今週はこう動く! マーケット羅針盤

2012/05/16 14:50ドル高・円安「藪の中の真相」とは?

15日のドルは3日以来8営業日ぶりに80円台でのクローズとなりました。これはギリシャ不安で「有事のドル買い」になったためというより、米景気回復期待からのドル高ということではないでしょうか。


◆ギリシャ不安でも米短中期債は下落
15日の海外市場で話題を独占したのは、ギリシャで挙国一致内閣の組閣が失敗し、再選挙が確定したことでした。このためギリシャのユーロ離脱懸念が一段と高まったとの解説が多いようです。


こういった中で、為替はドル高・円安となり、ドルは5月3日以来実に8営業日ぶりに80円の大台を回復しての取引終了となりました。このドル高は、ギリシャ不安を受けた安全資産ドル買いの結果との解説が一般的のようです。


ただ安全資産の代表格である米国債、特に短中期債は反落しました。たとえば、2年物金利は0.26%から0.27%へ上昇(価格は下落)しました。2年物金利が0.27%以上に上昇したのは、実に4月17日以来ですから、約1カ月ぶりでした。


ではなぜギリシャ不安が一段と強まり、欧州中心に株価急落、金利低下が広がる中で、世界一の安全資産とされる米国債は短中期債中心に下落となったのでしょうか。これについて一部の市況では「この日発表された米景気指標が良かったから」といった具合に、きわめてシンプルに解説していました。


こんなふうにギリシャ不安の中でも、安全資産の米国債が、米景気回復期待を受けてむしろ反落(金利上昇)になったということなら、為替がドル高・円安になったというのもさらに理解しやすくなるでしょう。なぜなら、この数カ月のドル円はまさにその米金利と重なって動いてきたからです。


◆「主役」はギリシャではなく米景気なのか
≪資料≫は日銀がインフレ目標の採用を決めた2月14日までは日米2年金利差、そして2月15日以降は、日本の2年金利をゼロに、実質的に米2年物金利だけにしたものとドル円のグラフを重ねたものです。こんなふうに、2月14日以前のドル円は日米2年「金利差」と、そしてそれ以降は米2年「金利」と高い相関関係となってきたわけです。


こんなふうに約3カ月、ドル円と同じように動いてきた米2年物金利が、上述のように15日は4月17日以来、約1カ月ぶりの水準まで上昇したわけです。これまでの相関関係からすると、ドル高・円安になったのは当然ということになるでしょう。


≪資料≫
出所:BloombergよりMarket Editors作成


とても細かい見方をすると、米2年物金利は15日、4月17日以来の水準まで上昇したわけですが、その4月17日のドルは80.8円程度でした(終値)。こんな見方をすると15日の終値80.2円程度も特にドル高過ぎる感じはしないでしょう。


私が面白いと思うのは、この数カ月のドルの動きに影響を与えていたのは米2年物金利であり、その米2年物金利は、ギリシャ不安のリスク回避なら低下(債券価格上昇)となるのが基本のはずなのに、むしろ金利上昇(債券価格下落)となった背景には、ギリシャではなく、米景気回復期待に反応したということです。


このようにまとめてみると少なくとも15日の為替市場がドル高・円安になった「藪の中の真相」は、ギリシャ不安でのリスク回避ではなく、米景気回復期待を受けたリスク選好の可能性があるわけです。もしも一般の想像を超えて、米景気回復がギリシャを上回る金融市場の主役になっているなら、先行きを考える上でも意味深いでしょう。(了)

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