今週はこう動く! マーケット羅針盤

2012/05/23 15:03ドル円の鍵を握る「米2年物金利上昇の謎」

ギリシャなどへの不安が広がり、5月に入ってから世界的に株価が下落、長期金利も低下傾向が続きましたが、その中でドル円と連動性の高い米2年物金利は、むしろこの1週間ほど上昇傾向が続きました。今回はドル円の鍵を握るそんな「米2年物金利の謎」について考えて見ます。


◆米景気悲観論は過剰ではないか
米2年物金利は金融政策を反映する金利です。従ってその上昇とは、普通に考えると、FRBの超金融緩和見直しを織り込み始めた可能性があるということでしょう。しかし、2ヶ月連続でNFP(非農業部門就業者数)が予想を下回るなど、米景気への不安を指摘する声もなくはない中で、超金融緩和の見直しというのは違和感のあるところでしょう。


ただ逆に言えば、本当に米景気不安再燃といった悲観論になるのかという問題提起はあるでしょう。確かに、NFPは過去2ヶ月連続で事前予想より悪いものでしたが、それでも前月比で2ケタの増加を維持しました。


昨年、一昨年も、NFPは年央から急悪化となりましたが、一昨年の場合は一気に前月比マイナスへ転落、そして昨年も前月比の増加幅は1ケタに急減し、それが4ヶ月も続いたのです。そういった過去2年と比べると、これまでのところで「NFPショック」と呼ぶのは時期尚早でしょう。


そもそも過去の景気回復局面におけるNFPの増加は、おおむね10-20万人でした。つまり前月比の増加幅が2ケタを維持している中では、景気回復、労働市場回復トレンドということになるので、この2ヶ月の結果を踏まえても、景気回復が続いているとして、FRBが超金融緩和見直しを進める可能性は否定できないのかもしれません。


◆6月でFRB米国債購入は終了へ
FRBの現行の超金融緩和政策の柱の一つが、長期国債を購入する政策、非伝統的緩和と呼ばれるもので、現在はツイストオペがそれということになります。そのツイストオペは、6月末で終了の予定ですから、予定通りなら超金融緩和見直しの第一歩になるわけです。


この非伝統的金融緩和の目的は長期国債購入で、その利回り、つまり長期金利を低位安定させることが一つです。現在、その長期金利は歴史的低水準にあるので、上述のように景気回復も続いているということなら、予定通り6月でツイストオペは終了するというのがFEDウォッチャーの普通の見方のようです。


以上のように見てくると、最近にかけての米2年物金利の上昇も、超金融緩和見直しを織り込む動きであり、必ずしも不自然なもの、つまり「謎」ではないのかもしれません。ところでその米2年物金利とドルは、とくに2月後半から高い相関性を維持してきました。その意味で米2年物金利上昇が不自然でないなら、ドル安も続かない、むしろドル高へ反転する可能性もあると思います。(了)

※当レポートは、情報提供を目的としたものであり、特定の商品の推奨あるいは特定の取引の勧誘を目的としたものではありません。

※当レポートに記載する相場見通しや売買戦略は、ファンダメンタルズ分析やテクニカル分析などを用いた執筆者個人の判断に基づくものであり、予告なく変更になる場合があります。また、相場の行方を保証するものではありません。お取引はご自身で判断いただきますようお願いいたします。

※当レポートのデータ情報等は信頼できると思われる各種情報源から入手したものですが、当社はその正確性・安全性等を保証するものではありません。

※相場の状況により、当社のレートとレポート内のレートが異なる場合があります。

バックナンバー

  • 2019.01.15 更新今週の注目通貨(米ドル/円)◆要約◆・米ドル/円は2015年8月チャイナ・ショック後の展開とこれまでのところ似ている。似た動きがこの先も続くなら、しばらく108-111円中心のもみ合いの可…
  • 2019.01.07 更新2019年の米ドル/円を予想する◆要約◆・米ドル/円は、2018年10月114円から米ドル安・円高トレンドに転換した可能性。きっかけは、9年間の米株高が終わり、株安へ転換したこと。・リスクオフ…
  • 2018.12.25 更新今週の注目(リスクオフの通貨選択)◆要約◆・リスクオフでは米ドル/円もクロス円もドルストレートも全て基本的には下落しやすいので、売りに適性のある通貨ペアを探す必要がある。・売りに適性のあるのは割…
  • 2018.12.17 更新今週の注目通貨(米ドル/円)◆要約◆・米ドル/円はこのまま小動きが続くと、値幅が2カ月連続の2円未満、年間値幅も10円を下回るといった具合に記録的な小動きにとどまる見通し。・19日のFOM…
  • 2018.12.10 更新今週の米ドル/円を予想する◆要約◆・米株安は大きな岐路に。2-3月との類似やアノマリーからするとそろそろクライマックスだが、逆にいえばさらなる株安なら、未体験の株安となる懸念が強まりかね…

「今週はこう動く! マーケット羅針盤」過去記事のタイトル一覧(月別)はこちら。

そのほかのマーケット情報

ページトップへ