市場調査部レポート

2019/03/29 13:48【マンスリー・アウトルック】2019年4月の為替相場展望

3月31日のトルコの統一地方選挙の結果を受けて、4月1日以降のトルコリラ相場が大きく変動する可能性があるため、十分にご注意ください。また、ブレグジットに関連して英ポンド相場が変動する可能性もあります。


◆各通貨ペアの4月月間想定レンジ◆

※上記想定レンジおよび投資戦略アイデアは、各種テクニカル指標を基に月間ベースの想定をしています。
※最終的な投資判断はご自身で行っていただくようお願いいたします。

◆テクニカル◆
〇“Pick Up”通貨:米ドル/円、英ポンド/円
【米ドル/円】 (4月戦略アイデア) コアレンジ:108.00-112.00円、ハーフ&ハーフ

 

 上図チャートでは、1) 26週MA(移動平均線)が横向きであること、2) 遅行スパンがローソク足の下方にあること、3) ローソク足の下方にパラボリック・SAR(ストップ・アンド・リバース)があること、4) 各BB(ボリンジャーバンド)が26週MAに対して概ねパラレルに推移していること、そして、5) DMI(方向性指数)で+DI>-DIとなっている(上図赤色点線丸印)ことから、米ドル/円はやや下押し主体のレンジ相場を形成中であることが視認できます。

 本稿執筆(3/29)時点では、青色の雲(=サポート帯)の上辺である先行1スパン(≒110.00円)付近でサポートされていることが確認できるため、当面は当該スパン(≒110.00円)を強く意識する相場展開となりそうです。

 米ドル/円の足もとの重要ラインを【110.00円】と仮定し、前述した各種メルクマールを概括した上で4月の月間投資戦略アイデアを構築すると以下のようになります。

【4月月間投資戦略アイデア】
 先行1スパンを基準とする「110.00円」から3/5時高値レート(上図赤色三角印)を基準とする「112.00円」のゾーン(上図黄色四角枠)を『売り・トラリピ』主体とし、また、26週BB(ボリンジャーバンド)・-2σラインを基準とする「108.00円」から先行1スパンをやや下回る水準を基準とする「109.90円」のゾーン(上図青色四角枠)を『買い・トラリピ』主体の戦略フォーメーションとする<ハーフ&ハーフ>

 適宜ストップロスオーダーを設定しつつ、投資戦略アイデアとしてご参考としていただければ幸いです。<津田>

【英ポンド/円】 (4月戦略アイデア) コアレンジ:141.50-148.90円、ハーフ&ハーフ


 上図チャートでは、1) 26週MA(移動平均線)が横向きであること、2) 遅行スパンがローソク足と絡み合う状態となっていること、3) ローソク足の下方にパラボリック・SAR(ストップ・アンド・リバース)があること、4) 各BB(ボリンジャーバンド)が26週MAに対してパラレルに推移していること、そして、5) DMI(方向性指数)で+DI>-DIとなっている(上図赤色点線丸印)ことから、英ポンド/円下方硬直性を伴うレンジ相場を形成中であることが視認できます。

 本稿執筆(3/29)時点では、約半年間における市場参加者の平均コストである26週MA(≒144.20円)付近がサポートラインとなっていることから、当面は当該MA(≒144.20円)を比較的強く意識する相場展開となりそうです。

 英ポンド/円の足もとの重要ラインを【144.20円】と仮定し、前述した各種メルクマールを概括した上で4月の月間投資戦略アイデアを構築すると以下のようになります。

【4月月間投資戦略アイデア】
 26週MAを基準とする「144.20円」から3/14時高値レート(上図赤色三角印)を基準とする「148.90円」のゾーン(上図黄色四角枠)を『売り・トラリピ』主体とし、また、26週BB(ボリンジャーバンド)・-1σラインを基準とする「141.50円」から26週MAをやや下回る水準を基準とする「144.10円」のゾーン(上図青色四角枠)を『買い・トラリピ』主体の戦略フォーメーションとする<ハーフ&ハーフ>

 適宜ストップロスオーダーを設定しつつ、投資戦略アイデアとしてご参考としていただければ幸いです。<津田>


◆ファンダメンタルズ◆
<<相場環境>>
 3月31日のトルコの統一地方選挙後に、エルドアン大統領は経済(物価統制)や市場への介入を控えるでしょうか。継続するようであれば、政府の介入を嫌う外国資金の流出(=トルコリラ売り圧力)が止まらなくなる恐れがあります。

 ブレグジットにも引き続き要注意です。メイ首相の協定案が可決されなければ、4月12日の「合意なき離脱」が意識されるでしょう。一方で、英国が長期延期を申請すれば、EUが承認する可能性が高く、その場合英ポンドはいったん上昇するかもしれません。

 米国では、イールドカーブの逆転が一部(3カ月物TBと10年物国債の間)で発生し、リセッション(景気後退)懸念が高まっています。先物市場はFRBが年内に利下げに転じる確率を80%近く織り込んでいます(利上げの確率は0%)。米景気は減速しつつも比較的底堅く、市場の利下げ期待は強すぎるようにみえます。ただし、イールドカーブの逆転が拡大・長期化しないか、2-10年物国債の利回りが逆転しないか、注意する必要はありそうです。

 米中の通商協議は進展するか米中首脳会談は実現するか、注目されるところです。両国が合意に近付きつつあるとの報道はあります。ただ、合意の履行などに関して課題は残っているようです。米国は合意を急がない構えであり、協議が継続する可能性もありそうです。また、対欧州での自動車関税問題や、日米通商協議に新しい動きがみられるかもしれません。

4月の主なイベント:

