市場調査部レポート

2019/05/10 13:30トランプ政権の対外強硬姿勢を警戒!?

◆テクニカル◆

※上記想定レンジおよび投資戦略アイデアは、各種テクニカル指標を基に週間ベースの想定をしています。
※最終的な投資判断はご自身で行っていただくようお願いいたします。

〇“Pick Up”通貨:米ドル/円、ユーロ/米ドル
【米ドル/円】 (5/13-17 戦略アイデア) コアレンジ:108.50-110.70円、戻り売り


<投資戦略アイデア>
■コアレンジ:108.50-110.70円をベースとする戻り売り戦略

 上図チャートでは、1) 21日MA(移動平均線)が右肩下がりであること、2) 遅行スパンがローソク足の下方にあること、3) ローソク足の上方に赤色の雲(=抵抗帯、先行スパン)およびパラボリック・SAR(ストップ・アンド・リバース)があること、そして、4) DMI(方向性指数)で-DI>+DIとなっていることから、米ドル/円・日足チャートでは典型的な下降トレンドを示すチャート形状となっています。

 また、BB(ボリンジャーバンド)・±2σラインが21日MAに対して拡張する“エクスパンション”が示現していることから、これからの時間にかけての米ドル/円は、多少の戻り(=短期的反発)も伴いつつ、徐々に下値を切り下げる相場展開が想定されます。

 以上を概括すると、次週(5/13-17)における米ドル/円については、上値メド:BB・-1σラインを基準とする「110.70円」、下値メド:1/31時安値(上図青色三角印および黒色点線)を基準とする「108.50円」のゾーン(上図黄色四角枠)が主戦場になると想定します。よって、投資戦略アイデアとしては、当該ゾーン(=108.50-110.70円)をターゲットとする戻り売りを仕掛けるのも一案でしょう。<津田>

【ユーロ/米ドル】 (5/13-17戦略アイデア) コアレンジ:1.1160-1.1280ドル、戻り売り


<投資戦略アイデア>
■コアレンジ:1.1160-1.1280ドルをベースとする戻り売り戦略

 上図チャートでは、1) 21日MA(移動平均線)が右肩下がりであること、2) 遅行スパンがローソク足と絡み合う状態となっていること、そして、3) ローソク足が赤色の雲(=抵抗帯、先行スパン)の中に入り込んでいることから、ユーロ/米ドル・日足チャートでは緩やかな下降トレンドを示唆していることが分かります。

 そんな中、チャートのアナロジー(類比)分析をすると、以下のような傾向・パターンが視認できます。

a) ローソク足がBB(ボリンジャーバンド)・-2σライン付近にある状態で、SSTC(スローストキャスティクス)を構成する2本の線が20%ラインで交差する“ゴールデン・クロス”となったケースでは、「相場の下値固め」→「反発フロー」となっている。(上図赤色丸印)

b) ローソク足がBB(ボリンジャーバンド)・+2σライン付近ないしは先行2スパン付近にある状態で、SSTC(スローストキャスティクス)を構成する2本の線が80%ラインで交差する“デッド・クロス”となったケースでは、「相場の上値固め」→「反落フロー」となっている。(上図青色丸印)

 上記a)およびb)を踏まえた上で、現状のユーロ/米ドルの動向を勘案してみると、足もとでは、下降トレンドにおける一時的な戻り(=上昇フロー)の時間帯であることが想定されます。

 以上を概括すると、次週(5/13-17)におけるユーロ/米ドルについては、上値メド:先行2スパンを基準とする「1.1280ドル」、下値メド:BB・-1σラインを基準とする「1.1160ドル」のゾーン(上図黄色四角枠)が主戦場になると想定します。よって、投資戦略アイデアとしては、当該ゾーン(=1.1160-1.1280ドル)をターゲットとする戻り売りを仕掛けるのも一案でしょう。<津田>


◆ファンダメンタルズ◆
<<相場環境>>
 5月5日、トランプ大統領が突如ツイッターで対中関税引き上げを通告、米中貿易協議に関して楽観論が優勢だった市場に冷水を浴びせました。

 トランプ大統領は20年11月の大統領選に向けて「成果」を急ぎたいとみられ、中国だけでなく、EUや日本に対しても圧力を強めそうです。議会民主党がロシア疑惑の追及を強めつつあり、国民の関心を「外」に向けたいとの大統領の思惑もあるかもしれません。

 トランプ大統領は18年7月のユンケル欧州委員長との会談で、関税撤廃に向けて協議し、その間は相互に関税を引き上げないことで合意しました。ただし、19年2月17日に米商務省は自動車輸入が安全保障の障害になりうるとの報告書を提出しました。トランプ大統領は90日以内、すなわち5月中旬までに関税引き上げに関する判断を求められています。トランプ大統領がユンケル委員長との合意を優先させる保証はなさそうです。

