今週はこう動く! マーケット羅針盤

2012/01/16 12:02「仏ショック」でユーロ売りは続くのか?

ついにS&Pが仏国債から最高格付けをはく奪しました。では、これであらためて欧州債務危機が広がっていくことになるかについて、今回は考えたいと思います。ポイントは、意外と安定していた欧州信用リスクと、ユーロ売り「バブル」の限界ということです。
 
◆「11月までのユーロ安」と「12月からのユーロ安」は別人
ところで、S&Pは、昨年8月初めに、米国債の最高格付けはく奪でも注目されましたが、その後米国債は売られず、むしろ財政緊縮強化に伴う景気悪化不安から、米国債利回りは低下となりました。

この米国債の例に限らず、最高格付けが引き下げられた国債の、直後の価格下落(利回り上昇)は限定的なのがこれまでは一般的でした。その意味では、これをきっかけに仏国債利回り急騰に向かう可能性は低いと思いますが、果たしてどうでしょうか。

実際問題、欧州の信用リスクは、12月に入った頃から比較的安定してきたようです。≪資料1≫は、欧州の信用リスクを示す欧州CDS指数とユーロドルのグラフを重ねたものですが、昨年10月初め、11月下旬と、2度欧州の信用リスクは急悪化する場面がありましたが、昨年12月以降は安定してきました。
 
≪資料1≫
 
そんな欧州の信用リスクは、昨年11月まではユーロドルと高い相関関係が続いていましたが、12月以降はそれが大きく崩れてきたことを、この≪資料1≫は示しています。その意味では、「11月までのユーロ安」と「12月からのユーロ安」は、違う理屈の可能性があるわけです。
 
◆「円売りバブル」ピークに近付くユーロ売り
そもそも、12月から欧州の信用リスクが比較的安定してきたのは、ECBの流動性対策などが奏功したこと、また、米景気回復を受けて、世界的にリスクへ回帰する動きになってきたことなどが考えられます。

その中でもユーロが続落したのは、ECB流動性対策や追加緩和で「ユーロ余り」が拡大したことを受けた動きではないでしょうか。その意味では、11月までは「欧州不安のユーロ売り」だったのが、12月以降は「カネ余りのユーロ売り」へと、変わった可能性はあります。

こういった中で、ユーロは空前の売り越し拡大となってきました。CFTC統計によると、1月10日現在で投機筋のユーロ売り越しは15.5万枚となり、私が確認している2004年以降では最高の更新が続きました≪資料2参照≫。
 
≪資料2≫

ちなみに、「円売りバブル」のピーク、投機円売り越し最高は、2007年6月26日の18.8万枚でした。円とユーロの違いはありますが、それにすら近付いてきたわけですから、「ユーロ売りバブル」ということはないでしょうか≪資料3参照≫。

ギリシャがついにデフォルトになりそうだとか、欧州情勢は依然として悲観的な材料が目立っています。ただその割に、意外と欧州信用リスクを示す指標は安定していたということ、そしてユーロ売りもいよいよ「円売りバブル」並みに拡大してきたということは頭に入れておきたいところです。(了)
 
≪資料3≫

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