今週はこう動く! マーケット羅針盤

2012/09/03 15:149月の為替を予想する

◆欧州問題と米金融政策の影響をどう読むか

9月が始まりました。9月の為替相場の特徴は「夏枯れ相場」から一転、数か月にわたり一方向へ大きく動く相場の起点になるのが多いことです。≪資料1≫のように9月から11、12月にかけて3〜4か月間、ドル高・円安、又はドル安・円高が続くというケースが珍しくないことが分かります。
 
≪資料1≫
 
 
そして、9月は夏休み明けでもあります。重要な国際会議などが行われることも多く、政治的にも大きく動き始めるタイミングとなるため、為替相場もトレンドを伴った大きな動きになりやすかったということではないでしょうか。
 
では、今年の9月も大相場の始まりとなるのでしょうか。仮になるとしたら、その方向は円安でしょうか、それとも円高でしょうか。それを考える手掛かりは、先月から引き継いだ形となっている欧州債務問題や米追加緩和などの影響をどう読むかということになるでしょう。
 
まずは欧州債務問題について。7月下旬にECBドラギ総裁が「ユーロを守るためには何でもやる」と宣言しましたが、それが6日のECB理事会以降、いよいよ具体化される見通しとなっています。このため、そのECBの対策が成功するか、それとも失敗するのかが最大の焦点ということになるでしょう。
 
ECBが成功するか失敗するかを考える上で、私が最も参考にしてきたのは≪資料2≫でした。これは、現在の欧州債務問題の主役であるスペイン国債(10年物金利)と、年初の主役だったイタリア国債(10年物金利)の利回りの推移を重ねたものです。イタリア危機が回避に向かったパターンをたどるなら、スペイン危機も回避に向かう段階に入っているようです。
 
≪資料2≫
 
 
※イタリアは2011年11月9日を起点に前後100営業日をグラフ化
※スペインは2012年6月18日を起点に前後100営業日をグラフ化
(出所:Bloomberg)
 
もちろん、イタリアとスペインでは違いもあります。ただ、その割には国債利回りが「危険ライン」とされる7%前後に達したタイミングに重ねてみると、これまでの動きはよく似ています。なぜ、イタリアとスペインで国債利回りの動きが似ているのかは興味深い点です。
 
要するに、イタリア、スペインの違い以上に欧州債務問題を反映した相場の動きは似た傾向を辿りやすいと考えるなら、スペイン金利は目先も以前のイタリア金利と似た動きが続く可能性があるという考えです。
 
 
そうならば、そもそもECBの対策が成功するか失敗するかというより、「成功」しそうなタイミングでECBが対策を具体化する段階を迎えている可能性があるということにはならないでしょうか。
 
さて、「成功」、「失敗」といった言葉を使ってきましたが、現在の局面で「成功」とはスペイン危機が一段落に向かうということであり、それはスペイン金利が「危険ライン」7%から大きく低下するということになります。≪資料2≫からすると、スペイン10年金利はこの9月中にも6%を大きく下回っていく見通しになるわけです。
 
ところで、そんなスペイン金利は春以降、米金利と逆相関で推移してきました≪資料3参照≫。その関係がまだ変わらないなら、スペイン10年物金利が6%を大きく下回っていく場合、米10年物金利は逆に2%を大きく上回っていく見通しになります。
 
≪資料3≫
 
 
(出所:Bloomberg)
 
ただ、FRBは9月中旬のFOMCで追加緩和、特に量的緩和の第3弾QE3に踏み切るとの見方が少なくない中で、それでも米金利は低下しないどころか、むしろ上昇へ向かうのでしょうか。少なくともQE2を行った前後では米金利はそれほど低下せず、むしろQE2実施後は大幅上昇したのでした。
 
≪資料4≫は、2010年11月にQE2が始まった前後の米10年物金利の動きです。そして、このQE2を当時のバーナンキ議長は8月末のジャクソンホール講演で示唆していました。
 
 
 
この「ジャクソンホール発言」前の米10年物金利は2.5%程度でした。「発言」でQE2の可能性が高まったためか、米10年物金利は低下に向かいましたが、それは2.3%程度への小幅な低下にとどまりました。その後、11月初めにQE2が始まると、約1か月余りで米10年物金利は2.5→3.5%と大幅上昇となったのです。
 
このQE2後の米金利の大幅上昇は、景気が回復に転じていたためだったと思います。その意味では、今回の場合も景気が回復傾向にあるなら、QE3をやってもやらなくても米金利は上昇に向かうのではないでしょうか。
 
 ≪資料4≫
 
 
 (出所:Bloomberg)
 
最初に述べたように、9月は大相場が始まるといった特徴があります。今年もそうなるなら、問題はその方向ということになるので欧米の重要課題を検証してきました。その結論としてリスクオン、米金利上昇、ドル高・円安へ向かうのではないかと私は考えています。
 
一般的には、特に欧州問題など、まだまだ難問山積で警戒感は根強いようですから、今回述べてきたようなリスクオン、金利上昇といった見方はむしろ少数派なのでしょう。ただ、それは意識した上で、最近の小動きから徐々に相場が動き出した場合への備えも必要ではないでしょうか。(了)

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