今週はこう動く! マーケット羅針盤

2011/11/28 12:35「欧米危機」でもリセションには程遠い

欧米発のリスク回避の動きが続いています。≪資料1≫は欧米の信用リスクを示すCDS指数ですが、米国はともかく、欧州のそれは、「100年に一度の危機」を超える信用悪化となりかねない状況となってきたことがわかります。
 
≪資料1≫
 
≪資料2≫
 
こういった欧州債務危機に象徴されるリスク回避の動きが、せっかく10月に大幅反発となった株価を再び下落に向かわせた形になっています。≪資料2≫は、ユーロと米株、NYダウのグラフを重ねたものですが、11月から反落したユーロに引っ張られるような形で、NYダウも一段安に転じたことがわかります。

私は懐疑的でしたが、欧州債務危機が、せっかくの景気回復期待に水を差し、あらためて景気先行き不安を再燃させるといった具合に、この≪資料2≫を見ると、世界の金融市場はユーロによって左右されるといった「ユーロ本位制」が再現しているようです。

このため、欧米発の債務危機問題がリードする形で、世界景気の後退、つまりリセッションへの転落といった不安もあらためて警戒され始めたようです。確かに、リセッションということになると、株価も一段安は不可避、リスク資産の代表である株価の一段安ということは、紛れもなくリスク回避のさらなる深刻化ということになるわけです。

為替の上で、代表的なリスク資産とされるのは高金利通貨、資源国通貨であり、たとえば豪ドルなどです。それは、10月初めには、昨年来の安値更新寸前で、底打ち、反発となりましたが、リスク回避の深刻化ということになれば、いよいよ安値更新の可能性も現実味を帯びてくるでしょう。

こんなふうに見てくると、豪ドル円などクロス円が「底割れ」となってしまうかを考える上での最大のテーマは、リセッションに転落するのかということでしょう。ただ、私はまだその可能性に対して懐疑的です。

最近のリセッションは、まさに「100年に一度の危機」でした。ではこの時の景気指標はどうだったかというと、代表的な米景気指標の一つであるISM製造業景況指数は、景気の拡大、縮小の境目とされる50を大きく下回り、30台まで低下していたのです
 
≪資料3≫
 
≪資料3≫は、そんなISM指数と米金利、長期金利からインフレ率を引いた実質金利を重ねたものですが、依然として50をISM指数が上回って推移していることからすると、金利は下がり過ぎといえるでしょう。とても、すぐにリセッション再燃に向かうような感じはせず、リセッション再燃懸念は、金利を始めとした金融市場が悲観的過ぎると思うのですが、どうでしょうか。

欧米の債務危機対策は、いらいらするほど鈍く、このままで本当に大丈夫なのかと思うのは私でも正直な気持ちです。ただこの≪資料3≫を見ると、実体経済は、まだまだリセッションとは程遠いところにあります。この実体経済をリセッションに向かわせ、深刻なリスク回避をもたらすとしたら、欧米の債務危機もよほどひどいことにならないと、それは起こらないのではないでしょうか。

以上のように見ると、欧米の債務問題は、「夢のような解決策」が必要とされているのではなく、よほどひどい後処理の大失敗がないだけで十分、リセッションへの転落、リスク回避深刻化に歯止めをかけられるものだと私は思っています。(了)

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