今週はこう動く! マーケット羅針盤

2012/07/09 14:17ポスト雇用統計相場は欧州で決まる

◆雇用統計と欧州危機再燃、「主役」はどっちか?
6日発表された米6月雇用統計は、NFPが前月比8万人の増加、失業率は前月から横ばいの8.2%となり、事前予想を小幅に下回る結果となりました。こういった中で、株価は100ドルを大きく超える大幅な下落となり、そして米金利も大幅に低下、為替はユーロ安・ドル高が大きく進み、ドル円も小幅にドル安・円高となりました。

ただこのような金融市場の動きは、雇用統計の影響というより、先週後半から再燃した形となっている欧州危機の影響が大きいのではないでしょうか。そうだとすれば、雇用統計の結果とは関係なく、この金融市場の動きは、欧州危機の動向次第で、一段と広がる可能性も逆に反転する可能性もあるでしょう。
 
≪資料1≫
 
米雇用統計が予想より悪くドル安・円高となるのは自然な感じがします。それではなぜ、ユーロ安・ドル高となったのでしょうか。このユーロドルの動きを説明できるのは、≪資料1≫のように米独2年金利差です。
 
これを見ると雇用統計発表を前後しユーロ安・ドル高が大きく進んだのは、金利差ユーロ劣位(ドル優位)が広がったことに伴う動きであることがわかります。要するに、米金利以上に独金利が大きく低下したため金利差ユーロ劣位が一段と拡大したわけですが、それは欧州危機再燃の影響が大きかったということになるでしょう。

ところで、ドル円は米金利と高い相関関係があります。その米金利は、米10年物金利で見ると欧州危機を象徴するスペイン10年物金利との逆相関関係が続いてきました。≪資料2≫を見ると、先週末にかけて米10年物金利が一段と低下したのは、スペイン10年物金利上昇が再燃した結果ということになるでしょう。
 
≪資料2≫
 
このように先週末にかけての金利、為替の動きは、欧州危機再燃でほぼ説明できそうです。一時急低下に向かったスペイン金利でしたが、先週末にかけて再び7%突破含みの展開となり、それが米独金利低下、そしてユーロ安、ドル安・円高をもたらしたというわけです。


ところで、≪資料3≫を見ると、昨年後半のイタリア10年物金利も、そして最近のスペイン10年物金利も、7%がほとんど「天井」となってきました。10年物金利が7%を大きく上回ると、支援が不可避になるといった見方がありますが、さすがにイタリア、スペインといったユーロ圏の大国では支援額も大規模化するため、それを回避するためこの7%は「防衛ライン」となってきたのかもしれません。


このような見方からすると、スペイン10年物金利は、この間の「天井」を突き破り一段と上昇に向かうか、それとも今度も「防衛ライン」に跳ね返されることになるのか、重要な攻防局面を迎えている可能性がありそうです。


前者の場合なら、これまで見てきたことからすると、米独金利も、一段と低下に向かい、ユーロ安、そしてドル安・円高がさらに広がる可能性があるでしょう。ただ後者の場合なら、雇用統計が悪かったにもかかわらず、米独金利上昇、そしてユーロ高、ドル高・円安といった展開になる可能性があるでしょう。


≪資料4≫は、代表的な米景気指標であるISM製造業景況指数と米金利(実質長期金利)を重ねたものですが、これを見ると最近の米金利低下はとても景気では説明できないものになっていることがわかるでしょう。このような中では、景気が少し悪化しても、そもそもそれで説明できないほど下がりすぎとなっていた金利が上がる可能性はあるでしょう。


そんな米金利上昇などのリスク選好、リスクオン相場への反転が起こるかは、引き続き欧州情勢が鍵を握っており、それはスペイン10年物金利が7%攻防局面にあるといった意味では、重大な岐路に立っている可能性があるのかもしれません。(了)
 
≪資料3≫
 
≪資料4≫
 

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