市場調査部レポート

2019/04/12 13:30トルコリラは米国との関係悪化に要注意

◆テクニカル◆
 
※上記想定レンジおよび投資戦略アイデアは、各種テクニカル指標を基に週間ベースの想定をしています。
※最終的な投資判断はご自身で行っていただくようお願いいたします。

※「ハーフ&ハーフ」につきましては、4月9日のM2TV『そこが知りたい!ボリンジャーバンドの基本とその応用』をご覧ください。

〇“Pick Up”通貨:米ドル/円、トルコリラ/円
【米ドル/円】 (4/15-19 戦略アイデア) コアレンジ:110.00-112.10円、ハーフ&ハーフ


<投資戦略アイデア>
111.00-112.10円:売り・トラリピ
110.00-111.00円:買い・トラリピ

 上図チャートでは、1) 21日MA(移動平均線)が横向きであること、2) 遅行スパンがローソク足と絡み合う状態であること、そして、3) 各BB(ボリンジャーバンド)が21日MAに対してパラレルに推移していることから、米ドル/円・日足チャートでは典型的なレンジ相場を示すチャート形状となっています。

 よって、足もとの米ドル/円は、約1ヵ月における市場参加者の平均売買コストを示す21日MA(≒111.00円)をベースとして、BB・±2σライン内のゾーン(=110.00-112.10円)を主体とするボックス圏相場となることが想定されます。

 以上を概括すると、次週(4/15-19)における米ドル/円については、21日MAからBB・+2σラインの間のゾーン(=111.00-112.10円、上図黄色四角枠)に『売り・トラリピ』を仕掛け、同時に、BB・-2σラインから21日MAの間のゾーン(=110.00-111.00円、上図青色四角枠)に『買い・トラリピ』を仕掛ける、【ハーフ&ハーフ】を設定するのも一案でしょう。

 21日のイースター(復活祭)を前に、週末19日のグッドフライデーにかけてのポジション調整フローには十分留意し、適宜ストップロスオーダーを設定しつつ、1-2週間を想定スパンとする投資戦略のフォーメーションアイデアとしてご参考にしていただければと思います。<津田>

【トルコリラ/円】 (4/15-17戦略アイデア) コアレンジ:18.80-19.70円、戻り売り


<投資戦略アイデア>
■戻り売り

 上図チャートでは、1) 21日MA(移動平均線)が右肩下がりであること、2) 遅行スパンがローソク足の下方にあること、3) 各BB(ボリンジャーバンド)が右肩下がりの21日MAに対してパラレルに推移していること、そして、4) パラボリック・SAR(ストップ・アンド・リバース)がローソク足の上方にあることから、トルコリラ/円・日足チャートは典型的な下降トレンドを示すチャート形状となっています。

 上図チャートの着目ポイントは2つ。まず1つ目は、前述の通り、パラボリック・SARがローソク足の上方で点灯する「売りサイン」に転換していること。当該シグナルはトレンド転換を示すメルクマールであるため、足もとのトルコリラ/円のトレンドは下向きに転換したと捉えて良いでしょう。

 そして2つ目は、ローソク足がBB・-1σラインと同・-2σラインの間を推移する“下降バンドウォーク”となっていること。よって、これからの時間におけるトルコリラ/円は、徐々に下値を試す相場展開となりそうです。

 以上より、足もとではトルコリラ/円の下降モメンタムの強まりには十分注意すべきでしょう。基本戦略は「戻り売り」とし、値頃感からの安易な買いエントリーは出来るだけ避けた方が無難と考えます。これからの時間において、仮に前回安値である「18.77円」(上図赤色三角印および黒色点線)を下回った場合は、トルコリラ/円の下降モメンタムがさらに強まる可能性を視野に入れるべきでしょう。<津田>


◆ファンダメンタルズ◆
<<相場環境>>
 米ドル円、英ポンド円、トルコリラ円など、三角保(も)ち合いにより相場変動のエネルギーが蓄積されているようにみえる通貨ペアが散見されます(トルコリラ円は既に下放れ!?)。

 米ドル円については、米景気再加速の兆候がみられており、4月17日のベージュブック(地区連銀経済報告)などで行き過ぎた利下げ観測が修正されるようなら上放れするかもしれません。逆に、4月15-16日の日米通商協議などでトランプ政権の保護主義的スタンスが嫌気されれば、下放れの可能性がありそうです。

