今週はこう動く! マーケット羅針盤

2011/08/08 11:34米国債ショック相場の重大岐路は81円

史上初の基軸通貨国・米国の国債格下げとなったことで、金融市場はいよいよ戦々恐々となっています。では、この中で、ドル円は一段とドル安・円高に向かうのか、それともドル高・円安へ戻すことができるのか。大いなる分岐点は81円だと思います。
 
◆過去2回より早い介入効果の消滅
これまで日本政府は、昨年9月と今年3月の2回円売り・ドル買い介入を行いました。この2回の介入直後、ドルは介入当日に3-4%の急反発となりました。今回も、介入当日にドルは77円程度から一時80円台に乗せるなど、最大反発率は約4%に達しました。
 
その意味では、介入直後のドルの動きは、とても「普通」だといえるでしょう。介入初日に、一気に81-82円までドル一段高を望むのは、協調介入のあるなしや、今回のように米国債格下げが控えていたからといったこととは別に、そもそも簡単ではないのです。
 
ただ少し気になるのは、介入直後のドル反落です。過去2回の介入では、さすがに介入から1週間程度は、ドル反落は限られ、2%以上の反落は起こりませんでした。成功か失敗かはともかく、介入効果はさすがに1週間程度続いたということでしょう。
 
今回、介入後のドル高値は80円をちょっと越えたところでしたから、78円半ばを大きく割り込む動きは、2%以上のドル反落ということになります。これまでにないほど、介入効果の切れるのが早くなっているわけですが、これはやはり史上初の米国債格下げなどへの反応ということなのでしょう。
 
それでも、米国債格下げを受けて、基軸通貨ドル防衛のようなムードになっているので、G7協調介入の可能性など、構図は一段と複雑になってきたようです。ただし、その割にドル円について介入の成功と失敗の目安はとても単純化できると思います。要するに、81円を超えられるかどうかということです。
 
◆介入以外のドル買い発生の鍵は120日線の回復
この81円とは、ヘッジファンドなどがドル円の取引で重視するとされる120日移動平均線が足元位置している水準です。ヘッジファンドなどは、経験的にはかなり限界に近いドルショート、円ロングになっているようですから(「資料」参照)、120日線が位置する81円を越えたらドル買い戻しに転換し、日本政府の介入がなくても、自律的なドル買いが広がる可能性が出てくると思います。
 
ちなみに、昨年9月と今年3月の介入では、前者は介入直後でドル反発はほぼ一巡し、後者はしばらくドル一段高が続くといった具合に、円安・ドル高への誘導効果では明暗を分けることになりました。この2回の介入の違いの一つに、ドルが120日線を回復できたかということがあったのです。
 
120日線をドルが回復できなかった昨年9月の介入後にドル反発が短命に終わったのは、ヘッジファンドなどがドル買いへ転換しなかったためであり、120日線をドルが回復した今年3月の介入後は、ヘッジファンドなどがドル買いに転換したことから、ドル高・円安も比較的続いたということです。
 
3月の協調介入で、ドルは76.25円を底値として反発に転じました。協調介入は、長期のトレンドが転換するきっかけになることがこれまでもありましたが、それは協調介入後の再度の介入、再介入が結果的には決め手のようになってきました。
 
では、今回もこの再介入で、ドルは76円で大底を打ち、ドル高・円安へ基調転換したことが再確認されたのでしょうか。米国債格下げや欧州財政不安など構図が複雑になっており、世界経済が不穏な状況となっているため介入の成果に対しても、慎重な見方が少なくないようです。
 
本当にそうなのか。私は、これまで述べてきたように、ドルが81円を超えていけるか、その点を注目していきたいと考えています。(了)

<資料>円のポジション



 

※当レポートは、投資や運用等の助言を行うものではありません。また、お客様に特定の商品をお勧めするものでもありません。

※当レポートに記載する売買戦略はテクニカル指標その他を基に客観的に判断しているものであり、相場の行方を決定付けるものではありません。最終的な投資判断はご自身の意思判断によりお取引いただきますようお願いいたします。

※当レポートのデータ情報等は信頼できると思われる各種情報源から入手したものですが、当社はその正確性・安全性等を保証するものではありません。

※相場の状況により、当社のレートとレポート内のレートが異なる場合があります。

バックナンバー

「今週はこう動く! マーケット羅針盤」過去記事のタイトル一覧(月別)はこちら。

そのほかのマーケット情報

ページトップへ