今週はこう動く! マーケット羅針盤

2012/04/04 17:02米金融政策は誰が決めてきたのか?

3日にFOMC議事録が発表されると追加緩和期待が後退したということで、米金利急上昇、為替もドル急上昇となりました。ただ追加緩和が難しいということは、状況証拠的には意外なことではないのではないでしょうか。


◆株急落が決めてきた追加緩和
少し大胆な言い方をすると、追加緩和はバーナンキが決めるものではないでしょう。では、何が決めるというのでしょうか。


最近の追加緩和はある意味では株価が決めてきました。最近の代表的な追加緩和は、2011年9月のオペレーションツイスト(ツイストオペ)、そして2010年11月のQE2です。この2つはともにNYダウが最大15%前後の大幅安となった中で決定されました≪資料1参照≫。


≪資料1≫

政策金利がゼロになって以降の金融緩和は、非伝統的緩和と位置付けられます。さすがに株価が急落する中ではそんな「非伝統的」な金融緩和もやらざるをえないだろうということで決定されてきたということではないでしょうか。


そうであれば最近のように株価が高値更新を続ける中で、本当に追加緩和できる可能性があるのでしょうか。もしも、この株高の中でも追加緩和を決めるようなら、それは少なくともこれまでと全く違った判断根拠ということになるわけです。これまでと違った判断を下すなら、それを納得させるためにはこれまで以上の根拠が必要でしょう。


◆解釈ばかりで「状況証拠」軽視ではないか
私が言いたいのは、追加緩和はバーナンキの一存だけで決められるものではないということです。独裁者ではなく民主主義の社会である以上、ある程度コンセンサスが得られる状況証拠の中で初めて決定されるということでしょう。


そんな状況証拠の一つに失業率もあるでしょう。≪資料2≫は、失業率(失業率から失業率の過去10年平均を引いたもの)とFFレートを重ねたものですが、米政策金利と失業率は相関性が高いことが確認できます。ある意味では、米金融政策は、バーナンキよりも失業率で決まってきたということになるかもしれないでしょう。


≪資料2≫
 
そんな失業率が政策金利がゼロまで引き下げられ、利下げという伝統的金融緩和を使い果たした後もさらなる追加緩和の必要性を示唆するところまで悪化したことから行われてきたのが、非伝統的金融緩和、QEやツイストオペなどでした。


ところが、≪資料2≫を見るとその失業率は、すでに非伝統的金融緩和が必要な環境より改善を始めているようです。ザックリとした見方からすると、失業率が8.5%を上回って再び悪化してくると、非伝統的緩和が必要な状況に逆戻りしますが、逆に8.2%を下回って一段と改善すると、むしろ0.25%程度の利上げが必要な状況になってきます。


今週末6日に米3月雇用統計発表が予定されていますが、今述べたようなことを頭に置きながら、結果を待つのは「ワクワク感」が一段と違ったものになるのではないでしょうか。


今回は米金融政策が決まる中での「状況証拠」として、株価や失業率について確認してきました。QEという言葉に象徴される非伝統的政策を発動した追加緩和は、これまではバーナンキの独断で決められてきたのではなく、株価急落、失業率の8.5%を超える深刻な悪化といった「状況証拠」の中で民主的に決められたもので、そこにFRB議長としてのバーナンキのリーダーシップがあったということです。


もちろんバーナンキのリーダーシップも軽視されるものではないですが、むしろ一般的にはそれにばかり注目が集まり、様々な解釈が横行しているような気がします。「状況証拠」はもっと振り返られる必要があるのではないでしょうか。


「状況証拠」からすると、むしろこんな考え方が常識になるのではないでしょうか。「株が高値更新を続け、失業率も低下が続く中でQE3というのは、本気なのですか?」。(了)

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