今週はこう動く! マーケット羅針盤

2012/05/28 14:00雇用統計でドル底固めは決着するか

◆ドル円の52週線と120日線
3月に84円まで進んだドル高・円安でしたが、先週は一時79円割れ含みになるところまでドル安・円高に戻してきました。では、このドル安・円高はまだ続くのでしょうか。

3月に84円まで進んだドル高は、≪資料1のように、52週移動平均線を大きくブレークしたことが値動きにおける最大特徴の一つでした。ところで、2007年から続いてきた今回のドル安・円高トレンドに限らず、52週線を大幅にブレークした動きは基本的に「ダマシ」、つまり一時的な動きではありませんでした。
 
≪資料1≫


出所:BloombergよりMarket Editors作成
 
≪資料2≫は、今回のようにドルが52週線を大きくブレークした局面に印を付けてみたものです。これを見ると、52週線を大きくブレークした動きは、基本的にその後しばらく52週線を逆にブレークしていませんでした。

さて、足元の52週線は78.8円程度です。以上見てきた経験則が今回も当てはまるなら、ドルはこの局面でも79円前後を大きく、長く割り込まないとの見通しになります。あくまで、ドル高・円安トレンドへ転換した動きにおけるドル底固めであり、それも価格的に見ると最終段階に入っている可能性が高いといった見方になるでしょう。
 
≪資料2≫

出所:BloombergよりMarket Editors作成
 
それでも、5月中旬頃から、ドルが80円を大きく割り込む動きになってくると、果たして今回も経験則通りになるのか不安な見方は増えてきたかもしれません。そして、それはユーロ崩壊の「パンドラの箱」を開きかねないギリシャのユーロ離脱問題が鍵を握っているということになるのでしょうか。

それについて私は、より直接的には足元79円半ば程度で推移している120日移動平均線をドルが維持していけるかどうかが最大のポイントになると思っています。

≪資料3≫は、投機筋のドル円のポジションです。これを見ると、最近は2010年以降でベスト3に入るほど一時大きくドル買い・円売りに傾斜していたことがわかります。ところで、今回を除く2回の本格的ドル買い局面は、それぞれ2010年5月、2011年4月に一段落すると、一転して大きくドル売り・円買いへ転換に向かいました。
 
≪資料3≫

出所:BloombergよりMarket Editors作成
 
このようにドル買いからドル売りへ180度転換が起こったタイミングはドルが120日線を割り込んだタイミングとほぼ一致していたのです≪資料4≫。じつは、代表的な投機筋であるヘッジファンドの一部は、120日を重視した取引を行うとの見方があるのですが、確かにそれを裏付けるものといえそうです。

以上のように見てくると、3月84円から続いてきたドルが、52週線の経験則通り、79円前後で底固めできるか、それとも今回は経験則とは異なってドル底割れのリスクも抱えるかを考える上での、最も直接的な目安は足元79円半ば程度の120日線攻防ということになるでしょう。
 
≪資料4≫

出所:BloombergよりMarket Editors作成
 
◆米2年物金利と雇用統計
ドルは120日線を基本的に維持することができるのか、それとも120日線を完全に割り込むようならヘッジファンドなどは本格的ドル売り再開に転換する可能性もあるわけです。ところで、そんなドルの動きをこの数か月、とくに2月半ば以降の3か月、かなり説明できるものになっていたのは米2年物金利でした。

≪資料5≫は、2月半ば以降のドル円と米2年物金利のグラフを重ねたものです。ところで、そんな米2年物金利は、この1-2週間比較的上昇傾向となりました。このため、米2年物金利からすると、ドルが足元79円半ばの120日線を割り込んでいる動きは正当化されるものではありません

それにしても、この1-2週間は、ギリシャショックへの懸念などから世界的に金利は低下傾向が目立ちました。その中で、米2年物金利の上昇傾向が続いたのはなぜでしょうか。この米2年物金利上昇が一時的で、再び低下に向かうかは、この3か月のドル円との関係が変わらない限り、これまで見てきたドル円の120日線攻防の鍵を握るものでしょう。
 
≪資料5≫

出所:BloombergよりMarket Editors作成
 
米2年物金利とは、基本的に金融政策を反映する金利です。その意味では、そんな米2年物金利上昇は、金融政策を織り込んでいる可能性があるでしょう。FRBの金融政策を分析する専門家、FEDウォッチャーたちの中には、昨年9月から続いてきたFRBの長期国債購入、ツイストオペが、6月末で予定通り完了するとの見方がありますが、それは超金融緩和政策修正の第一歩であり、最近にかけての米2年物金利上昇は、それを織り込む動きではないでしょうか。

今週末、6月1日は、そんな米金融政策への影響が大きい米雇用統計が発表されます。これを受けて、6月FOMCでの超金融緩和見直し第一歩の見通しが強まるか、それは米2年物金利に影響し、その米2年物金利はドル円の120日線攻防に影響し、それが52週線の経験則が今回も機能し、ドルが最終的な底固めを完了することになるか否かの大きな鍵を握ることになるのではないでしょうか。(了)

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