今週はこう動く! マーケット羅針盤

2012/07/11 14:32債券が「危険資産」に変わった1998年

欧州情勢の不安は払拭されず、米景気も冴えない中で、リスクテークに慎重になる結果、債券買いが続いて、日米独の債券利回りは過去最低圏での推移となっています。このような安全資産としての「債券シフト」はまだ続くのか。ただ過去においては、債券が突如「危険資産」に変わった歴史もあったので、今回はそれについて述べてみたいと思います。
 
◆「安全資産」債券シフトはいかに変化したか
1998年秋、世界経済は重苦しい暗雲に覆われた状況となっていました。大手ヘッジファンドの破たん、中南米クライシスなどが相次ぐといった大混乱が続いていたのです。
98年10月初め、ワシントンで行われた国際会議の冒頭で、当時のFRB議長、A.グリーンスパンはこんなふうに話し始めました。
「モーニング。普通このような場では、グッド・モーニングと言うべきですが、今朝の私はとてもグッドなどという気になれない」


そんなグリーンスパンの言葉がまだ余韻として残る中で、為替は「大変な相場」が起こったのです。なんと、たった3営業日でドル円は25円もの大暴落となりました。


10月6日、135円程度から一日で約10円のドル安になると、翌日も同じく10円のドル安、そして3日目にはついに110円割れ寸前までドル安・円高が進んだのです。


そんな為替が関係したわけではなかったのですが、同じころ、日本の大手銀行の破たんが決まりました。そんな最悪の状況の中で、株価も暴落となったのです。


ただ、結果的に見ると、それは「悲観の極」、「陰の極」でした。この大手銀行破たんとなった10月上旬に、株価は大底を打ったのです。それにしても、このような大きな局面の転換は、後になってからでないとなかなかわからないもの。渦中においては、依然として「大変な状況」が続いていたのです。


11月になると、大手格付け会社が、日本国債の格付けを、最高格付けトリプルAからダブルAに引き下げました。「大変な状況」の中で「安全資産」として買われ続けた日本国債の利回りは0.7%程度まで低下していましたが、この「最高格付けはく奪」で利回り上昇、価格反落となりました。


これに続いて、財務省、当時の大蔵省が、定期的に国債を購入していた動きを止めると発表すると、この債券価格下落、利回り上昇の動きはいよいよ決定的となったのです。日本の10年国債利回りは1%を超えて、さらに1.5%を超えると、「止まらない金利上昇」となったのでした。
 
◆債券安阻止の切り札となった日銀ゼロ金利
それまで「大変な状況」の中で、「安全資産」として債券買いが続いてきた結果、金融機関を中心に、大量の債券を保有する状況となっていました。ところが、その債券が急落に転じたのです。一転して、債券ポートフォリオの損失拡大が重大問題になりかねない構図と変わったのです。


10年国債利回りは、ついに2%も突破すると、年が明けた99年には2.5%に向かう動きとなりました。この債券暴落阻止、「ストップ・ザ・金利上昇」で登場となったのが、日銀のゼロ金利政策でした。1999年2月、日銀が史上初のゼロ金利政策を決定すると、ようやくこの「狂った金利上昇」は止まるところとなったのです。


これが、1998年から1999年にかけて、「安全資産」債券が、「危険資産」に豹変した顛末です。さて、今回の場合は、まだ債券は「安全資産」であり続けるのでしょうか。(了)

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