今月の特集

2014年04月日本の「双子の赤字」はなぜ問題か!? その原因と影響を徹底解説!

「双子の赤字」って何?

今年3月10日に発表された日本の経常収支は、1.6兆円の赤字でした。これは過去最大であるとともに、比較可能な1985年以降で初の4か月連続での赤字でした。

同じ日に、財務省が主催する財政制度分科会で配布された資料「財政健全化目標の達成に向けて」では、3つの考慮すべき事項の一つとして、「経常収支の推移」 を挙げました。そして、「経常収支が赤字になった場合、財政赤字が継続していれば、いわゆる『双子の赤字』になるおそれ(がある)」と警鐘を鳴らしまし た。

元祖、アメリカの「双子の赤字」

財政赤字と経常赤字の「双子の赤字(twin deficits)」というフレーズは、1980年代のレーガン大統領の時代に広く有名になりました。「双子の赤字」が、国際金融市場のかく乱要因となったからです。87年に起こった「ブラックマンデー(NY株の大暴落)」も、「双子の赤字」が背景要因とされています。

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81年に就任したレーガン大統領は、大規模な減税を実施する一方で、軍備増強を進めたため、財政赤字が拡大しました。また、もともと70年代に2度のオイルショックを経験していたうえに、減税や財政支出によって需要が刺激され、インフレが高進しました。

これに対して、中央銀行であるFRBは政策金利を20%まで引き上げ、思い切った金融引き締めによるインフレ退治に踏み切りました。副作用として、高金利に惹かれて海外から資金が流入したため、ドルが高騰し、実力以上のドル高によって、経常収支が急激に悪化したのです。

結局、ドル高にたまりかねた米政府の主導で、先進5か国によるプラザ合意が成立し、その後、ドルの凋落が始まりました。

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「双子の赤字」の原因

財政赤字と経常赤字は無関係ではありません。まず、国全体の貯蓄と投資は事後的に必ず均衡します。財政赤字は政府部門の貯蓄不足(=貯蓄<投資)です。経常赤字は、その裏返しが資本収支の黒字であって、これは海外部門の貯蓄超過(=貯蓄>投資)と同じことです。

そして、政府部門の貯蓄不足が、民間部門である企業と家計の貯蓄超過によって十分に穴埋めできていない場合に、海外部門は貯蓄超過であり、つまり経常収支は赤字なのです。それこそが「双子の赤字」です。

現在の日本の経常赤字は、一時的現象かもしれません。世界経済の回復や円安の効果によって輸出が増え、一方で急増したエネルギー輸入が徐々にピークアウトする可能性はあります。経常収支のうち、貿易収支は赤字でも、所得収支は黒字であるというショックアブソーバーもあります。

ただ、高齢化によって家計の貯蓄超過は縮小傾向にある一方で、企業は大幅な貯蓄超過です。企業はこれまで投資を手控えてきましたが、外部から資金を調達して、設備投資に よって利潤を生む主体ですから、本来は貯蓄不足であるべきでしょう。このように、今後、民間部門の貯蓄超過にあまり期待できないため、財政健全化が進まなければ、いずれ経常赤字が常態化する可能性は少なからずありそうです。

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「双子の赤字」の影響は?

日本では、財政赤字の累積である政府の債務残高(=国債発行残高)が膨れ上がっています。それでも、国債価格の暴落(=金利の急騰)などの危機が発生していない理由は、「国債のほとんどが国内で消化されているから」とする説が有力です。

しかし、経常赤字が常態化すると、国債消化のために海外の資金をアテにしなければならなくなります。そうなれば、日本の国債市場は、外国人投資家の動向に関して、今以上に神経質になるでしょう。

 

様相が異なる現代の「双子の赤字」

もっとも、グローバルな資金の流れは、レーガン大統領の80年代に比べて格段に大きく、かつ自由になっています。魅力的な投資対象があれば、「双子の赤字」を穴埋めするだけの資金が流入するのはそれほど難しくないかもしれません。

2000年から2008年のリーマンショック後まで、アメリカの経常赤字は名目GDP比でみて80年代のピークを常に超えていました。また、ITブームを背景に一時改善した財政収支も、ITバブルの崩壊とともに、悪化に転じました。この間に、アメリカの「双子の赤字」がショックの「元凶」として、取沙汰されたことはあまりなかったように思います。

 

重要なのは、日本が魅力ある投資機会を提供できるか?

結局のところ、日本の課題は、「双子の赤字」を回避するように財政健全化を進めることができるか。そうでないならば、「双子の赤字」が常態化した時に、海外の資金に対して魅力ある投資機会を提供することができるか、ではないでしょうか。

それができないのであれば、国内での資金の奪い合いによって金利が大幅に上昇するクラウディングアウトや、その結果としての円の乱高下を受け入れざるを得なくなるかもしれません。

 

(市場調査室)

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