今週はこう動く! マーケット羅針盤

2011/09/28 14:53危機はECBで始まりECBで終わる?

欧州の混乱も少し落ち着く兆しが出てきました。これは、「ECB(欧州中銀)で始まった危機が、ECBで終わる」と考えれば、一応わかる気はするものです。
 
◆欧州危機再燃の「ECB戦犯説」
ECBは今年4月と7月の2回利上げを行いました。その直後から、結果的に欧州の財政懸念が再燃し、信用は悪化に向かった形になりました≪資料1参照≫。
 
ECB利上げにより景気減速の可能性が浮上すると、税収が減る思惑により、財政懸念が再燃したというふうに考えると、このようなECB利上げと信用悪化の関係は理解できるところです。そして、実際そんな関係があるなら、最近にかけての欧州の危機は「ECB戦犯説」といっても良いでしょう。
 
ところで、ここに来てECBは、10月初めの理事会で利下げを決定するとの観測も浮上してきました。これまで見てきたように、欧州の危機がECB利上げをきっかけに始まったものなら、ECBが利下げに転換することが、危機が一段落する一つのきっかけになる可能性は確かにあるのかもしれません。
 
≪資料1≫

◆危機を再燃させた2つの判断ミスの修正
「ECBで始まった危機がECBで終わる」といった具合に単純なものかと思う人も少なくないかもしれません。この欧州財政危機は根が深いものだけに、ECB利下げだけで解決するほど単純なものではないだろうとして。
 
それはその通りだと思いますが、ただ一方で今回の「危機」はそんな根深い問題がじわじわ広がってきたものかというと、それも微妙でしょう。むしろ「ある日突然」、危機の構図が出現したということではないでしょうか。
 
たとえば、英FT指数を見ると、8月上旬の10日間ほどで急落し、その後は安値圏でのほぼ横ばいと言った動きになっています≪資料2参照≫。このように、8月前半の10日間ほどで、突然「世界が変わった」ようになったのは、果たして根深い欧州財政問題の影響だったのでしょうか。
 
8月前半は、米国がデフォルトに転落するかが世界経済の関心を集めていました。このデフォルト転落を回避するために、米国が短期的にも財政政策を引き締め過ぎる懸念が出てきたことで、世界経済の先行き不安が急拡大した結果が、「世界が変わった10日間」ということだったのではないでしょうか。
 
少なくとも、8月半ば頃からの政策当局者たちの発言からは、彼らがそういった認識のもと、軌道修正を目指してきた感じがわかります。その上で、9月初めに行われたG7(7カ国財務相会議)は、合意文書を異例の形で公表し、その中ではまさに短期的な財政刺激の役割を確認したわけです。
 
≪資料2≫

このように考えると、「危機」の本質は短期的な財政政策の判断ミスだったと思うわけですが、その軌道修正はすでにめどがついたと思います。そしてその前からくすぶっていた欧州の危機再燃のきっかけは、ECBの判断ミスだった可能性があるわけですが、その軌道修正も行われるとなると、「危機」一巡がさらに前進する可能性はあると思います。(了)

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