
 
量的緩和を受けたリスク選好相場で、コモディティ相場と資源国通貨が一段高となったのは当然の結果といえそうです。さて≪資料2≫は、最近のCRB指数と豪ドル米ドルを重ねたものです。9月初めにかけて上がるCRB指数をしり目に下落していた豪ドルでしたが、その後は相関性が回復してきたことが確認できるでしょう。
  
≪資料2≫
(出所:Blommberg)
 
QE2決定後は、さらに5か月以上も上昇相場が続き、CRB指数360ポイント、豪ドル1.1ドルとなりました。このコモディティ相場の過度な上昇が、2011年からの中東・北アフリカの民主化「アラブの春」の一因となったという教訓などもあり、今回の場合は過度なコモディティ、豪ドルの上昇への警戒も強そうです。
 
≪資料3≫
(出所:Blommberg)
 
また≪資料3≫のように、9月初めにかけて豪ドルがCRB指数の一段高をしり目に急落したのは「買われ過ぎ」も一因のようです。少し是正されたものの、まだ「買われ過ぎ」気味の構図は続いているようです。以上からすると一段高は微妙ですが、総じて堅調な展開は続くのではないでしょうか。
 
◆豪ドル円はどうなる?
 
では豪ドルの対円相場はどうでしょうか。≪資料4≫のように、一時の80円割れから83円程度まで反発したわけですが、それは日豪2年物金利差との関係からすると極端な違和感はないといえそうです。
 
≪資料4≫
(出所:Blommberg)
 
注目されるのは≪資料5≫。豪ドル円と米株、NYダウの関係です。両者は正の相関関係が続いてきましたが、最近はかい離が目立ちます。これまでの関係を前提にするなら、最近のNYダウ一段高により、豪ドル円も90円付近まで上昇してもおかしくないはずです。
 
≪資料5≫
(出所:Blommberg)
 
 
ただ、これはNYダウなどの米株が上がり過ぎだった可能性があるといえないでしょうか。≪資料6≫のように、最近の米株高は、米景気での説明の範囲を超えた動きになっている可能性があります。米株と米景気の関係は、リーマンショック前、「住宅バブル」の局面に近そうでもあります。
 
≪資料6≫
(出所:Blommberg)
 
以上からすると、≪資料5≫の米株と豪ドルのかい離は、米株高が「間違っている」危険があるせいでないでしょうか。そうであれば、豪ドル円は90円へ一段高になるかは懐疑的ながら、仮に米株が修正により反落しても、豪ドル円の下げは意外に限られるといった見通しになるのではないでしょうか。
 
◆ユーロはどうなる?
 
最後にユーロについて考えてみたいと思います。≪資料7≫のように、ユーロドルはおおむね独2年物金利の動きで説明できるものですが、最近は独金利のみで説明できる範囲を超えたユーロ高になっている可能性がありそうです。
 
 ≪資料7≫
(出所:Blommberg)
 
そんなユーロ高を後押ししたのは、空前のユーロの「売られ過ぎ」の修正による反発が一つの理由として挙げられます。きっかけは7月下旬のECBドラギ総裁の「ユーロを守る」宣言以降、広がってきた欧州債務不安の後退でしょう。
 
ところで、その欧州不安の現在の代理変数はスペイン10年物金利ですが、それは今年初めまでの代理変数「先輩」イタリア10年物金利の動きとよく似た展開が続いてきました。
 
この≪資料8参照≫は、現在のスペイン国債(10年物金利)と、年初の主役だったイタリア国債(10年物金利)の利回りの推移を重ねたもの。イタリア10年物金利は7%を突破した後、60営業日前後経過するところから、6%を完全に割り込む動きとなった。
 
この似た動きが続くなら、スペイン10年物金利が5.5%を完全に割り込み、低下が本格的に再開するのは10月初め以降の計算となり、もう少し先になりそうです。
 
≪資料8≫
※イタリアは2011年11月9日を起点に前後100営業日をグラフ化
※スペインは2012年6月18日を起点に前後100営業日をグラフ化
※共に利回り7%を突破した日を起点(0日)
(出所:Blommberg)
 
これはスペインが支援の申請をすぐに行わず、10月になるまで行わない可能性が高いといった専門家の見方とも重なります。スペインの金利低下が象徴するように欧州危機の後退が約2週間、足踏みするようなら、その間に≪資料7≫が示している独金利から見たユーロ上がり過ぎの修正が入る可能性も少し頭に入れておく必要があるかもしれません。(了)

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