 ブレグジット期日は10月末まで延期され、合意なき離脱はいったん回避されました。ただし、英政治は引き続き不安定であり、「合意なき離脱」を含めて様々なシナリオの可能性が残されています。メイ首相とコービン労働党党首の協議や保守党内の動き次第で、英ポンドは変動するかもしれません。

 その他、本格化する1-3月期の決算発表を受けた米株価の動き、19日のイースター/グッドフライデー前のポジション調整などにも要注意でしょう。<西田>

【米ドル(/円)】
 米FOMC議事録(3月19-20日開催分)では、「数人の参加者は、適切な政策金利のレンジは今後のデータ次第でいずれの方向へもシフトしうると指摘した」とあり、間接的ながら利下げへの可能性に初めて言及がありました。

 もっとも、景気の先行きに関しては引き続き楽観的でした。「参加者は、今後数年間は持続的な景気拡大、力強い労働市場、2%近辺のインフレ率が最も起こりうるシナリオだとの見方を維持した」とあります。ほとんどの参加者は、景気は2018年に比べてややペースダウンすると予想しつつも、今年1-3月期の景気の弱さは一時的なものだと考えていました。

 結論は、「過半数の参加者は、年末まで政策金利を変更しないことが正当化される可能性が高いと予想した」です。FOMC以降の経済指標は3月の雇用統計をはじめ良好なものが増えており、現状では「年内据え置き」の可能性が高そうです。

 4月11日時点のFFレート(政策金利)先物に基づけば、市場が織り込む確率は「年内利下げ」が49.9%、「年内据え置き」が40.1%、「年内利上げ」が0%です。市場の利下げ観測はやや行き過ぎとも考えられ、それが修正されるならば市場金利の上昇を通じて米ドルがサポートされそうです。逆に、今後の経済データが利下げへの政策シフトを正当化させるような内容とならないか注意は必要です。<西田>

【ユーロ】
 4月10日のECB理事会は、金融政策の現状維持を決定しました。「政策金利を少なくとも19年末まで現行水準に据え置く」とのフォワードガイダンスを維持。また、再開を決定したTLTRO(条件付きで長期資金供給)についての詳細は発表しませんでした。

 ドラギ総裁は理事会後の記者会見で、ユーロ圏経済のリスクは依然として下方向との見解を表明する一方で、リセッション(景気後退)になる可能性は依然として低いとしました。匿名の関係者によれば、ECB当局者は景気減速が悪化していないとの見解で一致したとのことです。
 また、ドラギ総裁はマイナス金利の悪影響を軽減する必要があるか検討するとして、マイナス幅を縮小させる可能性に言及しました。ただし、それは、金融政策の正常化を進める利上げ(≒ユーロ高要因)とは一線を画するものでしょう。

 ユーロ相場については、ユーロ圏の材料以上に、米金融政策見通しの変化(=米ドルの材料)や、これから本格化する自動車関税など米欧貿易問題に注目する必要がありそうです。<西田>

【英ポンド】
 10日の臨時EUサミットで、ブレグジットの期日を10月末まで延期することが決まりました。ただし、それ以前に英議会が協定案で合意してEUがそれを承認すれば、早期の離脱は可能です。一方、協定案で合意できなければ、英国は5月23-26日の欧州議会選挙に参加する必要があります。英国が参加しなければ、6月1日をもって合意なき離脱を余儀なくされます。また、6月20日のEUサミットで進捗をレビューするとのことです。

 結局のところ、英議会が協定案で合意できるかどうか。メイ首相は野党労働党と協議を続けていますが、離脱後に英国がEUの関税同盟に残留するかどうかが焦点になっているようです。コービン労働党党首は関税同盟への残留を求めています。一方、メイ首相は、関税同盟への残留によりEU外の国と自由な貿易協定が締結できないとして、これに否定的です。

 メイ首相は欧州議会選挙前に協定案で合意したい意向ですが、現時点で落としどころは見えていません。問題は先送りされたものの、引き続き「合意なき離脱」を含めて、様々なシナリオの可能性が残ります。

<西田>

【豪ドル】
 RBAは4月2日の会合時の声明で、「理事会は、経済の持続的な成長を支え、長期的にインフレ目標を達成するため、動向を監視し、金融政策を設定していく」との文言を最終段落に追加しました。市場はそれを“政策スタンスが中立から緩和方向へとシフトするシグナル”と解釈し、利下げ観測が高まりました。

