今週はこう動く! マーケット羅針盤

2011/07/20 15:06ドルにのしかかる2つの重石

対円では、ドルの上値が重い展開が続いています。ではドルの重石になっているのは何かというと、「100年に一度の危機」へ再突入の不安と、米金融緩和の8月アナロジーが大きいのではないでしょうか。
 
◆米追加緩和の8月アナロジー
米景気の踊り場局面入り、ソフトパッチ懸念がくすぶっています。ところで、昨年も夏にかけて米景気の「二番底」懸念が広がり、これに対してFRB(米連邦準備制度理事会)は昨年11月、量的緩和第二弾、QE2を決めました。
 
そんなQE2をバーナンキFRB議長自身が示唆し、現実味が俄然高まるところとなったのは8月下旬でした。こういった、昨年の類似現象も参考にした上で、FRBがQE3を決断するなら、8月は重要なタイミングとして意識されているようです。
 
昨年11月から実施されたQE2は、米景気のデフレ回避に貢献したとの評価の一方で、原油価格などの高騰をもたらし、むしろ景気に対してデメリットな面も大きかったとの評価が基本になっています。このデメリットの総括ができない以上、QE3は難しいと思います。
 
ただ、米金融政策への影響が大きい、雇用統計が2カ月連続で大幅悪化したことのショックはやはり大きいようです。こういった中で行われた7月のバーナンキFRB議長の金融政策に関する議会証言でも、専門家の一部には議長が実質的に初めて追加緩和の具体策を詳述したことが意識されました。
 
その上で、QE3の可能性はゼロではない、昨年とのアナロジーからすると、少なくとも8月にそれを表明するかを見極める必要があるといった見方は、ドルの重石の一つになっているのでしょう。
 
◆「100年に一度の危機」の引き金を引いた米議会ショック
そしてもう一つのドルの重石は、米連邦債務上限引き上げ問題、いわゆるデットシーリングの問題でしょう。とくにそれが、「100年に一度の危機」へ再突入させかねないリスクを抱えた問題だと認識すると、「軽くない重石」ではあると思います。
「100年に一度の危機」は、2008年9月、リーマンショックなどをきっかけに広がったとの理解が基本だと思います。ただ、そのダメ押し役になったのは、「米議会ショック」でした。
 
リーマンショックから約半月後、米議会下院は金融救済法、TARPと呼ばれる法案をまさかの否決としたのです。すでに金融危機が広がる中で、さらなる危機回避のために議会は当然合意すると見ていたところが、大いなるサプライズとなったことから、この日のNYダウは700ドルの急落となりました。そして、「100年に一度の危機」拡大は、いよいよ戻らない流れとなったのです。
 
さて、「さらなる危機回避ために議会は当然合意する」との見方は、今回のデットシーリング問題も似た構図ではないでしょうか。まさか、米国がデフォルトに陥るといった最悪事態は回避するだろうということです。ただ、3年前にそんな最悪の決着といった前例があっただけに、悪夢を繰り返しかねないとの懸念は、これまたドルにとって「軽くない重石」になっているのかもしれません。(了)

<資料>ダウの推移



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