今週はこう動く! マーケット羅針盤

2012/04/16 13:35円安の調整か、それとも円高再燃なのか

過去2年以上ドル円と高い相関関係が続いてきた日米2年債利回り差ドル優位が、最近にかけて縮小し、日銀が「サプライズ」とされたインフレ目標採用を決定し、合わせて追加緩和を決めたことで今回のドル高・円安の重要なきっかけをつくったとの指摘の多い2月14日前後の水準までついに縮めてきました≪資料1参照≫。


≪資料1≫
出所:BloombergよりMarket Editors作成


3月にかけて一時84円までドル高・円安となった一番の理由が、この日銀の「バレンタインデー・サプライズ」だったかはともかく、≪資料1≫からわかる通り、この頃から日米金利差ドル優位拡大が顕著となり、それはある程度、ドル高・円安を説明できるものではありました。


そんな日米金利差ドル優位が、ドル高・円安が始まる前に戻ってきたわけですから、ドル円相場も元に戻ってしまうのでしょうか。ちなみに、2月14日当時のドルは79円を下回った水準で推移していました。金利差がそんな水準まで縮小してきたのに、ドルは13日終値で80円を上回っているわけですから金利差からは割高感があるのも事実です。


それにしてもドル金利差優位が、ドル高・円安が本格化する前の水準に戻ってきた原因は、日本でしょうか、それとも米国でしょうか。≪資料2≫、≪資料3≫を見ると、基本的にはやはり米国が原因ということでしょう。


≪資料2≫
 
≪資料3≫
出所:BloombergよりMarket Editors作成


≪資料2≫は日本の2年債利回りですが、2月14日以降も0.12%前後の一進一退が続き大きな変化はない、つまり最近にかけて急上昇したわけではありません。一方、≪資料3≫は米2年債利回りですが、こちらは一時0.4%程度まで大幅上昇したのが最近にかけて0.3%を再び大きく下回ってきたわけです。


以上からすると、84円までドル高・円安になったのも、その後最近にかけてドル安・円高に戻してきたのも、ほとんどは最近にかけての米景気回復期待への不安再燃、欧州債務不安再燃などを受けた米金利低下の「独り舞台」ということではないでしょうか。そうであればこの先ドル安・円高が一段と広がるか、再びドル高・円安へ戻るかもすこぶる米金利次第ということになるでしょう。


これまで見てきたように、金利差は元のドル安・円高に戻ってもおかしくないところまで縮小してきたわけですが、一方で為替市場はかなりドル買い・円売りに傾斜した状況が続いているようです。ヘッジファンド等の取引を反映するCFTC統計によると、投機的円ポジションは6万枚以上と高水準の売り越しとなっています≪資料4参照≫。


≪資料4≫
出所:CFTC統計よりMarket Editors作成


なぜこんなふうに金利差ドル優位が縮小してきたにもかかわらず、投機筋はドル買いに傾斜した状況が続いているのでしょうか。投機筋のドル円取引をかなり説明できる120日移動平均線は足元78.9円程度で、ドルはそれを上回った状況が続いています≪資料5参照≫。このためドル買い戦略が継続している可能性はあるでしょう。


ただ逆にいえば、もしもドルが120日線を下回るようなら投機筋にもドル売りシグナルが出ることになり、ドル買い・円売りに大きく傾斜したポジションが大逆流を起こし、ドル売り・円買い圧力が急拡大する懸念があるわけです。そんなふうになってしまうことはありうるのでしょうか。


ドルは先週で52週移動平均線を9週連続で上回りました。経験的に52週線は「ダマシ」が少なく、こんなふうに約2カ月もの長きに渡って52週線をブレークした動きが「ダマシ」だったことはこれまでほとんどなかったので、その意味ではこのドル高は一時的ではなく、そうであればもうドルは52週線を下回らない見通しになります≪資料6参照≫。


その52週線は足元78.3円程度ですから、この経験則が今回も崩れないならこれまで見てきた120日線、79円割れのドル売り圧力急拡大も未遂に終わる可能性が高いということになるわけですが、果たしてどうでしょうか。


そんなふうに最近にかけてのドル安・円高が、あくまであの3月84円までの円安一幕の調整局面に過ぎないのか。それを試す最大の正念場に差し掛かっているのではないでしょうか。(了)


≪資料5≫
 
≪資料6≫

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