今週はこう動く! マーケット羅針盤

2012/05/07 11:445月の為替を予想する

◆「セル・イン・メイ」ドル売りの分岐点は79.3円
5月が始まりました。ではこの5月は、3月から続いてきたドル安・円高が一段と広がるのか、それとも反転することになるのでしょうか。


5月の相場の格言の一つに「セル・イン・メイ」という言葉があります。5月末、6月末は、ヘッジファンドや欧米金融機関の中間期末に当たることから、利益確定が入りやすいといった意味です。


ヘッジファンドなど投機筋のポジションはドル買い・円売りに傾斜しているようです≪資料1参照≫。その意味では、「セル・イン・メイ」はドル売り・円買いをもたらしそうですから、ドル安・円高がさらに続く可能性は予断を許せないでしょう。


≪資料1≫
 
ただ3月の高値84円から、先週は80円割れのドル安・円高となったわけですが、その割に上述のCFTC統計によると投機筋の円ポジションは、5月1日現在でも5万枚の円売り越しとなっており、投機筋のドル買い・円売りは意外に減っていないとも見れなくありません。


このCFTC統計の円ポジションは120日移動平均線との関係がこれまでとても強いことがわかっています。その120日線は足元79.3円程度ですから、それをドルが上回っている中でドル買い・円売りが中々減らないというのもわからなくはありません≪資料2参照≫。


≪資料2≫
 
ただ逆にいえばこの120日線をドルが割り込んでくると、一転してドル売り・円買いが急拡大に向かう可能性はあるわけです。こんなふうに見てくるとこの5月に「セル・イン・メイ」で一段とドル安・円高が広がるかは、一つは120日線攻防が鍵を握ることになるのかもしれません。


◆米金利低下が8週以上続くことはあるのか?!
ではドルはこのまま120日線を大きく割り込み、「セル・イン・メイ」のドル売り・円買いが強まることになるのか、それともそれは回避されるのか。それを考える上での一つの鍵を握っているのは米金利でしょう。


≪資料3≫
出所:BloombergよりMarket Editors作成


なぜならこの間のドル下落は、米金利低下と相関性が高かったからです≪資料3参照≫。つまりドルが120日線を完全に割り込む動きになるかは、米金利低下が一段と続くかといったふうに言い換えることも可能かもしれないわけです。


このようにドルが120日線を完全に割り込むかが注目されている中で、米金利に大きな影響のありそうな米雇用統計の4月分の結果が4日に発表されました。その中のNFP(非農業部門雇用者数)、雇用増加数は、事前予想より悪い11.5万人にとどまりました。ではこれで一段と米金利は低下に向かうところとなってしまうのでしょうか。


ところで、この予想より悪いNFP、言うならば「NFPショック」により、米長期金利は先週まで7週連続の低下となりました。これは、2008年12月にかけての記録と並び、2008年の金融危機以降でも、金利低下の連続記録では最長となります。


別の言い方をすると、金融危機以降でも米金利低下が8週以上続いたことはなかったわけです。そんなふうに考えると「NFPショック」となったからと言って、この先も8週、9週と米金利低下が続くことはあるのでしょうか。


そしてそんな米金利低下はこの間ドル下落と連動してきたわけです。米金利低下がそろそろ限界に近付いているなら、それと連動してきたドル下落もこれまで見てきた120日線を割り込むかは微妙かもしれません。そうだとすると、「セル・イン・メイ」で、ドル売り・円買いが本格化するかも微妙な状況にあると思います。


◆「NFPショック」と欧州危機の影響は?
そもそも、「NFPショック」とは言っても、11.5万人の増加といった数字が大きく悲観すべきものかは微妙でしょう。専門家の常識からすると、景気回復局面での労働市場回復トレンドの中ではNFP増加は10-20万人のレンジで推移するとの見方が基本であり、そのレンジ内には入っているわけです≪資料4参照≫。


≪資料4≫
 
またこの4月雇用統計で同時に発表された失業率は8.1%へ一段と低下しました。これは経験的にFFレートと相関性の高いものですから、本来的にはQE3に象徴される非伝統的金融緩和が行われる可能性は一段と低下したことを意味する結果だと思います≪資料5参照≫。


以上のようなことも考えると、金融危機以降でも起こったことのない8週以上の米金利低下となる可能性は簡単ではないのではないでしょうか。そしてそんなふうに米金利低下が限界に近付いているなら、それと連動してきたドル下落も、いったん終わりに近付いている可能性はあるのではないでしょうか。


≪資料5≫
 
米長期金利は3月下旬から2.4%手前から続いてきました。これと当初相関性の高かった動きは欧州債務不安、とりわけスペイン債務不安を受けたスペイン長期金利上昇と、米金利低下は逆相関関係となっていました≪資料6参照≫。


≪資料6≫
出所:BloombergよりMarket Editors作成


そのスペイン金利上昇は4月後半からピークアウト、低下に転じ始めた兆しがあります。それが本物かどうか、この日曜日に行われた欧州の2大選挙、フランス、ギリシャなどの結果を受けた動きは注目されます。


こんなふうに欧州債務不安、そして「NFPショック」などをにらみながら、それでも米長期金利低下が金融危機以降の経験則通り、一旦の限界を迎えることになるか否か。それは、そんな米金利と連動性の高いドル相場が、120日線を割れるか、それを回避できるかでも重要な目安になり、5月の相場を左右する可能性があるのではないでしょうか。(了)

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