今週はこう動く! マーケット羅針盤

2011/11/16 13:15「外貨離れ」報道で思う事

「個人の外貨離れ」、「外貨建て資産投資へ慎重」といった見出しを最近よく見かけます。しかし、もともと「世界で最も外貨投資に慎重」と言われたこともあった日本人ですから、それがさらにどれだけ慎重になったのかと、皮肉な感じもしなくもありません。
 
◆2004年、グリーンスパンの皮肉
「日本人は世界で最も為替リスク投資に慎重」と受けとれる発言をしたのは、「史上最高のFRB(米連邦準備制度理事会)議長」とされたA.グリーンスパン前FRB議長です。
 
2003年から2004年春にかけて、日本政府は約1年3カ月で45兆円もの円売り介入を行いました。当時は、本格的に日本経済がデフレとなった局面で、物価が下落する中での通貨高は、経済学的には絶対悪であるため、そんな空前の円高阻止介入が行われたわけです。その介入の最終局面、2004年3月に、グリーンスパンはこんなふうに述べたのです。
 
「日本が異常な介入を行っている。異常な円高だと思っているから、異常な介入をやっているのだろう。では、そんな異常な円高の原因は何か。私は、円バイアスだと思う。世界中のどんな投資家も、為替リスクを警戒し、自国資産中心に運用するが、しかし日本人のそれは異常かもしれない。日本人が世界で最も為替リスク投資に臆病な結果、円ばかり買っているから、異常な円高になり、異常な介入が必要になっているのではないか」。
 
しかし、こんなふうにグリーンスパンから、「世界で最も為替リスク投資に臆病」と言われた日本人の中で、2005年以降、個人の為替取引、FXがブームとして広がるところとなったわけです。それは、2004年で円高が一段落し、2005年から2007年にかけて円安が広がっていった影響がやはり大きかったのでしょう。
 
◆日本人は最も為替リスク投資に慎重なのか
2007年から2008年にかけて、円は対米ドルで124円まで、そして対ユーロでは170円、対豪ドルでも「夢の100円台」を記録するなど、全面的な円安が展開する中で、外貨は軒並み大幅高となったのです。
 
その中では、FXブームも広がり、日本人全体からみると一部でしかなかったのでしょうが、割高な外貨まで積極的に取引したり、より高いリターンを追求するため、ハイレバレッジで高いリスクをとる投資家も出てきました。そこには、グリーンスパンが「世界で最も為替リスク投資に臆病」と皮肉った面影すらもなくなったようでした。
 
そんな円安は、対米ドルでは2007年に終わると、最近まで円高がすでに4年以上も続いてきました。2009年にかけての「100年に一度の危機」では、円全面高となりましたが、その後対豪ドルなどで続いてきた円安も変調の兆しが出てきたところで、「外貨投資に慎重」、「外貨離れ」といった見出しが目立ってくるのは、あの2004年のグリーンスパンの頃に時計の針が戻ったということなのかもしれません。
 
グリーンスパンが言うように、日本人が「世界で最も為替リスク投資に臆病」だったのは、長期円高トレンドの影響もあるのでしょうか。そうであれば、それが長期円安に変わる時には、日本は世界で最も為替リスク投資の拡大余地が大きいということになるのかもしれません。(了)

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