今週はこう動く! マーケット羅針盤

2011/12/12 11:37戻り売りか、それとも押し目買いか

最近の欧州をテーマとした相場が典型的なように、このところの金融市場はリスク回避、つまり「リスクオフ」か、それともリスク選好、「リスクオン」かが大きなテーマになることがとても多くなっています。そこで、リスクオフとリスクオンでの投資スタンスの考え方を少し述べてみたいと思います。
 
◆「偽りの夜明け」なら戻り売りだが
日銀の白川総裁は、バブル崩壊後の日本が「偽りの夜明け」で、現在の欧米もそれと同じようになっているとの考え方を持っているようです。これは、景気回復期待が「ダマシ」といった意味と考えられますが、そうであればリスク資産は戻り売りが正解になるのでしょう。

しかしそうではなくて、「偽りの夜明け」ではない、つまりむしろ景気減速懸念が「ダマシ」なら、リスク資産は押し目買いが正解ということになるわけです。

確かに、2007年からの米国のインフレ率を、1990年、バブル崩壊後の日本のインフレ率と重ねてみると3年目ぐらいまでは良く似ていました。その意味では、バブル後の日本がそうだったように、現在の米国も「偽りの夜明け」コースを辿っていた可能性があったわけです。

しかし≪資料≫のように、4年を経過したあたりから、米国のインフレ率が上昇に向かったため、両者は似なくなってきました。
 
≪資料≫

ところで、バブル崩壊後のインフレ率低下が、4年を経過したあたりからインフレ率上昇に転じたということでは、むしろ最近の米国の状況は2000年からのITバブル破裂後の米国自身に似ているようです。つまり米国は日本に似ておらず、米国自身に似ているということです。

この原因の一つとして、為替の影響は考えられるところでしょう。1990年のバブル崩壊後の日本では、通貨はむしろ上昇し、1995年にかけて「超円高」となりました。これがバブル崩壊第二幕のトリガーになった可能性があったでしょう。これに対して、2000年のITバブル破裂後の米国では、2002年までは通貨高となりましたが、その後はドル安に向かいました。これがインフレ率上昇を後押しした一因でしょう。

もう一つ、日米の違いとして、どの産業を重視するかといったことはあったのかもしれません。「モノづくりニッポン」として、製造業を重視する日本において利上げは嫌われる政策です。一方、金融業からすると、利上げは逆に歓迎されるわけです。

こんなふうに日米の違いを改めて確認すると、≪資料≫のように、現在の米国のインフレ率が、バブル後日本には似ておらず、ITバブル後の米国自身に似ているのも当然のような気になってくるのではないでしょうか。

そしてそれは、現在がバブル後日本で続いてきた景気回復期待がダマシになる「偽りの夜明け」なのか、そうではなくて、むしろその逆なのかを考える上で重要な示唆になるでしょう。

≪資料≫の中の青色の折れ線グラフが、バブル後日本のインフレ率であり、「偽りの夜明け」ということになるわけですが、ここでのトレードスタンスはリスク資産の戻り売りになります。

ただ、赤い色のグラフ、ITバブル後の米国のインフレ率なら、リスク資産は押し目買いになりそうです。そして、今の米国のインフレ率、緑色のグラフなわけですが、それはこれまでのところ赤い色のグラフに近そうですから、押し目買いとなりそうなのですが。

外貨という為替リスク資産について、中長期的に押し目買いなのか、戻り売りなのかといったことも、こういった判断が私の考えの大前提になっているのですが、果たしてどうでしょうか。(了)

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