今週はこう動く! マーケット羅針盤

2012/09/05 15:08ECB、雇用統計の二大イベントを斬る

今週後半には木曜日にECB理事会、金曜日に米雇用統計発表といった二大イベントを控えています。そこで今回はこの二大イベントの影響について考えてみたいと思います。

◆欧州危機の「寿命」は2か月半

まずはECB理事会について。
 
現在の欧州債務危機の主役はスペインです。ところで、このスペイン危機の「先輩」はイタリア危機でした。私たちはスペイン危機がどうなるかはわかりませんが、イタリア危機がどうなったかは知っています。一言でいうと、イタリア危機は2か月半で一段落となりました
 
イタリア10年物金利が、「危険ライン」とされる7%を突破したのは昨年11月初めでした。それから約2か月半後の今年1月半ばには、イタリア10年物金利は6%を大きく割り込んできたのです。以上から、イタリア危機の「寿命」は2か月半だったということができるでしょう。
 
スペイン10年物金利が7%を突破したのは6月中旬でした。今は、それから約2か月半が経過しています。前例となるイタリア危機の「寿命」が2か月半だったことを参考にすると、スペイン危機も一段落するタイミングが近付いているのかもしれません。
 
スペイン10年物金利は、4日現在でまだ6.5%でした。ただ、同じスペインでも2年物金利は4日現在で3%まで低下、4月初め以来の約5か月ぶりの水準まで低下してきました。その4月初め、スペイン10年物金利は6%を下回っていました。このように見ると、短中期の金利はすでに2か月半でのスペイン危機一段落を織り込み始めているようにも見えます。
 
6日のECB理事会が、スペイン危機解決のために何をやるか、その効果があるかが注目されていますが、このように見ると「何をやるか」より、「効果が出るタイミング」を迎えている可能性があるということが重要ではないかと私は考えています。よって、その影響は少ないといえそうです。
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 ◆NFPネガティブ・サプライズ説

次に米雇用統計について。
 
米雇用統計のNFPについて、一部の専門家は「まさかマイナスにはならないだろうけれど」といった具合に、現時点では前月比12万人程度の増加という一般的な予想を大きく裏切る、「ネガティブ・サプライズ」になるリスクを密かに懸念し始めているようです。
 
理由は、最近にかけてのFRB関係者の言動です。私たちがNFPについて得ている確実な情報は、1か月前に発表された7月分が前月比16万人という予想以上の増加だったことです。ところが、最近にかけてFRB関係者から発信されているのは、それとギャップを感じさせるものが少なくありません。
 
大きな注目を集めた8月末のバーナンキFRB議長のジャクソンホール講演では、「痛ましいほどの雇用回復の遅れ」という表現に象徴されるように、依然として厳しい評価に終始しました。8月末に公表された「ベージュブック」でも、雇用については厳しい評価が目立ちました。
 
そこで、「8月初めに7月NFP16万人増と発表された後、8月の雇用に関連するデータがあまり良くないから厳しい評価になっているのではないか」といった懸念を、一部の専門家は抱いているようです。
 
NFP(非農業部門雇用者数)の月10万人増加という水準は、失業率が低下に向かう一つの目安になっています。このため、金曜日に発表される8月NFPがプラス10万人を大きく下回るようなら、来週のFOMCで追加緩和、QE3の可能性が高まるとの見方が一般的のようです。ドル円もこの間のこう着相場からの下放れを試す可能性が予想されるところです。
 
ただ、達観するなら、米金利はすでに米景気で説明できない大幅な低下が続いてきたので、米雇用統計などの景気指標が悪化しても追加緩和となっても、論理的にはさらなる低下余地は限られそうです。
 
そして、そんな米景気の説明範囲を超える米金利低下を実現させたのは欧州不安でした。米金利はスペイン金利との逆相関関係が続いてきたので、その関係からすると、米雇用統計の結果以上にECB理事会とスペイン危機が鍵を握ることになりそうです。
 
よって、こちらもその影響は少ないといえそうですが、果たして結果はどうなるでしょうか?(了)

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