 4月に始まった日米貿易協議では、対象範囲をどうするか、為替条項を盛り込むかなど、当初から日米の姿勢に隔たりがあったようです。4月末の日米首脳会談では、日本から米国の自動車新工場への400億ドルの投資が言及されました。ただ、詳細は不明であり、トランプ大統領が自慢したように、安倍首相が民間の投資に「同意した」と考えるのはやや無理がありそうです。

 通商問題だけでなく、トランプ政権が対北朝鮮、対イランなど外交面でも強硬姿勢を打ち出してリスクオフ要因となる可能性もあり、一段の注意が必要かもしれません。<西田>

【米ドル(/円)】
 ワシントンでは、議会民主党がロシア疑惑に関連してトランプ大統領を追及する姿勢を強めています。4月に司法省に提出されたモラー特別検察官の報告書は、ロシアとトランプ陣営の結託は否定したものの、トランプ政権による司法妨害の可能性に言及しました。これに関連して、トランプ政権幹部や司法省が議会からの召喚を拒否しているためです。

 上院の共和党リーダーであるマコーネル議員が「捜査終了(case closed)」を宣言する一方で、民主党のペローシ下院議長は調査継続の意向を表明しています。ペローシ議長はこれまで大統領の弾劾には慎重姿勢をみせていましたが、議会からの召喚を拒否することは、司法妨害として「(大統領の)弾劾に値する」と警告するに至りました。
 大統領選への出馬を表明しているウォレン上院議員は、上述のマコーネル上院議員の発言の直後に「ただちに大統領の弾劾手続きを開始すべき」と述べました。

 大統領の弾劾手続きは、下院が開始を決定し、上院が最終判断を下します。そのため、共和党が引き続き過半数を握る上院が大統領を「有罪」とする可能性は非常に低いでしょう。それでも、弾劾に向けての動きが加速するならば、政治不安が高まって投資家心理にも影響する可能性はあるでしょう。

金融政策は再び「年内利下げ」が優勢に
 4月30日-5月1日のFOMCでは、声明文がインフレ率の下振れを指摘したことで利下げ観測が高まりました。しかし、直後の記者会見でパウエル議長が「インフレ率の弱さは一過性の可能性が高い」、「金融政策は引き締めと緩和のどちらにも偏っていない」などと語ったことで、一転して利下げ観測は後退。

 ただ、ここもとの景気指標はGDPやNFP(非農業部門雇用者数)など堅調なものが多かったものの、PCEコアなどの物価指標は弱いものが目立ちました。米中貿易摩擦の激化懸念もあり、足もとで利下げ観測が再び強まっています。

 5月9日時点のFFレート(政策金利)先物によれば、市場が織り込む確率は「年内利下げ」58.5%、「年内据え置き」41.5%、「年内利上げ」0%です。<西田>

【ユーロ】
 4月28日のスペイン総選挙では、サンチェス首相の社会労働党が第一党となりましたが、過半数には遠く及びませんでした(350議席中123議席)。サンチェス首相は大幅に議席を減らした国民党(同66議席)などと連立政権の樹立を模索するようです。サンチェス首相は、親ユーロや財政規律を標ぼうしており、社会労働党を軸とした政権が誕生すれば、市場にとっては好ましい結果と言えそうです。

 ただ、反移民を掲げる極右政党のVOXが初めて議席を獲得するなど、ポピュリズム政党の台頭は懸念されるところです。5月23-26日の欧州議会選挙でも、EU懐疑派の勢力が拡大する可能性があります。その場合は、EUの結束が一段と弱まり、ユーロの弱気材料となるかもしれません。<西田>

【英ポンド】
 英議会が可決できる協定案を模索して、メイ首相と野党労働党のコービン党首の話し合いが続いています。一時は合意が近いとの報道もありましたが、話し合いは暗礁に乗り上げているようです。
 コービン党首がEUの関税同盟への残留を求めているのに対して、メイ首相は関税同盟からの離脱をレッドライン(譲れない線)としているためです。コービン党首が望む、協定案に関する国民投票に対しても、メイ首相は否定的なようです。

 メイ首相とコービン党首が協定案で合意できなければ、複数の選択肢を提示して議会が決定することになりそうです。ただ、その場合でも、議会の過半数の支持を得られる選択肢がなければ、メイ首相の退陣や総選挙、国民投票などの可能性が浮上し、ブレグジットの先行きは一段と不透明になりそうです。「合意なき離脱」の可能性も払拭されません。

 メイ首相は、欧州議会選(5/23-26)への参加を回避するため、早期の協定案成立を目指していましたが、それはほぼ不可能です。
 英国とEUがブレグジットを10月末まで延期することを決定した際、英国が協定案を提示し、かつEU全加盟国がそれを承認した場合は、翌月1日に英国がEUを離脱するとの条項が盛り込まれました(つまり、5月中に協定案が成立すれば、6月1日に英国がEUを離脱)。しかし、現状では早期離脱は現実的ではなく、それどころか10月末の期日を再延期する可能性もありそうです。<西田>

