今週はこう動く! マーケット羅針盤

2012/09/12 14:32「絶望のユーロ」はなぜ上がったのか

ユーロは対ドルで7月下旬の1.20ドルから、対円では94円台から、この約1か月半で6-7%もの上昇となりました。欧州債務問題の解決がほとんど「絶望視」されるような中で、なぜユーロは上がってきたのでしょうか。
 
◆7月下旬「ドラギ発言」という転換点
 
「絶望のユーロ」はなぜ上がってきたのか?それに対する答えはとても簡単で、独金利が上昇してきたからです。
 
≪資料1≫は、ユーロドルと独2年物金利を重ねたもの。そして≪資料2≫はユーロ円と日独2年物の金利差を重ねたものです。このようにユーロの動きは、独金利の動きでおおむね説明可能であり、その独金利が上昇したから「絶望のユーロ」も上昇したということになるでしょう。
 
≪資料1≫

(出所:Bloomberg)

 
≪資料2≫
 
(出所:Bloomberg)
 
ではなぜ独金利は上昇したのでしょうか。もちろんECBは利上げを行ったわけではありません。にもかかわらず独金利が上昇したのは、欧州債務不安でリスク回避からユーロ圏内の安全資産である独国債に資金が集まり、独金利が下がり過ぎとなっていたことの反動が入ったためでしょう。つまり欧州債務不安が後退したことに伴う動きということです。
 
独金利が底打ち、上昇に転じ、それとほぼ連動するように「絶望のユーロ」が底打ち、上昇を始めたのは7月下旬でした。それはECBドラギ総裁が、「ユーロを守るために何でもする」、「私を信じてほしい」と異例の発言を行ったタイミングと重なります。
 
このドラギ宣言に対しても、当初の評価は半信半疑だったと思います。ただ結果的には、この発言を境に欧州債務不安は後退に向かい、それに伴う欧州発リスク回避の逆流の動きが広がり始め、独金利上昇し、「絶望のユーロ」上昇となったわけです。結果的には、「絶望のユーロ」相場の転換は、ドラギ発言をどう評価するかが大きな分かれ目となりました。
 
ところで、≪資料3≫は今年初めにかけてのイタリア危機におけるイタリア10年物金利と、最近にかけてのスペイン危機におけるスペイン10年物金利の動きを重ねたものです。両者の動きは、これまでのところ比較的よく似ていると思います。
 
危機が拡大する過程、そして解決に向かう過程ともに、個別の材料はもちろん違うのに、なぜこのように似た動きがかなり長い間続いたのでしょうか。イタリアとスペインはもちろん違いますが、ユーロ圏の大国の危機解決に向かうマーケットの動きは基本的に似たものになるということではないでしょうか。
 
「絶望のユーロ」が上昇に転じたのは、独金利が上昇に転じたからであり、それは7月下旬のドラギ発言から欧州債務不安が後退に向かうことを見極められたかが鍵でした。ただ≪資料3≫を見ていると、そんな「ドラギ発言」も、単なる一つのきっかけでしかなかったような気になってきます。(了)
 
≪資料3≫
 
※イタリアは2011年11月9日を起点に前後100営業日をグラフ化
※スペインは2012年6月18日を起点に前後100営業日をグラフ化
(出所:Bloomberg)

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