今週はこう動く! マーケット羅針盤

2011/11/07 12:35欧州発リスク回避は一段落したのか

先週ECBは利下げを決めました。これは、欧州債務問題が一息つくための、必要条件の一つだと私は考えています。このように、ふらつきながらも、欧州危機が一息つくための最低限の条件は何とかクリアーしてきたということ、そして私はそもそも危機によるリスク回避はいったん限界に達し、その修正局面がしばらく続くと考えているので、欧州の混乱も目先は一段と深刻化することにはならないと思っています。
 
◆欧州債務対策としてのECB利下げ
そういった考え方のもとで、まずは先週のECB利下げについて簡単に述べたいと思います。大手外資系通信社のサイトによると、今回のECB理事会では、55人の専門家中、49人が政策変更なしとの予想だったとされます。つまり、約9割が金利据え置きとの見方だったため、利下げという決定は、予想外、サプライズとの説明でした。
 
ちょっと自慢になってしまいますが、今回ECBは利下げすると考え、レポートやセミナーでもそう指摘していたので、その意味では当たった形となりました。いずれにしても、私が、今回ECB利下げと予想したのは、≪資料1≫で説明するとわかりやすいと思います。
 
≪資料1≫
 
≪資料1≫は、欧州の信用リスクを示す欧州CDS指数ですが、これを見ると、ECBが2度目の利上げを7月に行った後から、信用悪化が拡大したように見えます。ECBの引き締め政策で、景気先行き減速見通しとなり、税収減への懸念から、欧州債務問題が再燃した側面もあったのではないでしょうか。
 
そういった解釈からすると、欧州債務問題、最近のギリシャ危機に対して、ECBは「影の戦犯」ともいえるかもしれません。そうだとすると、債務対策を進めている一連の作業の中では、ECB利下げは不可欠の要素だと思います。果たして、今回、ECBが私が考える理由で利下げしたかはわかりませんが、そういった私の見方からすると、これは債務不安が一息つくプラス材料だと思います。
 
◆ギリシャ・ショックも深刻にならない事情
そもそも私は、マーケットがいったんリスク回避の限界から、その巻き戻しに反応し易い環境となっていると考えているので、このECB利下げそれを後押しする要因だと思っています。
 
為替でのリスク回避取引とは、リスク資産を売って、安全資産を買うことをいいます。ところで、安全資産の代表格である基軸通貨ドルのポジションは、≪資料2≫のように、10月下旬で買われ過ぎが一巡し、その後は縮小に向かってきました。
 
≪資料2≫

これは、リスク回避に伴う安全資産買いが限界に達して、修正に向かったことを示しているでしょう。それには、ちょうど11月のヘッジファンド決算期末が近付き、例年ポジションの手仕舞いが広がり易いタイミングに近付いた影響もあったのかもしれません。
 
10月末のEUサミットの債務対策は、あまり大した内容と評価されるものではありませんでしたが、それでも株価下落、金利低下といったリスク回避は起こらず、むしろ逆に株価は一時急騰、金利も急騰となったのは、このようにリスク回避取引が限界に達し、その修正が広がり易い局面にあったと考えると納得しやすかったと思います。
 
ギリシャ国民投票騒動も、もっと深刻な金融市場の暴落、クラッシュを起こしてもおかしくなさそうなところ、そうならなかったとも見れなくないと思いますが、その背景には、そもそもリスク回避に動くにも無理のある状況になっていたということではないでしょうか。(了)

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