今週はこう動く! マーケット羅針盤

2011/09/14 13:06「有事のドル高」と「平時のドル高」

 通貨の総合力を示す実効相場の9月に入ってからの変化率を見ると、主要通貨で上昇率トップは米ドルになっています。9月に入ってから、金融市場が一段と不安定になる中で、決済通貨米ドルの資金調達難から、外為市場でドル買い手当てするといった「有事のドル高」が、鮮明になっているといえるでしょう。


◆9月の「最強通貨」米ドル
8月末と9月14日の実効相場を比較すると、上昇率トップは米ドルで2.6%、次いで日本円の1.6%でした。一方、豪ドル、NZドルといったオセアニア通貨はそれぞれ1.7%、1.4%の下落、ユーロも2.2%の下落でした。こんなふうに、9月前半の「通貨番付」は、「最強通貨・米ドル」となっているわけです≪資料1参照≫


もともと、金融市場が不安定になるリスク回避局面では、米ドルと円が強くなりやすいとされますが、とりわけ今回の場合、欧州を中心に信用不安から決済通貨米ドル資金の調達が困難になり、外為市場でドル買い手当てを増やすといった「有事のドル高」が広がっているということがあるでしょう。


◆鍵を握るのは米金利
それでは、逆にそのような金融市場の不安が一息ついて、リスク選好に戻ったら米ドル買いは止まり、米ドル売りへ転換するのでしょうか。ユーロドルの場合はともかく、ドル円は米金利との相関性が高く、その米金利はリスク回避でこの間空前の下がり過ぎとなっており、その修正からリスク選好局面では上がることが予想されます。


そうであれば、米ドルは金融市場の不安が一息ついても、対円では下落に向かうのではなく、むしろそちらの方がより上がりやすくなるのではないでしょうか。その意味では、ドル円については、「有事のドル高」、「平時のドル高」といった具合に、「有事」でも「平時」でもドル高に向かい易くなっていると思います。


では、そんなドル高がドル高に向かわないのはどんな場合でしょうか。一つは、「有事」が一息つき、「平時」になっても米金利が大きく上がらないケースでしょう。FRB(米連邦準備制度理事会)は、景気対策で、長期金利の低下を目指しているようですから、「平時」でも米金利が上がらないことになるのでしょうか。


米長期金利は、90日移動平均線からのかい離率を見ると、異常な下がり過ぎの可能性となっています≪資料2参照≫。それでも、FRBがさらなる長期金利低下を目指すなら、下がり過ぎが一段と広がったり、維持されることになるのか。それがドル円の「2つのドル高シナリオ」を考える上で、大きな鍵を握ることになると思います。(了)

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