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2012/06/27 17:02消費税増税と30円の大幅円安

消費税が2014、2015年と段階的に引き上げられる見通しとなってきました。ところで、過去2回の消費税引き上げ後は、ともに1年程度といった比較的短期間に約30円もの大幅円安となったのですが、果たして今回はどうでしょうか。


◆なぜ消費税増税で円安になったか
最初に消費税が3%で導入されたのは1989年です。それが5%に引き上げられたのは1997年でした。


ところで1989年の消費税導入から翌1990年にかけてドル円は130円程度から160円程度まで約30円の大幅な円安となりました。また、1997年に消費税が引き上げられると、ドル円はその後の約1年半で120円から150円近くまで、やはり約30円の大幅円安となったのです。


ではなぜこのように過去2回の消費税増税後は大幅円安となったのでしょうか。またそれは今回も繰り返されることになるのでしょうか。


過去2回の消費税引き上げ後に共通した一つはインフレ率の上昇です。消費税増税で物価が上昇するのはとてもわかりやすいと思いますが、このようにモノの価値が上がることで、相対的に通貨の価値が低下する、つまり円安になったというのが基本的な理解となるでしょう。


またインフレ率の上昇により、名目の金利からインフレ率を引いた実質金利は低下します。このように実質金利低下を受けて、円安になったと考えるのも理解しやすいところでしょう。


◆増税前の円高回避という日銀への期待
一方で、過去2回の消費税引き上げでは引き上げ前まで円高になっていました。例えば、1989年4月の消費税導入の際は、その3か月前まで円高となっていました。1997年4月に消費税を引き上げる時も2年前まで円高となったのです。


これは消費税引き上げ前のいわゆる「駆け込み需要」が金利上昇をもたらした影響もあったと考えられます。すでに史上最低水準まで低下している日本の金利をさらに低下させることで円安を実現することより、むしろそのような「駆け込み需要」などによる金利上昇を阻止することこそが、日銀に期待されることではないでしょうか。


今回も消費税増税が具体化される中では、それが30円といった大幅なものになるかはともかく、インフレ率の上昇がある程度の円安要因になる可能性は頭に入れておく必要がありそうです。


消費税の引き上げはこれまでのところ「10年に一度」といったペースで行われてきました。私たちはよく、「100年に一度」、「10年に一度」といった表現を使いますが、その意味では今回の消費税引き上げも実体経済へのインパクトを意識する必要があるものだと思います。


その最初の手掛かりはインフレであり、そして金利、為替と考えていくのが、消費税の為替への影響を考える際の基本的な流れだと思います。(了)


≪資料≫

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