今週はこう動く! マーケット羅針盤

2011/11/14 12:42「主役」は欧州危機より米景気

今や、欧州債務問題は日本の一般紙でも頻繁にトップニュースとして報じるくらい世界的に重大な問題となっています、いわば「経済問題の主役」のような存在となっています。だから、せっかく景気不安後退で上がってきた米株も、この欧州問題で再び急落する懸念は十分残っているのではないかといった不安が一般的ではないでしょうか。つまり「ユーロ→米株」といった順番で意識されていると思いますが、本当にそうなのでしょうか。
 
◆景気循環以外の主役は一時的
ギリシャはもちろん、イタリアまでもデフォルトに向かいかねない状況となってきました。そうすると、それらの国債を保有している金融機関も巨額の損失を抱えることになり、銀行不安、金融株急落で、せっかくの景気回復期待もさっそく腰を折られることになりかねないといった悲観論は、一般的に根強いと思います。
 
確かに、そういった処理を間違え、最悪の事態に陥るようなことになれば大変ですが、しかし逆にいえば、そんな最悪シナリオ以外では、一時的な影響はともかく、欧州債務問題が米株にも継続的に影響するような「主役」になることはないのではないでしょうか。
 
それは、欧州債務問題を軽く見ているのではありません。むしろ景気循環以外で、マーケットへ継続的な影響を及ぼすような、つまり「主役」になるのはよほどのことだと思うのです。
 
たとえば、2010年に、欧州債務危機が最初に注目された局面は、それがせっかくの景気回復の腰を折るところとなりましたが、その後は世界的な景気回復の中で、欧州危機もいったん小休止となりました。
 
もう一つ、今年、2011年初めにかけて、中東・北アフリカで独裁体制が崩壊するといった「アラブの春」と呼ばれる動きの中で原油価格が急騰したことを覚えているでしょうか。この原油高騰も、その後の景気鈍化をもたらした「影の主役」の一つでした。
 
ただ、リビアのカダフィ大佐の殺害が最近大きく報道されたことでもわかる通り、世界一の原油生産拠点である中東・北アフリカの混乱は、最近にかけて続いていたのに、供給懸念による原油高は、その後は収まっていました。世界景気の後退懸念の中では、原油高は続かず、アラブの混乱は、景気循環の影響を凌ぐ「主役」を続けられなかったわけです。
 
私が言いたいのは、循環的に景気回復へ転換したことを受けた株高基調を、欧州債務危機が崩すといった具合に「主役」になるのは、それほど簡単ではないのではないかということです。
 
欧州債務危機が処理を失敗するといった最悪シナリオにならない限り、金融市場の主役は景気後退懸念の一段落であり、それに伴うリスク回帰、株高の中ではリスク回避のユーロ安もそれほど進まないのではないかと私は考えているのです。(了)
 

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