今週はこう動く! マーケット羅針盤

2012/03/07 15:15ドル円、クロス円それぞれの「雇用統計大相場」

 今週末は、金融市場で注目される米雇用統計発表が予定されています。今回の場合もやはり重要な役割を果たすことになるのかもしれません。


 


◆クロス円の場合


 6日、NYダウは200ドルを超える急落となりました。中国が成長率目標を下方修正したこと、ギリシャのデフォルトへの警戒感など不安材料が続いたためとの解説が一般的なようです。


 それにしても、今週の金曜日予定されている米雇用統計は良い数字が期待されています。「雇用統計発表控え様子見」とされることが少なくないところ、雇用統計発表前から大きく動いているというのは、「動く理由があったから」といえばそれまでですが、ちょっと気になるところです。


 私の経験からすると、雇用統計のような重要イベント前から相場が大きく動く場合は、イベント後の大相場を先取りしていることが少なくなかったようです。これを、私はこんなふうに理解しています。雇用統計のような重要イベント前から相場が動くのは、イベントの結果を待てないほど、エネルギーが充満しているということではないか。


 さて、NYダウは、昨年10月初めの安値から、すでに上昇相場が5カ月にわたり、その中で2割以上の大幅上昇となりました。その結果、いくつかのテクニカル指標は、短期的に上がり過ぎ警戒域に入っていた可能性を示していました。


 またそんなNYダウに連動する形で、豪ドル円などクロス円の一部も長い上昇相場の中で大幅高となっていました。その中では、当然のように豪ドルも「買われ過ぎ」警戒域に入ってきました。


 このような状況の中では、重要イベントである雇用統計が、期待通り良い結果でも、さらにリスク資産を買うのが目先的には難しくなっていたのではないでしょうか。雇用統計の結果いかんにかかかわらず、遅かれ早かれ始まる可能性のあったリスク選好、リスクオン相場の調整の動きが、雇用統計発表前から始まった可能性は注目されるところです。


 


◆ドル円の場合


 ではドル円はどうでしょうか。ドル円も、クロス円とは違った意味で、この雇用統計相場は大きな勝負どころになるかもしれません。


 2月からドル高・円安が大きく進む中で、足元79円程度の52週移動平均線をドルは先週まで3週連続、そして先週末は4%近くも大幅に上回ってきました。過去において、52週線を一定期間ないし大幅にブレークした動きは一時的ではありませんでした。その意味では、値動き的には、ドル高・円安基調が始まっている可能性が高まっていると思います。


 ただその中で一抹の不安は、米金利上昇に伴う金利差拡大がまだ現実になっていないということです。経験的に、金利差拡大を伴わないドル買いは「短命」に終わってきました。代表例は、昨年4月、一昨年5月などですが、後者の場合は、無理なドル買いの反動で、3日営業日程度でドルは7%の急落となったのです。


 このように見ると、ドル高・円安への基調転換がより確実性を増すためには、米金利上昇の追随がやはり必要ではないでしょうか。ただそれについても、以下のような考え方からすると近いところまで迫っているかもしれません。


 ある株式ストラテジストは、最近の状況はITバブル破裂が始まった2000年と方向は正反対ながら類似した局面にあると考えています。2000年のITバブル破裂における第一の主役はナスダック指数でそれは3月から急落が始まりました。しかし一部のIT銘柄はその後も高原横ばいが続き、約半年後にそれらも急落に向かった辺りから、ITバブル破裂が一般認識となっていったのです。


 さて今回はそれと方向は正反対ということは、逆バブル、安全資産バブル破裂局面にあるかということになります。安全資産バブルの主役は金相場であり、こちらはこれまでのところ昨年夏に天井を打った形となっています。それから半年以上経過し、安全資産バブル破裂が一般認識化される鍵になるかもしれないと注目されているのがじつは米国債です。


 このような見方からすると、米国債価格の急落、利回りの急騰はいつ始まってもおかしくない時間帯になっているのかもしれません。今週末の雇用統計がそのきっかけになり、米金利上昇が明確になるかが、この円安が一時的か、基調転換かを見分ける最大のポイントではないでしょうか。()

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