今月の特集

2014年11月待ったなし!迫る「消費税再増税」への最終決断

本格化する再増税議論

政府は、消費税率を現在の8%から来年10月に10%へ引き上げるかどうかを判断するため、有識者に意見を聞く点検会合を今月4日から18日までの日程で開始しました。点検会合は5回に分けて開かれ、経済界、消費者団体、労働組合の代表、中小企業の経営者、自治体のトップ、学者、エコノミストなど42名から意見を聞きます。

首相は会合で出された意見や、17日に内閣府が発表する7ー9月期GDP(国内総生産)速報などの経済指標を踏まえ、年内にも再増税の是非を最終決断する模様です。

 

再増税へのロードマップ(影響を与えそうな要因)

(2014年)

11月4-18日   有識者から意見を聞く点検会合(今後の経済財政動向等についての点検会合)
11月17日 7-9月期GDP(国内総生産)速報値発表
12月8日   7-9月期GDP(国内総生産)改定値発表
12月中?     安倍首相が再増税の是非を最終決断

(2015年)

4月12日   統一地方選(都道府県と政令指定都市の首長、議員選挙)
4月26日 統一地方選(政令市以外の市、特別区、町村の首長、議員選挙)
9月 安倍首相の自民党総裁の任期満了
10月? 消費税10%へ増税?

(2016年)

7月?  参議院議員通常選挙
12月? 衆議院議員総選挙

※来年(2015年)4月の統一地方選で与党が大敗する場合は、増税実施を見直す可能性も?

 

7-9月期GDPで決まる!?再増税の是非

7-9月期GDP(国内総生産)速報値が11月17日に発表されます。

安倍首相や麻生財務相、ほか政府関係者は、「消費税率10%への引き上げの最終判断時期について、7-9月期GDP(国内総生産)を含む経済指標を総合的に判断する」と表明し続けてきました。

今年4月の消費税率8%への引き上げによって、4-6月期GDPの民間消費、民間設備投資、民間住宅投資の、いわゆる「民間3部門」は揃って大幅にダウンしました。「民間消費」は前1-3月期に比べて約10兆円減少、その他2部門の減少を合わせて「民間3部門」の減少幅は14兆円を超えました。前1-3月期の「駆け込み需要」の反動減を超える減少でした。

その一方、政府消費、公共投資など政府部門の増加が民間の減少を和らげたほか、純輸出が前期比6.5兆円増加したことで、GDPの減少幅はやや抑えられました。

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来年10月に予定されている消費税率10%への引き上げが実行されれば、前回同様に、実行直前には「駆け込み需要」で消費が伸びる一方、それを上回る「反動減」が民間3部門を押し下げる可能性もあると推測されます。前回と「同じ轍」を踏まないために、足もとの消費動向や輸出の動向など、7-9月期GDPの内容を見極めたいとの意図が感じられます。

 

再増税を行うとどうなるのか?

消費税率10%への引き上げが実行されると、どうなるのでしょうか?

今のところ想定される、起こりそうな出来事として、

・再増税前の駆け込み需要増加&その後の反動減

・「市民感覚」の景況感の低下

などが予想されます。

前述のとおり、消費税率の10%への引き上げ実行の直前には「駆け込み需要」で消費が大幅に伸びるとみられますが、引き上げ直後には「反動減」と「消費税率アップによる物価高」から大幅に消費が低下する可能性も高いと推測されます。

 

先日の日銀による「ハロウィーン緩和」や、政府が年内編成を検討しているという「2014年度補正予算」が、大企業中心の純輸出の拡大や、公共投資の増額によってGDPを押し上げる効果は期待されますが、前回同様に民間消費・投資が低下する公算は大きく、民間にとっては「痛みを伴う」再増税となるかもしれません。

 

また、内閣府が毎月公表している「景気ウォッチャー調査」(百貨店・スーパーマーケット・コンビニエンスストアなどの小売店や、タクシー運転手、レジャー業界など景気に敏感な職種の人々にインタビューをし、調査結果を集計・分析したもの)をみると、今年4月の消費税率引き上げの際には、「先行き」判断が先行して下落、「現状」判断がやや遅れて底を付ける形となりました。今後、再増税が実行される場合には、前回同様に「先行き」が先行して低下し、「現状」が遅れて低下することで、「市民感覚」の景況感の低下が示唆されるかもしれません。

 

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再増税見送りの可能性は?

消費税再増税見送りの可能性はあるのでしょうか?

・税率引き上げの時期を2016年以降に延期する

・消費税率の引き上げを無期限で見送る

11月4日には、維新の党とみんなの党、生活の党の野党3党が、消費税率の10%への引き上げを延期する「消費増税凍結法案」を国会へ提出しました。国会議員の定数削減の実行などを前提としています。しかし、衆議院で圧倒的多数を獲得している与党政権の下では、この法案が成立する可能性は低いだろうと思われます。

先に触れたように、7-9月期GDP速報の結果を「総合的に」判断した結果、また、与党内からも来年10月の実施に反対意見が噴出する場合には、「2016年以降に延期」も浮上するかもしれません。ただ、2016年以降に延期する場合には、2016年7月の参院選、12月の衆院選が視野に入るため、有権者心理にネガティブに働くと思われる再増税の実行が一層困難になることも考えられます。

黒田日銀総裁は会見・講演のたびに「消費税引き上げを行った場合のリスクに対しては財政・金融政策で対応が可能だが、行わなかった場合のリスクが顕現化した場合、なかなか対応しがたい」と発言してきました。10月会合での「ハロウィーン緩和」決定も、再増税実行への「援護射撃」と受け止められ、来年10月の再増税実行に向けて、政府・日銀の足並みは揃っているようです。

 

マーケットへの影響は?

それでは、マーケットへの影響を(あくまで仮説ですが)考えてみたいと思います。

【増税が決定された場合】

ほぼ既定路線ともみられ、影響は大きくないかもしれません。

ただし、景況感の悪化は避けられず、株安を伴ったリスクオフによって一時的には円高へ振れる可能性も否定できないでしょう。

少し長い目でみれば、アベノミクスの継続であり、景況悪化に対する日銀の支援(追加緩和)も想定されることから、円安となりそうです。

【増税先送りの場合】

法改正が必要であり、安倍首相の求心力低下・アベノミクス頓挫の見方などが交錯し、金融市場は波乱含みとなるかもしれません。

外国人売りなどもあって、株価が大きく下げるようであれば、円高要因となりそうです。

また、財政破たん懸念が強まることで、外国人を含めた国債売りで金利が大きく上昇する可能性も考えられ、円高要因と考えられるでしょう。

ただ、ここでの金利上昇は「悪い金利上昇」であり、円高をもたらすよりも「日本売り」で円安要因と捉えることもできそうです。

 

(市場調査部)

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