今週はこう動く! マーケット羅針盤

2012/06/13 16:23円高終了を判断する「最後の条件」

3月に84円までドル高・円安となりました。その後、私は4-5月にかけて少し円高になると考えてきましたが、それが6月1日で終わった可能性に注目しています。


◆最後の鍵を握るスペイン危機の見極め
ドル円と相関性の高いのは米国金利です。そしてその米国金利は、欧州危機を受けたスペイン金利などと逆相関の関係が3月頃から目立ってきました。


その欧州危機では先週末、電撃的なスペイン支援が決まりました。これを受けてある知人の欧州担当アナリストは「暫定的な判断ながら、独金利は先週までに底を打った可能性がある」との見方を示しました。


欧州危機を受けた質への逃避で独金利が低下してきたので、それが終わったということは、つまり欧州危機が最悪期を過ぎた可能性があるということです。そうであれば、欧州危機と逆相関となってきた米国金利低下・ドル下落もいよいよ一段落した可能性が出てくるでしょう。


ところが電撃的なスペイン支援にもかかわらず、週明け早々スペイン国債は急落、利回りは急騰となりました。これは欧州危機がまだとてもとても終わりではないということなのでしょうか。


◆欧州危機の解決は「絶望」か「希望」か
そこで私はスペイン支援でも、なぜスペイン国債急落となったかについて考えてみました。そもそもそれは政策的限界であり、避けられない結果ということだったのか。


スペイン支援でも、むしろそれが国債を急落させるリスクのあることは、あらかじめわかっていたことでした。海外からの支援がスペイン政府の「借金」になるなら、新たな財政赤字拡大を招くからです。


ただそのためにスペイン国債急落となったら無意味なので、それを回避することが意識されました。キーワードはスペインの銀行支援をいかにソブリンリスクと切り離すかということでした。


その一つの鍵が資金提供元をESMにするか、それともEFSFにするかということでした。それは9日の電撃的スペイン支援決定でも未定となっていました。前者だと、既存の保有債券が劣後化し売却を余儀なくされる懸念があります。そうなると銀行支援とソブリンリスクの切り離しに「失敗」しかねないわけです。


ESMかEFSFか。それについて、ドイツ、フィンランドなどがESMを支持しているとの報道が流れました。この報道などをきっかけにスペイン国債が急落を拡大していったのは、これまでの話からすると理解できるところでしょう。一部通信社が取り上げた次の市場筋コメントは、その辺を雄弁に説明したものではないでしょうか。


「スペイン向け融資について皆が考えていたことと、その後に判明したのは別物だった」


今回のスペイン支援を受けた金融市場混乱の教訓は、それだけ全体的に脆弱で一筋縄ではいかないということではないでしょうか。ただ救いは、スペイン支援自体の効果がないということではなく、リスクの所在、つまりそれをソブリンリスクと遮断して進められるかという点にあることは、しっかり認識されているということです。


何が問題か認識できていても、それを解決できないことももちろんありますが、解決策が全くないといった絶望的状況とは違うようです。スペイン金利急騰リスクは残っていますが、一方でこれまで質への逃避となってきた米独金利低下が、反発の兆しを見せているのも「変化」の兆しではないでしょうか。


この「変化」、つまり米金利低下の終了が見極められたら、それと連動してきたドル安・円高も、確かにあの6月1日で終わっていたということになりそうです。それが今見極める必要のある最も重要なテーマだと考えています。(了)


 

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