今週はこう動く! マーケット羅針盤

2011/12/14 16:02米国が「日本化」しない理由

最近の欧米は、バブル崩壊後の日本のように、長期的な景気の低迷に入っているといった欧米「日本化現象」論があります。ただそれは違う可能性を示すデータもあります。では、日本と欧米の違いは何かといえば、一つにはバブル後の為替の動きがあるでしょう。
 
◆バブル後の日米の運命を分けた為替の動き
≪資料1≫は、1990年バブル崩壊後の日本のインフレ率の推移(青色のグラフ)と、2000年ITバブル破裂後の米国のインフレ率(赤色のグラフ)の推移を重ねたものに、さらに2007年から現在に至る米国のインフレ率(緑色のグラフ)の推移を重ねてみたものです。

これを見ると、バブル後の日本ではインフレ率低下が続き、ついにはデフレへ転落するところとなっていったのに対し、ITバブル後の米国では、4年目からインフレ率は上昇に転じたことがわかります。その上で、現在の米国のインフレ率は、バブル後日本より、ITバブル後の米国自身に似た推移となっていることがわかるでしょう。
 
≪資料1≫
出所:BloombergよりMarket Editors作成
 
ところで、なぜこんなふうに日米でバブル後のインフレ率は4年目頃から別々の展開に向かうところとなっていったのでしょうか。その原因として考えられる一つにバブル後の為替の違いがあります。

≪資料2≫は、1990年バブル崩壊後の円の対米ドル相場の推移と、2000年ITバブル破裂後の米ドルの対円相場の推移を比べたものです。これを見ると、バブル後2年目頃までは、バブル破裂で、株も暴落が続くことを尻目に、日米とも似たようなペースでの通貨高となっていたことがわかるでしょう。

ところが、そういった動きは、バブル後3-4年過ぎた頃から別々に向かい始めたのです。バブル後日本では、円相場の上昇が続き、ついには当時として史上初めて1ドル=100円を超える円高、「超円高」へ発展していったのに対し、ITバブル後の米国では、ドル高からドル安へ転換したのです。

結果的には、この「超円高」がバブル破裂第2幕のトリガー役の一つとなり、日本経済の長期低迷を後押しするところとなったのでしょう。一方で、米国では、ドル安に伴う輸入物価上昇などを通じ、インフレ率の上昇が後押しされるところとなったのでしょう。
 
≪資料2≫
出所:BloombergよりMarket Editors作成
 
こんなふうに見ると、≪資料1≫で見たように、現在の米国のインフレ率が、バブル後日本よりITバブル後の米国自身に似ているのも当然のような気になってきます。米国は米国であり、日本ではないのですから、「日本化現象」というのもちょっと違うのではないでしょうか。(了)

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