今週はこう動く! マーケット羅針盤

2012/04/23 14:57FOMCで為替はどうなる?

◆FOMCで米金利低下、ドル安は終わるのか
今週は25日に米国、そして27日に日本の金融政策発表が予定され、為替市場でも関心がとても高いものになっているようです。私もとくに25日の米国の金融政策発表はやはり重要な鍵を握っているのではないかと思っています。


結論的に言うと、そのFOMCは、4月初めの米3月雇用統計発表以来再浮上した形となっている追加緩和観測、いわゆるQE3期待がやや過剰反応であることを再確認することにより、最近にかけての米金利低下の終わりを確認することで、それと連動したドル安・円高の終わりを確認する手掛かりになる可能性に注目しています。


最近の米長期金利(10年債利回り)の推移ですが、4月に入り米雇用統計、特にNFP(非農業部門雇用者数)が事前予想よりかなり悪い結果になった「NFPショック」を前後して金利低下が加速し、ついに2%の大台を割り込む動きになってきたわけです。


このような米金利の大幅低下により日米金利差ドル優位も大きく縮小したため、ドル円相場も一時80円割れ手前までドル安・円高になったということでしょう。その意味では、今後のドル円の行方を考える上で、米金利の動きは重要な鍵の一つだと思います。


ところでこのような米金利の大幅な低下は、「NFPが事前予想よりかなり悪い結果になった」からだと述べましたが、確かに事前予想が前月比22万人程度の増加だったのに対し、結果は12万人の増加にとどまったのでそのような言い方にはなりますが、ただ「絶対評価」としてこの12万人増というのが「悪い結果」なのか、実は微妙なようです。


≪資料1≫は、NFPの過去3、6、12ヶ月平均のグラフですが、過去3、6ヶ月平均のNFPは依然として15万人を大きく上回るものとなっています。そもそも専門家の間では、過去の景気回復局面、労働市場回復局面でのNFPは10-20万人程度の増加が目安とされているので、その意味では今回の12万人増という結果で悲観的になるのも過剰反応ではないでしょうか。


≪資料1≫
 
また今回の「NFPショック」を受けて、一時後退していたQE3への期待も再浮上しているようです。ただFOMC関係者の発言を見ると「NFPショック」前後でそれほど大きく変化した感じもありません≪資料2参照≫。


ミネアポリス連銀のコチャラコタ総裁などは、「2012年後半にも利上げが正当化される可能性がある」などと述べていました。追加緩和支持、いわゆる「ハト派」の代表格の一人と見られているNY連銀・ダドリー総裁の発言の中にすら「3月雇用統計の結果は一時的な可能性がある」といった見解がありました。


さてこの4月のFOMCでは、メンバーの経済見通し公表が予定されています。また新たな方針として決まったFOMCメンバーの利上げ開始時期についての見方も公表される予定となっています。


これらに対する専門家の一般的な見方としては、実はインフレ率見通しは上方修正され、そして利上げ開始時期も全体的に前回の発表より早まるというところとなっているようです。


私はこれまで述べてきたように「NFPショック」後のQE3期待再燃といった追加緩和観測は過剰反応ではないかと思っています。そういった中で、上述のように4月FOMCでインフレ率見通しが上方修正され、利上げ開始時期予想もむしろ全体的に早まることになったら、過剰反応だったことが再確認されることになるのではないでしょうか。


≪資料2≫
出所:各種資料よりMarket Editors作成


そうであれば「NFPショック」前後の米金利低下が下げ止まる一つの手掛かりにこのFOMCがなる可能性はあるでしょう。それでなくとも、≪資料3≫のように、米金利は米景気に比べて下がり過ぎの可能性があることからさらなる低下の可能性はそもそも低いと思います。


≪資料3≫
出所:BloombergよりMarket Editors作成


◆「円安の調整」は最終段階の可能性
そんなふうに米景気で説明できる範囲を超えた米金利低下をある意味ではこれまで述べてきた「NFPショック」以上に、うまく説明できたのはスペインなど欧州債務不安再燃の動きでした。≪資料4≫のように、スペイン金利と米金利は、3月後半から強い逆相関関係が続いてきました。


≪資料4≫

≪資料5≫
出所:BloombergよりMarket Editors作成


そんなスペイン金利は国債入札を前後して金利上昇が大きく転換した1月にかけてのイタリア金利の動きに似ていると見れなくありません≪資料5参照≫。そうであるなら、実は先週のスペイン国債入札を前後して、スペイン金利上昇も転換が始まっている可能性があるかもしれないと私は思っています。


こんなふうに「NFPショック」とスペイン危機によってもたらされた最近の米金利低下は、先週のスペイン国債入札に続き、今週のFOMCで重要な転換が試される局面にあるかもしれません。その中で、もしもこれまで述べてきたように米金利低下一巡が確認されるなら、それと連動したドル安・円高もいよいよ終わる可能性が高まるでしょう。


私は3月にかけて一時84円台までドル高・円安になった動きは、52週移動平均線を大きくブレークしたことなどから、値動き的には一時的なドル高ではなく、もう52週線をドルは下回らない可能性が高いと考えてきました≪資料6参照≫。


≪資料6≫
出所:BloombergよりMarket Editors作成


52週線は足元79円程度であり、その意味では3月84円までのドル高・円安一幕の調整も、79円をドルが割らない形で終わる可能性が高いと考えてきました。ではそんな「円安の調整」が4月16日の80.2円ですでに終わっていたのか。それを先週のスペイン金利、そして今週のFOMCを受けた米金利の動きで見極めることになると考えています。


今週は27日に予定されている日銀の金融政策決定も大きな注目を集めているようです。一般的にはFOMC以上に関心が高いのかもしれません。ただドル円と日米金利差の相関関係が高い状況が続いている限りにおいては、絶対水準の極めて低い日本の金利が低下し、金利差ドル優位拡大に影響する余地は限定的だと私は思います。(了)


 

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