植田総裁の発言を受けて円が堅調
2025/12/02 08:50
【ポイント】
・市場では日銀の12月利上げ観測が高まる
・ユーロ圏HICPでECBの利下げ打ち止め観測が補強されるか
(欧米市場レビュー)
1日、欧米時間の外為市場では円が堅調に推移。一時米ドル/円は154.656円、ユーロ/円は180.119円、豪ドル/円は101.481円、NZドル/円は88.815円へと下落しました。日銀の植田総裁は名古屋市で開かれた金融経済懇談会で、次回12月18-19日の金融政策決定会合では「利上げの是非について適切に判断したい」と述べました。その発言を受けて次回会合での追加利上げ観測が市場で高まり、円の支援材料となりました。
米国の11月ISM製造業景況指数は48.2と、市場予想(49.0)に反して前月の48.7から低下したものの、市場ではそれほど材料視されなかったようです。
(本日の相場見通し)
本日は引き続き、昨日の植田日銀総裁の発言が市場で意識される可能性があり、その場合には米ドル/円や豪ドル/円などの対円の通貨ペアは上値が重い展開になりそうです。
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本日は、ユーロ圏のHICP(EU基準消費者物価指数)速報値が発表されます(日本時間19:00)。その結果が材料になる可能性があります。
HICPの市場予想は総合が前年比2.1%、エネルギー・食品・アルコール飲料・たばこを除いたコアが同2.4%。上昇率は総合とコアのいずれも、10月改定値と同じになるとみられています。ECB(欧州中銀)のインフレ目標は2%です。
ECBは24年6月から25年6月にかけて8回の利下げを実施した後、3会合(7月・9月・10月)連続で政策金利を据え置きました。現在の政策金利は、ECBが最も重視している中銀預金金利が2.00%、残りの2つ、主要リファイナンス金利が2.15%、限界貸出金利が2.40%です。
市場では、ECBの利下げサイクルは終了したとの見方が優勢です。HICPが市場予想を上回る結果になれば、その見方が補強されるとともにユーロにとってのプラス材料になりそう。ユーロ/英ポンドは、11月14日高値の0.88602ポンドが上値メドです。
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RBNZ(NZ中銀)では12月1日に、10月上旬までリクスバンク(スウェーデン中銀)の第1副総裁を務めたブレマン氏が総裁に就任しました。
ブレマン新総裁は2日にNZ議会で証言し「インフレ率を低く安定させることに注力すべきという(RBNZの)責務は極めて明確だ」、「健全で力強い経済成長を支えつつ、インフレ率を低く安定した状態に維持することを目指す」、「最近の利下げはNZの成長を改善させるだろう」などと述べました。
RBNZは11月26日の会合で0.25%の利下げを行うとともに、24年8月に開始した利下げサイクルが終了する可能性を示しました。この会合はホークスビー前総裁のもとで開催されました。
※詳しくは、11月26日の『デイリーフラッシュ』[【速報】RBNZ会合の結果を受けてNZドルが急伸]や『M2TV 資源・新興国マーケットView』[NZ中銀会合で豪ドル/NZドル急落+メキシコペソ/円の見通し]をご覧ください。
ブレマン新総裁がどのような金融政策運営を行うのか注目されます。RBNZの次回会合は26年2月18日の予定です。
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