今週はこう動く! マーケット羅針盤

2011/07/27 13:06「米デフォルト懸念のドル安」は本当か?!

ドル安・円高がついに77円台に突入し、3月に記録した76円台のドル最安値に一段と接近してきました。この理由は、「米債務問題をめぐる議会の交渉こう着がドル売りにつながった」(ブルームバーグ)との説明が一般的のようです。でも本当にその理由でよいのでしょうか。
 
◆債券市場は「デフォルト回避観測で上昇」
一方、26日の海外市場で、米債券相場は上昇しました。これについては、「米議会がデフォルト(債務不履行)回避に向けて債務上限引き上げで期限内に合意するとの観測が広がり、350億ドル規模の2年債入札への需要が高まった」(同じくブルームバーグ)と説明されていました。

要するに、同じ26日、ドルが下落したのは、米デフォルト懸念が理由で、米債券相場が上昇したのは、デフォルトが回避されるとの期待というまったく正反対の理由だったのです。

では、ドルと債券ではどちらの反応が正しいのでしょうか。普通は、デフォルト、国債格下げということなら直接に影響しそうなのは債券ですから、債券の反応の方が正しいような気がしますが。

この26日、おこなわれた米2年債入札は、好調な結果となりました。これを受けて、ブルームバーグは、「現時点で市場はデフォルトの可能性を意識していない」とのコメントを紹介していました。

実際、債券市場はこれまでもデフォルトの可能性を意識していなかったようです。CFTC(米商品先物取引委員会)統計によると、米10年債のポジションは、7月に入ってから10万枚弱の売り越しから3万枚程度へ売り越し縮小となっていました。デフォルトや格下げが懸念されるなら米債売りを拡大していたはずなのに、逆に買い戻していたのです(「資料1参照)。

その上で、今週行われた2年債入札では買いが優勢となりました。債券市場は、為替や株式市場以上にデフォルト、格下げ問題が専門なだけに、タカをくくって無防備かもしれないといった不安はありますが、いずれにしてもドル全面安や株大幅安を招く材料として、受け止めている感じはしません。
 
<資料1>

◆日銀総裁「景気に悪影響が及ぶ円高」の意味とは?
債券市場の冷静な反応が正しいか、それとも為替市場の反応が正しいかはともかく、米デフォルト懸念を受けたとされるドル安は、ついに77円台に突入してきました。こういった動きに対して、白川日銀総裁は25日、「景気に悪影響が及ぶ可能性がある」との認識を示しました。

それは、ドル安と購買力平価や長期移動平均線との関係を見るとわかる気がします。じつは、適正水準の目安である購買力平価(日米生産者物価基準)も長期5年移動平均線とも、足元は100円程度です。したがって、80円をドルが大きく割り込んでくると、適正水準や長期移動平均より2割を超える割安拡大となっているわけです(「資料2、3参照)。
 
<資料2>

<資料3>

これまで、ドル割安、円の割高が2割以上に拡大してきたのは4回しかありませんでした。一定期間内のこのような急激な円の割高拡大は、企業の自助努力で対応できる範囲を超えているでしょう。その意味では、日銀総裁の上述のコメントも理解し易いでしょう。

これまでのところ、株価は比較的安定していますが、このように見てくるとすでに円高阻止を正当化できる環境になってきたと考えられます。そして実際に介入が行われたら、米デフォルト懸念に対して「専門家」である債券市場の冷静な反応が正しいなら、ドル安が止まらないということでもないと思うのですが。(了)
 
<お知らせ>
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http://www.m2j.co.jp/landing/m2j_fx_academia/
 

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