今週はこう動く! マーケット羅針盤

2012/01/10 14:152012年の為替を予想する・豪ドル編

今回は、2012年の予想・豪ドル編です。
豪ドルは、対米ドルでも、対円でも適正価格の目安である購買力平価より「割高」推移が続いてきましたが、その程度にかなり差があります。ほとんどバブルのような対米ドルでの豪ドル「割高」が本格修正に向かうかの鍵は、QE3が握っているのではないでしょうか。
 
◆対米ドルでの豪ドル高は「バブル」なのか
豪ドルの適正価格の目安である購買力平価は、対米ドルでは0.7ドル程度です。その意味では、1ドル前後の豪ドルは、適正価格より40%以上といった具合に、記録的な割高になっているわけです≪資料1参照≫。
 
≪資料1≫

 一方、対円の購買力平価は70円程度ですから、豪ドルが90円になると30%近い割高になりますが、80円前後なら10数パーセントの割高にとどまっている計算になります≪資料2参照≫。

このように、豪ドルは対米ドル、対円ともに割高なのですが、その程度がかなり違うようなのです。つまり、1豪ドル=1米ドルという水準は記録的な豪ドルの割高であるのに対し、80円は極端な割高ではないし、70円台になるとほとんど豪ドルの割高感はなくなってしまうわけです。
 
≪資料2≫
 
なぜ、こんなふうに豪ドルは対米ドルと対円で割高度合いに大きな差が開いたのでしょうか。その根本を辿ると、FRBの量的緩和、QEの影響も一つ注目されそうです。≪資料3≫は、豪ドルの対米ドル相場と、コモディティーの総合指標であるCRBインデックスを重ねたものですが、両者は、2010年11月のQE2を前後し一段高となりました。
 
≪資料3≫
 
代表的な資源国通貨である豪ドルがCRBインデックスと相関関係が高いのは当然ですが、その両者が、そして豪ドルの対米ドル相場が1ドルの大台を突破する動きが、QE2開始の後から広がったわけです。その意味では、さっき見てきた対米ドルでの記録的な豪ドル割高拡大は、QEの影響が大きそうだということになるでしょう。

以上からすると、対円はともかく、対米ドルの記録的な豪ドル割高が2012年も続くか、それとも修正が本格化に向かうかの鍵は、QE3があるかが握っているといえそうです。QE3の可能性が残る中では、豪ドル高・米ドル安の流れが大きく崩れることはないのでしょう。ただ、QE3の可能性がないとなれば、豪ドル安・米ドル高の可能性が高くなりそうです。

では、QE3はあるでしょうか。FRBがQE政策を続けてきたのは、「100年に一度の危機」一巡後も、景気回復期待が裏切られる、「裏切りの景気回復」が続いてきたことが大背景でした。ただそれは、2012年にかけて変わり始めているのではないでしょうか。

≪資料4≫は、2007年からの米国のインフレ率の推移と、1990年バブル崩壊後の日本のインフレ率、そして2000年ITバブル破裂後の米国のインフレ率を重ねたものです。ITバブル後、そして今回の米国のインフレ率は、バブル後日本のそれとは異なり、上昇に転じたことがわかるでしょう。


「裏切りの景気回復」で、インフレ率の低下が続いてきたからQE2まで必要となったわけです。しかし、インフレ率が上昇に転じた中では、QE3を行う可能性は低いのではないでしょうか。
 
≪資料4≫
出所:BloombergよりMarket Editors作成
 
QE3をやらない見通しになってくると、これまで述べてきたように対米ドルでの記録的な豪ドル割高は本格修正に向かう可能性があるのではないでしょうか。一方、対円での豪ドルは、80円前後なら極端な割高ではないので、それほど豪ドルが急落するということでもないのではないでしょうか。

むしろ、QE3をやる必要がないというのは、「裏切りの景気回復」の変化、「真の景気回復」への転換の可能性ということだと思うので、その中で豪ドルが適正価格の目安である購買力平価、70円より大きく割安になる可能性は低いのではないかと私は思います。 (了)
 

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