今週はこう動く! マーケット羅針盤

2011/11/09 12:49「相場変動は循環要因」という本質

欧州債務危機という「欧州ショック」の金融市場への影響も少し落ち着いてきました。これは、ギリシャやイタリアの首相辞任の見通しになったためでしょうか。それよりも、過去一ヶ月で循環要因が大きく変化したことの影響が大きいと私は思っています。
 
◆「欧州ショック」への反応が鈍くなった理由
循環要因とは、上がったり下がったりする株や金利であり、その背景にある景気循環です。過去一ヶ月で、米株は1割以上の上昇となり、金利も大きく上昇しました。これは、夏以降広がった米景気のリセッション懸念が後退したことが主因だと思います。
 
そもそも、欧州債務危機が再燃したのも、循環的な米景気への懸念が欧州の景気懸念、税収減への不安を台頭させたことが大きなきっかけだと思います。そうであれば、そんな循環的な米景気懸念が後退したことは、欧州ショック一段落の大きなきっかけになっていると思うわけです。
 
こんなふうに、上がったり下がったり循環する相場は、そのほとんどが循環要因で説明できるものです。この循環要因の対極として使われるのが構造要因という言葉ですが、構造的変化とは頻繁に起こるものではなく、10年、20年に一度起こるかどうかというものです。そういった構造要因で、相場の変動を説明できるのは、一年のうちにごく限られたところでしかないと思います。
 
ただ、構造変化は、基本的にテーマが大きいため、目立って、わかりやすいものですから、報道などでは、どうしてもこの構造要因で短期の相場要因も説明することが少なくありません。ただこれまで見てきたことからすると、それには無理があると思います。
 
構造要因で説明している通りの相場の動きの場合は、偶然循環要因も同じ方向を示していることが多いと思います。重要なのは、構造要因と循環要因が示す方向が逆の場合です。
 
欧州債務問題における構造要因とは、欧州の財政赤字は構造的原因に基づくもので簡単には解決しないということで、それはリスク回避の方向性でしょう。これに対して、循環要因は、これまで述べてきたように、景気懸念が後退したということで、リスク回帰の方向性を示すものでしょう。
 
こういったケースで起こるのは、構造要因での報道などでリスク回避取引に動いても、なかなか相場が下がらないとか、いったん下がってもすぐに戻ってくるといった現象です。最近起こっているのは、まさにそういった現象に見えませんか。
 
◆絶望と希望も循環する
私は長いこと、報道や情報サービスの立場で仕事をしてきました。ただ、次第に、相場変動を安易に構造要因で説明しているのではないかと疑問を感じるようになりました。循環要因は、構造要因に比べると、日々の変化ですから、ある意味では地味で根気のいるテーマであり、派手さがないだけに説明するのに難しさもありますが、ただこちらの方が実態に即していると感じるようになったのです。
 
リサーチの専門家は、もちろん日々それを専門に仕事しているわけですから、循環要因できちんと相場変動が説明されていますが、セミプロ、アマチュアの世界では、その辺がまだまだ確立されていないようです。だからこそ、私が循環要因で説明する方法は、とくにFXの世界では独自なものと受け止められることが少なくないのでしょう。
 
循環的な相場を循環要因で説明するのは、本質的なことだと思います。あわせて、とりわけ今年3月の大震災以降、絶望感が広がっている昨今において、「希望」の手掛かりになることだとも思います。
 
絶望と希望も循環するものです。永遠に終わらない絶望も、そんなにあるわけではないと思います。私は「絶望は愚か者の下す結論である」という言葉が好きですが、それはこんな時代だからむきになっているのではなく、基本的には循環論があります。
 
無理なんてしなくても、希望はいくらでも見つけられる。ある意味では、「絶望の淵」に追い込まれたようなところから、大きく戻してきた過去一ヶ月の金融市場の動きが、それを裏付けてくれたものだとも思うのです。(了)
 

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