今週はこう動く! マーケット羅針盤

2011/09/23 15:38★緊急レポート 『豪ドル円下げ止まりのシナリオ』


 クロス円が軒並み急落となっています。その中で、日本のFX投資家の間で人気の高い豪ドル円も、昨年来の安値(5月21日、71.8円)に接近してきました。私は、豪ドル円独自で見た場合にはさらに続落する理由はないと思います。これは豪ドル米ドルとは明らかに異なるところです。では、豪ドル円が下げ止まる鍵は何かといえば、米ドル円が上がることだと思います。その手掛かりもないわけではないと思っています。


 
◆豪ドル円の割高は修正された
 
 私は、この数ヶ月「豪ドルがさらに上がる可能性はない」、「むしろ一段安のリスクがある」、「今年の豪ドル高は終わった」などとの見方を、レポート(8/4吉田レポート『オセアニア通貨の弱み』、他)やセミナーで繰り返し示してきました。その最大の根拠は、豪ドルが割高の可能性があるということでした。
 
 豪ドルの適正水準の目安である購買力平価からのかい離率は、一時2割以上に拡大しました。これは経験的に、かなり極端な豪ドル割高の可能性を示すものでしたので、だから私は、豪ドル高の限界と、反落リスクの可能性を指摘してきたわけです。
 
 ところで、そんな豪ドル円の購買力平価は、6月末現在で71円程度です。したがって、今週に入り、豪ドル円が75円を大きく割り込んでくると、ほとんど割高は修正されてきたことになります。75円を下回っている豪ドル円は割高ではなく、ほぼニュートラルといえるものですから、その意味では、豪ドル円独自に続落する理由はないと思います。


 
◆対米ドルではまだまだ豪ドル割高
 
 ただ、豪ドル割高の真の問題は、対円ではなく、対米ドルです。対米ドルの購買力平価からのかい離率は、一時は5割以上にも達しました。これはまさに空前の豪ドル割高といえるものでした。そんな豪ドル米ドル相場も、ここに来て1米ドルを割り込んできましたが、それでもまだ0.95米ドル以上の水準では、豪ドルの購買力平価に対する割高率は30%を大きく上回っているのです。
 
 ちなみに、豪ドル米ドルの購買力平価は足元でも0.7ドル程度です。したがって、0.9米ドル以上の水準にある中では、豪ドルは30%前後の割高という計算になるわけです。
 
 このように、一口に豪ドル割高といっても、対円と対米ドルではかなり差があることがわかるでしょう。その結果、最近にかけての豪ドル急落で、対円での豪ドル割高はほぼ修正され、一方対米ドルではまだまだ豪ドル割高懸念が強い状況が続いているわけです。


 
◆「有事のドル買い」と蚊帳の外の米ドル円
 
 このような中で、ここに来て豪ドルが急落してきたのは、一言でいえば、米ドル高が急拡大してきたためです。それをもたらしている主因は、「有事のドル買い」。世界的に信用リスクが急拡大する中で、金融機関の米ドル資金調達が困難になり、外為市場で米ドル買いを急ぐ動きが米ドル高を激しく後押ししているわけです。
 
 このような「有事のドル買い」は、高金利通貨の国にほど顕著になり易い傾向があるようです。高金利通貨国では、自国通貨での資金調達より、金利の低い米ドルでの資金調達を増やす傾向があるためと考えられます。
 
 ところで、このような「有事のドル買い」は、米ドル円ではあまり出ないようです。円は米ドル以上に低金利であることを考えると、当然な話ではあります。
 
いずれにしても、その結果として、「有事のドル買い」の中で、米ドル円は「蚊帳の外」に置かれた形となり、ドル安・円高が変わらない中で、対米ドルでの米ドル以外の外貨、つまり豪ドル下落が広がるため、豪ドル円などクロス円も軒並み続落するといった悪循環となっているわけです。
 



◆クロス円急落悪循環に歯止めをかける鍵とは?
 
 この悪循環が一息つく一つの鍵は、全体的なドル買いの中に、米ドル円も入っていくことが可能かということです。この間のドル安・円高は、米金利低下とほぼ連動しているので、米金が上昇に転換すると、理屈としては米ドル円も上昇に転換することになると思います。
 
 では米金利は上昇に転換するでしょうか。じつは、この米金利、異常な下がり過ぎといった状況が続いています。その意味では、じつはいつ米金利の下がり過ぎが一巡し、その修正で上昇へ転換してもおかしくないと私は思います。
 
 たとえば、米長期金利は22日にはついに1.7%台まで低下してきましたが、これは90日移動平均線からのかい離率で見ると、マイナス35%以上になります。過去30年間の、同かい離率の最高は、2008年12月に記録した40%であり、これは突出したマイナスかい離率だったので、その意味では今回もすでに相当異常な下がり過ぎになっているといえそうです。
 
 ちなみに、2008年12月に、かい離率がマイナス40%まで拡大したのは、マイナス30%を突破してからわずか4営業日程度のことでした。要するに、「異常」といえる現象は、後から振り返るとわずか数日で広がり、そしてあっという間に終わる、いわば「ほんの一瞬の出来事」だったわけです。
 
 米金利の90日線からかい離率を見ると、今はまさにそんなクライマックスといえる局面に入っている可能性もありそうなのです。つまり米金利の異常な下がり過ぎが極まり、上昇へ急転換する可能性ということです。
 
 そんなふうに米金利が上昇へ転換し、それが米ドル円上昇をもたらすようになるかが、豪ドル円が昨年来の安値更新を回避し、クロス円全体の悪循環が一巡するかの一つの鍵だと私は思っています。
 
 単純に計算すると、米ドル円が75-76円といったドル安・円高水準で推移したまま、豪ドル米ドルが0.95ドルまで続落すると、豪ドル円も昨年来の安値(71.8円)を割り込んでしまいます。
 
 一方で、米ドル円が80円までドル高・円安になれば、豪ドル米ドルは0.95ドルどころか、0.9ドルまで一段安となっても、豪ドルの昨年来安値更新は回避されるわけです。このように見ると、これから先は米ドル円が上がるかどうか、そのためには米金利が上がるかが、豪ドル円の行方を考える上でも、きわめて大きな意味を持っていることがわかるでしょう。(了)

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