今週はこう動く! マーケット羅針盤

2011/08/24 13:08論理的な予想ということ

評論家・山本七平氏の著作『空気の研究』流にいえば、未来を予想する為替相場の予想も、論理的かという観点がとても重要ではないかということを、今回は述べたいと思います。


◆山本七平氏の『空気の研究』
『空気の研究』は、日本人はムードに流され易く、得体の知れない「空気」に支配されて異常な戦争に突入して行ったという内容で、著名な評論家である山本氏の代表作の一つです。

その中にこんな一節があります。

未来は手で触れられない。触れられない未来は言葉で説明するしかない。言葉とは論理である。従って、手で触れることのできない未来は、論理的に説明するしかない。

ただ、日本人は一般的に非論理的とされることが少なくない。このため、いくら論理的に未来を説明してもなかなか理解しない。

たとえば、「あそこに熱いお湯がありますよ」といくら論理的に説明しても、わかるはずのない未来を説明するなんて無駄だとばかりに、ニヤニヤしている。しょうがないから、連れて行って実際に熱いお湯に手をいれさせ、ジュッと感じて初めて気が付く。


 
私は、2005年に出版した『投資に勝つためのニュースの見方、読み方、活かし方』といった本の「はじめに」で、この一節を引用し、為替相場を予想する上でも論理的アプローチが重要だと思うとまとめています。



◆日本とは違う「基本外」が起こっているのか
さて、マーケットは依然として不安定なムードが支配的なようです。

私からすると、マーケットにはきわめてシンプルな面があり、利上げをすれば景気悪化・株安となり、利下げをすれば景気回復・株高になるのが基本です。

ところが、最近の米株などは、利上げもしないのに景気後退で一段安リスクとされます。このような低金利下での景気悪化・株価急落といった「基本外」は、バブル崩壊後の日本で起こってきた現象でした。だから、リーマンショックといったバブル崩壊後の米国も「日本の二の舞」になっているのではないかとされます。

ただ、バブル崩壊後の日本で、低金利下の株価急落が起こった主因はデフレでした。いくら金利を下げても、物価が下落しているため、名目金利からインフレ率を引いた実質金利が下がらないため、景気刺激効果が限られ、企業の収益回復につながらないため株価が下落したということです。

そんな物価の下落、デフレに転落しかねないところまで昨年後半追い込まれると、バーナンキFRB(米連邦準備制度理事会)議長は、内外からの批判もおそらく覚悟の上で、QE2、第二次量的緩和に踏み切ったわけです。その意味では、QEは「伝家の宝刀」という位置付けかもしれません。

その「宝刀」効果かはともかく、物価は上昇に転じました。デフレへ転落する危機ということでなければ、QE3といった「伝家の宝刀」は抜かないというのが基本でしょう。また、今のところデフレとなっていないため実質金利も低下し、景気刺激効果がありそうなのは、バブル崩壊後の日本との違いです。

それでも、低金利下での景気悪化・株価急落といった「基本外」になるのでしょうか。このように見ると、日本とは異なる「基本外」なのかが試されているということだと思います。(了)

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