今週はこう動く! マーケット羅針盤

2012/03/05 14:478月87円、2014年100円、そして2015年120円?

◆ドル高は「一時的」か、基調転換かの見分け方
ドルは先週ついに82円近くまで続伸しました。それでもまだこのドル高は一時的で、いずれ再びドルは昨年10月に記録した75円台割れを試す動きに向かう可能性が消えていないといった慎重な見方もあるようですが、果たしてどうでしょうか。

これまでも何度か書いてきたように、この82円近くまでのドル続伸の動きは、足元で79円程度となっている52週移動平均線を大きく越えた動きです≪資料1参照≫。確認した限りでは、52週線を一定期間、そして大きくブレークした動きが一時的だったことはありませんでした。
 
≪資料1≫
 
この場合の「一定期間」とは1ヶ月程度、そして「大きく」とは4%以上です。ドル円は先週まで3週連続で52週線を上回りました。そして先週の終値は、52週線を4%近く上回るものだったのです。その意味では、かなり「一定期間」、「大きく」、52週線よりドル高・円安の動きになってきたようです。

52週線を、「一定期間」、「大きく」ブレークしたドル高・円安が一時的に過ぎなかったということになるなら、それはこれまで起こらなかったことが起こるという意味になります。

そうではなくて、これまで起こらないことはやはり今回も起こらないと仮定するなら、このドル高は一時的ではないということになります。むしろ、もう52週線を当面はドルが下回らないということは、79円を大きくドルが割り込むことすらないということになるわけです。

そして、過去において、52週線をブレークした直後のドルは一方向へ大きく動く傾向がありました。たとえば、≪資料2≫のように、2000年、2005年に、ドル高トレンドの中で52週線をドルが上抜けると、その後の半年程度でドルは10%前後の上昇となりました。
 
≪資料2≫

さて、これからの展開を考える上で、過去の似たようなケースを参考にするのは基本でしょう。そうであれば、今回2月79円の52週線をドルが上抜け、半年で10%の上昇なら、8月87円に向かうドル高・円安が始まっていると考えられるでしょう。誤差を考慮したら、夏から秋にかけて85-90円を目指すというのが基本シナリオだと思います。

ところで、そういった動きになったとしても、それはドル高・円安の始まりに過ぎないのでしょう。最短でもこのドル高・円安は、来年前半まで続き、その中で90円を越えることになるのでしょう。そしてそれはあくまで「最短シナリオ」で、過去のパターンに照らすなら、ドル高・円安は2014年まで続いて、100-110円を目指すことになるのでしょう。

なぜなら、≪資料3≫のように、過去20年余りを調べたところ、対円でのドル高は、最短でも1年半程度は続いており、その中でドルは2割以上の上昇となっていたのです。そしてドル高は、平均的には3年前後続き、3割前後のドル上昇となっていたのです。

為替相場の場合でも、今後の展開が必ずしも「平均シナリオ」通りに動くわけではないでしょう。ただ、そもそも何が「平均シナリオ」なのかがわからないと話しにならないはずです。まずは「平均シナリオ」を理解し、それを大前提とすることから先行きを予想するというのは、基本的アプローチのひとつだと思います。
 
≪資料3≫
出所:BloombergよりMarket Editors作成
 
◆米金利に「予想できないこと」が起こると「過去最長の円安」になる
ところで、私はこれまでそんなドル高・円安の「基本シナリオ」について述べてきました。この「基本シナリオ」が展開する中で、もしも米金利に現在からするととても「予想できないこと」が起こるようなら、ドル高・円安は「基本シナリオ」を超えた動きになる可能性が出てくるのではないでしょうか。

「予想できないこと」が起こるかを「予想する」というのは、言葉としてはまったく矛盾しているものだと思います。ただ過去において、「予想できないこと」が起こった前例は、私たちも確認することができます。

たとえばITバブル破裂後の米国の金融政策は、当初からはとても「予想できない」大転換に向かいました≪資料4参照≫。ITバブル破裂直後6%を越えていた米政策金利、FFレートが3年後の2003年に1%まで、つまり5%もの大幅低下となっていることを予想できる自信がある人は少ないでしょう。

こんなふうに、バブル破裂のような経済局面の大転換期における金融政策には、「予想できないこと」が起こるのです。その意味では、もしも今回の局面が行き過ぎた楽観論、「バブル」の正反対で、行き過ぎた悲観論、「逆バブル」の破裂という局面にあるなら、金融政策において「予想できないこと」が起こることを予想する意味が出てくるでしょう。
 
≪資料4≫
 
足元ゼロ金利のFFレートが3年後に5%を超えているといった予想は、現在はほとんどないと思います。しかし、今が逆バブル破裂局面なら、そんな「予想できないこと」が起こる可能性も出てくるのです。

FFレートが5%を超えていた2007年に、ドルは120円を超えていました。2015年、FFレート5%超といった、今ではとても「予想できないこと」が起こるなら、ドル高・円安は、過去20年余りの最長記録を更新、2015年120円が実現する可能性が出てくるかもしれません。(了)

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