 4月16日にRBA議事録(4/2開催分)18日に3月の豪雇用統計が発表されます。議事録では、RBAの政策スタンスについてのヒントが示されるかに注目です。議事録が政策スタンスのシフトを感じさせる内容にならず、また雇用統計も堅調な結果になれば、利下げ観測は後退するとみられます。RBAの利下げ観測の後退は、豪ドルの上昇要因です。<八代>

【NZドル】
 RBNZ(NZ中銀)は3月27日の会合時の声明で、利下げの可能性を示しました。市場では、5月8日の次回会合での利下げ観測もあります。市場の金融政策見通しを反映するOIS(翌日物金利スワップ)では、4月11日時点で5月会合での利下げの確率が29.3%織り込まれています(据え置きは70.7%)。

 NZの1-3月期CPI(消費者物価指数)が17日に発表されます。RBNZは2月の金融政策報告の中で、1-3月期のCPIは前年比+1.6%との見通しを示しました。CPIがその見通しを下回った場合、RBNZは利下げに動きやすくなるとの見方ができます。市場で利下げ観測が高まり、NZドルに対して下落圧力が加わる可能性があります。<八代>

【カナダドル】
 米WTI先物(原油価格)が4月9日に、一時1バレル=64.79ドルへと上昇し、約5カ月ぶりの高値を記録しました。OPEC(石油輸出国機構)と非加盟主要産油国との協調減産、米国による対イラン・対ベネズエラ制裁に加えて、リビアの内戦が激化したことで、供給が一段と引き締まるとの見方が強まり、原油価格を押し上げました。
    
 資源国通貨であるカナダドルにとって、原油価格の上昇はプラス材料です。原油価格は当面、底堅く推移するとみられ、カナダドルは下値がしっかりした展開になりそうです。

 来週(4/15の週)は、カナダの3月CPI(消費者物価指数)が17日2月小売売上高が18日に発表されます。足もとの市場の関心は、BOC(カナダ中銀)の金融政策から離れている感がありますが、CPIや小売売上高の結果次第では、BOCの利上げ観測が再び高まる可能性があります。<八代>

【トルコリラ】
 米国はトルコに対してS-400(ロシア製の地対空ミサイルシステム)の導入をやめるように強く要請していますが、トルコは導入の方針を撤回するつもりはないようです。

 エルドアン・トルコ大統領は10日、「S-400の導入は決定事項だ」と強調し、「(S-400の)納入は7月になるが、前倒しされる可能性もある」と語りました。

 トルコがS-400を導入するかどうかは軍事に関わるため、米国にとって極めて重要な問題と考えられます。トルコが導入を進めれば、米国はある時点でトルコに対して制裁を発動する可能性があり、その場合にはトルコリラ安が加速しそうです。

 トルコリラについては、米国とトルコの関係悪化の他にも懸念材料があります。イスタンブール市長選では、野党候補が僅差で勝利しましたが、エルドアン大統領は不正があったため無効だと主張。再選挙を求める意向を示しました。こうした行動は、政治の不透明感につながるほか、大統領が選挙管理委員会に圧力をかけているとの印象を与える可能性もあります。TCMB(トルコ中銀)の外貨準備高(ネット)の減少もトルコリラにとってマイナス材料です。

 トルコリラは、下落リスクが高まりつつあるように見えます。注意が必要です。<八代>

【南アフリカランド】
 南アフリカランドは4月11日、対米ドルや対円で一時1カ月半ぶりの高値を記録しました。米ドルが全般的に弱含んだことで、ランドは対米ドルで上昇。対円は対米ドルの上昇にけん引されました。

 一方で、今週(4/8の週)発表の南アフリカの経済指標は弱めの結果でした。3月企業信頼感指数は91.8と、2月の93.4から低下。2月鉱業生産は前年比-7.50%、2月製造業生産は前年比-1.8%と、いずれも市場予想の-3.15%、-1.4%を下回りました。

 来週(4/15の週)は、17日に2月小売売上高が発表されます。足もとの南アフリカランドは、国内要因よりも米ドルの動向に左右されやすい地合いです。ただ、鉱業生産などに続いて、小売売上高も軟調な結果になれば、市場は南アフリカ景気の弱さに着目する可能性があります。その場合、ランドは下値を試す展開になりそうです。<八代>



 

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【マーケットView】

マーケットViewは、毎日16時ごろアップの予定です。

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