今週はこう動く! マーケット羅針盤

2011/07/19 11:20アジア通貨という介入再開の「影の主役」

円高阻止介入の再開を考える上で、対アジア通貨での円高が一つの鍵になるとの見方がある。そのアジア通貨に対する円高だが、対人民元では、すでに3月協調介入後の円戻り高値を更新し始めている。また、対韓国ウォンでも、同じく介入後の円戻り高値を大きく更新に向かうようだと、円売り介入再開に一歩近付く可能性がある。
 
◆当局が意識する対アジア通貨での円高
今や日本からの最大の貿易相手はアジア。このため、為替相場の輸出への影響も、対アジア通貨での円高が実質的な意味を持つとして、一部の通貨当局関係者の間でも注目されている。
 
日本政府は今年3月にG7(7カ国財務相会議)協調介入として、そして昨年9月には単独介入として、それぞれ円売り介入に動いた。この2回の介入が行われた際の対韓国ウォンの円相場は7.0-7.2円程度だった(「資料1」参照)。
 
13日終値は、まだ7.4円だったが、これを超えてくると、3月協調介入後の円戻り高値を更新、介入が実施された当時の円高・ウォン安領域に近付くことになる。
 
また、対人民元ではすでに3月介入後の円戻り高値を更新、介入が実施された時の円高・人民元安の水準に接近している(「資料2」参照)。
 
すでに、ドル円では3月18日に協調介入が実施された水準より円高になってきているが、それにくわえて実質的な輸出への影響が警戒される対アジア通貨での円高がさらに進むようだと、円高阻止介入再開の可能性は高まりそうだ。
 
◆「脱原発=円急落」黙殺という「?」
ところで、先週は菅総理が「脱原発」を表明した。原発の全面停止は、早期に貿易収支を赤字に転落させる要因とされている。その意味では、脱原発はあまりに明らかな「大いなる円安要因」だろう。ところが脱原発表明直後、それは完全に黙殺されたかのような展開になった。
 
これは、すでに退陣内定の菅総理の発言には実現性がないとして見下されたということだろうか。それはそうだとしても、「大いなる円安要因」にまったく無反応な市場も、一歩引いてみると危うさを秘めているような気もしないではない。
 
シンクタンクによると、全国の原発が再稼動しなかった場合、貿易収支は早速今年度から赤字に転落する見通しだという。世界一の低金利にもかかわらず、リスク回避で円が安全資産として買われるのは、貿易黒字通貨ということが大前提のはずだった。
 
ところが、その大前提も崩れる可能性が、レームダック化がはなはだしいとはいえ、現職総理の発言から出てきたわけだが、その日為替市場は欧州財政不安からのリスク回避と、米追加金融緩和思惑などにより、むしろ一段と円買いに向かった。
 
これは、菅総理発言が軽く扱われていることを再確認する一方で、欧州財政不安やバーナンキ発言というわかりやす過ぎる材料に過敏な反応をするあまり、「脱原発=大いなる円安」が無理解になっている危うさも感じられなくない。(了)

<資料1>

<資料2>



※当レポートは、情報提供を目的としたものであり、特定の商品の推奨あるいは特定の取引の勧誘を目的としたものではありません。

※当レポートに記載する相場見通しや売買戦略は、ファンダメンタルズ分析やテクニカル分析などを用いた執筆者個人の判断に基づくものであり、予告なく変更になる場合があります。また、相場の行方を保証するものではありません。お取引はご自身で判断いただきますようお願いいたします。

※当レポートのデータ情報等は信頼できると思われる各種情報源から入手したものですが、当社はその正確性・安全性等を保証するものではありません。

※相場の状況により、当社のレートとレポート内のレートが異なる場合があります。

バックナンバー

「今週はこう動く! マーケット羅針盤」過去記事のタイトル一覧(月別)はこちら。

そのほかのマーケット情報

ページトップへ