今週はこう動く! マーケット羅針盤

2011/02/07 13:47ユーロの2011年予想を考える・後編

前回に続きユーロについての2011年予想を考えてみたいと思います。


◆「悪いユーロ安」は1ユーロ=1ドル、100円割れに向かう
資料1は、適正水準の目安である購買力平価からのユーロドルのかい離率を見たものです。


<資料1>

これを見ると、ユーロはここ数年適正水準を上回る、つまり割高圏での推移が続いていました。ちなみにユーロドルの購買力平価は直近で1.2ドル程度ですから、1.4ドルを超えるユーロはそもそも適正な水準より相当なユーロ割高になっていたということなのです。


その意味では、ユーロ危機と呼ばれた1.2ドル割れへのユーロ急落は、むしろユーロの割高が是正され、適正水準まで戻ってきたということになります。ユーロ危機という言葉の意味からすれば、適正な水準よりユーロが割安を拡大する、いわゆる「悪いユーロ安」ということだと思いますが、それはまだ起こっていなかったわけです。欧州財政問題が解決していないなら、これからいよいよそんな局面に移っていく可能性があるでしょう。


資料1を見ると、かつてユーロは適正水準の購買力平価を2-3割も下回ったことがありました。欧州財政問題が解決するまでは、今回もそんなふうに適正水準を大きく下回ってユーロが下落する可能性は十分あるのでしょう。ちなみに1.2ドルを2割下回ると0.96ドルという計算になります。1ユーロ=1ドルをパリティといいますが、そんなパリティを割り込むユーロ安へ向かっていく可能性は十分あると思います。


同じことをユーロ円で考えてみましょう。資料2はユーロ円の購買力平価からのかい離率です。これで見ても、昨年のユーロ下落は、ユーロの割高が是正され、適正水準に戻った動きだったといえるでしょう。


<資料2>

ユーロ円の購買力平価は直近で112円程度です。かつてはそれを2-3割下回ったこともありました。欧州財政問題が解決せず、本当の意味でユーロ危機が続くなら、今回もその程度、購買力平価を下回るユーロ安になる可能性はあるでしょう。


かりに購買力平価を2割下回るなら、90円になります。つまり、ユーロ安、ユーロ売りの行き過ぎ修正が一段落したら、基本的には1ユーロ=100円を超えるユーロ安に向かっていくと思います。


◆年間3000ポイント値幅の大相場が続くユーロ
えてして金融市場では、ユーロ安になると「やはり欧州財政危機は何も変わっていない」といった声が大きくなり、ところがユーロ高になるとそんな声が低くなるようです。しかしもちろんユーロの水準が、欧州財政問題を正確に評価しているわけではありません。


財政問題などを受けた欧州に対する信用を示す代表的な指標は資料3の欧州CDS指数です。これをみると、欧州の信用が最も悪化したのは昨年の6月で、その後は信用改善が進んできましたが、それでもまだ2010年初めの頃の信用回復にはほど遠い状況にあります。つまり、財政危機を受けた欧州の信用悪化は依然厳しい状況が大きく変わっていないということでしょう。


一方で、米国の信用は、ほぼ2010年初め、つまり一年前の水準に戻ってきました。本来関係ないはずなのに、欧州の信用悪化に引っ張られる形で悪化した米国の信用は、さすがにここに来て「欧州離れ」が進み、ほぼ元の水準に信用を回復してきたわけです。


ユーロ危機といっても、米国など世界も一緒にリスク回避が進むと、金利差は大きく変わりませんからユーロだけが一方的に売られることには基本的にならないでしょう。しかし欧州でリスク回避が進んでも、世界的にはリスク回避にならないなら、金利差はユーロ不利が拡大し、よりユーロは売られやすいと思います。


<資料3>

こんなふうに考えると、今年もユーロ安の流れは変わらないと思います。ところで、資料4はユーロドルの値幅を月間、年間について調べたものですが、ここ数年のユーロドルは年間で3000ポイント前後、ドル円でいうと30円程度の値幅に拡大する大相場が続いてきました。


この2011年のユーロドルも3000ポイントの値幅を想定し、そしてこれまで見てきたようにユーロ安の流れが変わらないとすると、昨年のユーロの上限である1.4-1.45ドルが今年も上限になると考えられるので、ユーロの下値は1.1-1.15ドル程度まで想定する必要があると思います。(了)


<資料4>

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