今週はこう動く! マーケット羅針盤

2011/03/28 12:47協調介入でドルは大底入れとなったのか

3月18日にG7(7カ国財務相会議)協調介入が実現したが、経験的に協調介入は基調転換のきっかけになったことが少なくなかっただけに、対円でのドル大底入れとの見方も出てきたようだ。


◆相場反転をもたらしてきた協調介入
今回のG7協調介入は、2000年9月22日のユーロ買い協調介入以来約10年ぶりのもの。また、円売り協調介入としては、1995年以来約16年ぶりということになる。ところで、この過去2回の協調介入は、それぞれユーロ安、円高の基調転換のきっかけとなった。

まずはユーロ買い協調介入から詳細に見てみよう。ユーロ買い協調介入が2000年9月22日に行われると、ユーロは0.8439ドルの安値からいったん反発に向かった。しかし、協調介入から約1カ月後の10月18日にふたたび安値を更新。そして10月26日に0.8228ドルを記録したが、この前後で今度は協調ではなかったがECB(欧州中銀)が単独で再介入に動いたことで大底入れとなった。

1995年4月25日にG7は、ドル安、円高などを反転させる共同声明を発表したが、実はそれ以前の4月18日まで円売り・ドル買いなどの協調介入を続けていた。ドルは協調介入終了直後の4月19日に79.75円を付けると、その後、反発に転じた。ただ、G7声明から約1カ月後の5月末にかけて、ふたたび80円割れに迫るドル安・円高となった。日本の通貨当局が介入を再開すると、ドルは二番底となった。

こんなふうに、過去2回の協調介入は、基調転換のきっかけとなっていた。ただ細かく見ると、協調介入から1カ月程度後に、もう一度底値更新を試す展開になっていた。2000年のユーロはそのタイミングで底値を2.5%程度といった具合にわずかに更新。一方1995年のドルは底値更新が回避された。ただ両方とも、このタイミングで協調介入ないし当事国の単独介入が行われていた。

こういった過去の例を参考にすると、ドル安・円高が、この間の安値76円台を試す動きが、4月後半以降にあるのかもしれない。そこで2000年のユーロ安のパターンならいわゆる「弱気の二番底」で74円台を記録することになる。そうではなくて1995年のドル安パターンなら、76円台割れを回避、「強気の二番底」になる。いずれにしても、その中で円高基調完了を確認していくといったシナリオになるが、果たしてどうか?


◆否定されるレパトリ円高説
東日本大震災が発生したのは3月11日の金曜日。そして週明けの14日以降、じわじわと円高が進み、17日、ついに1ドル=79.75円と円の最高値、ドル最安値を更新すると一気に76円台まで円高・ドル安が広がった。

このように大震災、さらに原発不安など日本経済に大きなダメージを与える動きが起こる中で、円相場が円安になるどころか、逆に大幅円高となったのは、リスク回避、とくに対外債権国である日本が資産の引き揚げ、いわゆるレパトリに動いた結果との解説が一般的に少なくなかった。

ただ、財務省の対外証券投資統計によると、3月13-19日の対外証券投資は2864億円の資本流出超過、つまり買い越しだった。資本が国内に大量に流入したわけではなかったのである。細かく見ると、外国株式、外国債券ともこの週では、売りは拡大していた。しかし一方でとくに外国債券については買いも大幅に拡大した結果、差し引きすると資本流出超過となっていたのである。

対外証券投資が資本流出超過、簡単な言い方をすると円売りが多かったにもかかわらず、円一段高となるような円買いの主役は誰だったか。もちろん、輸出企業の円買いもあっただろうが、基本はそういった実需以外の投機筋ということだろう。

実際、ヘッジファンドなど投機筋のポジションを反映しているCFTC(米商品先物取引委員会)統計によると、15日現在の数字ながら、円の投機的買い越しは1週間前に比べて倍増していた(18日更新)。投機筋の円買いは、介入を受けて円売り戻しに転じる可能性のあるものだ。それが今回、協調介入が効果を上げている一因だろう。(了)


<日本からの対外証券投資推移>
出所:財務省資料からT&Cフィナンシャルリサーチ作成

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