【豪ドル】
 RBA(豪中銀)は5月7日、政策金利を過去最低の1.50%に据え置きました。声明では、「経済には依然として余剰生産能力があり、インフレが目標と一致するには労働市場のさらなる改善が必要」との認識が示されました。

 RBAは利下げが適切になる条件として、これまで「インフレ率が低水準にとどまり、失業率が上昇を続けるなら」としていました。利下げの条件は“失業率が悪化すれば”から“失業率が改善しなければ”へと変化したため、利下げのハードルは下がったと言えそうです。

 豪州の4月雇用統計が5月16日に発表されます。失業率が3月の5.0%から悪化した場合、市場ではRBAの早期利下げ観測が高まり、豪ドルに対して下落圧力が加わる可能性があります。

 米中貿易協議の結果も豪ドルに影響を与えそうです。両国の貿易摩擦の激化は、豪ドルにとってマイナス材料です。<八代>

【NZドル】
 RBNZ(NZ中銀)は5月8日、0.25%の利下げを決定。政策金利を1.75%から過去最低の1.50%へと引き下げました。利下げは2016年11月以来です。

 RBNZはまた、四半期に一度の金融政策報告を公表。OCR(政策金利)は2020年1-3月期に1.4%へ低下した後、2021年7-9月期から上昇に転じるとの見方を示しました。政策金利は今回の利下げによって1.50%になったため、RBNZは来年にかけてさらに1回の利下げを想定していると見なすことができそうです。市場では利下げ観測が今後も残るとみられます。

 豪ドルと同様、米中貿易協議の結果がNZドルに影響を与えそうです。両国の貿易摩擦の激化は、NZドルにとってマイナス材料です。<八代>

【カナダドル】
 ポロズBOC(カナダ中銀)総裁は5月1日、「カナダ経済がさらされている逆風が後退すれば、政策金利は上昇する」と述べ、「現在の政策金利は依然として低い」と語りました。BOCは4月24日の会合で利上げバイアスを撤回し、政策金利を当面据え置くことを示唆しました。ただ、ポロズ総裁は“次の政策変更は、利上げの可能性の方が高い”と考えているようです。

 カナダの4月雇用統計が5月10日4月CPI(消費者物価指数)が15日に発表されます。それらが堅調な結果になったとしても、BOCがただちに利上げに動くことはなさそうですが、市場では“BOCの次の一手は利上げ”との見方が高まる可能性があります。その場合、カナダドルの上昇要因となり得ます。

 カナダドルについては、 原油価格の動向にも目を向ける必要があります。米WTI先物は足もと1バレル=60米ドル台前半で上下動を繰り返し、方向感を失いつつあります。原油価格に方向感が生まれた場合、カナダドルに影響を与える可能性があります。原油高はカナダドルにとってプラス材料です。<八代>

【トルコリラ】
 TCMB(トルコ中銀)は5月9日、1週間物レポ入札を中止し、ROM(準備選択メカニズム)の外為ファシリティーの上限を40%から30%に引き下げると発表。トルコリラの下支えに動きました。

 1週間物レポ金利(現在24.00%)を用いた資金供給が中止されることによって、市中銀行はより金利水準の高い翌日物貸出金利(25.50%)を利用して資金調達を行う必要があり、事実上の利上げと見なすことができます。

 外為ファシリティーの上限が引き下げられることによって、市場からトルコリラが吸収される一方、外貨が市場に供給されます。TCMBによると、この措置によって72億トルコリラが吸収され、28億米ドルが供給されるとのことです。

 1週間物レポ入札の中止や外為ファシリティーの上限引き下げによって、トルコリラはいったん下げ止まるかもしれません。ただ、米国とトルコの関係悪化TCMBの外貨準備高減少への懸念イスタンブール市長選の再選挙(6/23実施)など、足もとのトルコリラ安の背景となっている材料は残存しています。それらが残存する限り、トルコリラはいずれ下落する可能性があります。<八代>

【南アフリカランド】
 南アフリカの総選挙が5月8日に行われました。開票率約70%(日本時間10日午前7時頃)の時点で、得票率は与党ANC(アフリカ民族会議)が約57%、野党第1党のDA(民主同盟)が約23%、第2党のEFF(経済的解放の闘士)が約10%となっています。ANCの議席は前回の249から減少するものの、過半数(201議席)は維持するとみられます。選挙の公式結果は11日にも発表される見込みです。

 ANCが余裕をもって過半数を維持すれば、政治の先行き不透明感が払しょくされそうです。その場合、南アフリカランドにとってプラス材料と考えられます。<八代>


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【マーケットView】

マーケットViewは、毎日16時ごろアップの予定です。

※動画のアップ時間は前後する可能性があります。

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