【米ドル(/円)】
 米国の過去5回のリセッション(景気後退)の前には、必ずイールドカーブの逆転が起きました。3カ月物TBと10年物国債の利回り差でみたイールドカーブの逆転は、最長17カ月、最短8カ月、平均12.2カ月、リセッションに先行しました。

 ただし、過去5回と今回では大きな相違点があります。2年物国債と10年物国債の利回りが依然として逆転していないことです。過去5回のリセッションでは、2年物国債と10年物国債のイールドカーブの逆転も必ず起きました。そして、その先行期間は最長23カ月、最短10カ月、平均16.2カ月でした。

 つまり、2年物国債と10年物国債のイールドカーブの逆転は、3カ月物TBと10年物国債のイールドカーブの逆転より平均4カ月早く発生していました。しかし、今回は前者のイールドカーブ逆転は発生していません。もちろん、だからといって米国がリセッションを回避できるとの保証はありません。



 今後のチェックポイントは・・・
 ・3カ月物TBと10年物国債のイールドカーブ逆転が長期化・拡大しないか
 ・2年物国債と10年物国債のイールドカーブが逆転しないか

 それらが確認できれば、2020年後半ごろのリセッションが想定されそうです。ただし、市場はそれを意識した段階で相場に織り込む(=株安や米ドル安など)ので、今後の経済情勢やイールドカーブの変化を注意深く見守る必要はあるでしょう。<西田>

【ユーロ】
 3月27日、ECBのドラギ総裁はマイナス金利の弊害に言及し、必要であれば副作用を緩和する措置を取ると述べました。日本同様、マイナス金利が金融機関の収益悪化に繋がっているためだとみられます。ECBは2014年6月にマイナス金利を導入し、段階的に深掘り(マイナス幅を拡大)してきましたが、限界を認めた格好です。
 ユーロ圏の景況悪化に対して、ECBは3月の理事会でTLTRO(条件付き長期資金供給)を再開しました。今後、ECBはマイナス金利を縮小(=利上げ)する一方で、TLTROの強化や、日銀方式の長期金利コントロールなどで金融緩和の強化を検討する可能性があります。そうした動きを受けてユーロ相場の変動が大きくなるかもしれません(*)。
 (*)金融緩和の強化はユーロ安要因ですが、市場がマイナス金利の縮小を金融引き締めと誤解すれば、一時的にユーロ高になる可能性もあります。<西田>

【英ポンド】
 メイ首相は3月29日にブレグジット協定案の議会採決を行う予定ですが、本稿執筆時点で協定案が可決される見通しは立っていません。

 結局のところ、最もありうるシナリオは、協定案が可決されないまま4月12日の離脱日が迫るというものでしょう。ただし、英保守党内のごく一部の離脱強硬派以外は「合意なき離脱」を望んでおらず、期限を設けない、あるいは1年以上の長期延期をEUに申請することになるかもしれません。その場合、EUは受け入れざるをえないと思われます。

 ブレグジットが長期に延期されるとすれば、英ポンドは上昇しそうです。ただし、その前に「協定案が否決された」とのニュースに対して、「4月12日の合意なき離脱」の懸念から英ポンドが大きく下げる反応はあるかもしれません。

 一方、協定案が可決された場合、「5月22日の秩序だった離脱」は英ポンドの上昇要因となりそうです。ただし、メイ首相の後を継ぐ新たな首相が将来の英国とEUの関係に関してEUとどのような交渉を行うかが、長期的な英ポンドの方向性を決めることになりそうです。<西田>

【豪ドル】
 RBA(豪中銀)が4月2日に政策金利を発表します。政策金利は現行の1.50%に据え置かれるとみられますが、声明の内容が豪ドルの動向に影響を与える可能性があります。

 RBAは“次の政策変更は、利上げと利下げのいずれもあり得る”とし、金融政策について中立的なスタンスを示しています。4月2日の声明は、政策スタンスが“緩和方向”へとシフトしつつあることが示唆される可能性があります。米FRBやECB(欧州中銀)、BOC(カナダ中銀)などがハト派色を強めているほか、同じオセアニアの中銀であるRBNZ(NZ中銀)に至っては利下げの可能性まで示しました。こうした状況のなかで、RBAがこれまでのスタンスを維持すれば、豪ドルに対して上昇圧力が加わる可能性があるためです。

 RBAの政策スタンスが“緩和方向”へシフトした場合、豪ドルは上値が重い展開になりそうです。一方、“中立”的な政策スタンスが維持されれば、豪ドルは堅調に推移する可能性があります。ただし、中立的なスタンスが維持されたとしても、市場ではRBAの利下げ観測は残存するとみられます。そのため、豪経済指標の弱い結果が続けば、豪ドルの堅調さは長続きしないかもしれません。

 4月に発表される豪主要経済指標は、2月住宅建設許可件数(2日)2月小売売上高(3日)4月ウエストパック消費者信頼感指数(10日)、3月雇用統計(18日)です。

 豪ドルは、投資家のリスク意識の変化(リスクオン/リスクオフ)に反応しやすいという特徴があります。主要国の株価動向や米中通商協議に関する報道にも注意が必要です。<八代>

【NZドル】
 RBNZ(NZ中銀)は3月27日、政策金利を過去最低の1.75%に据え置きました。据え置きは16会合連続です。

 RBNZは今回、金融政策スタンスを“中立(利上げと利下げの両にらみ)”から“緩和方向”へとシフトしました。声明では、「世界経済の見通しの弱まりや国内支出の失速を踏まえると、政策金利の次の方向性は下向きの可能性が高い」と表明。利下げを示唆しました。2月13日の前回会合時は「政策金利の次の方向性は、上向きか下向きの可能性がある」でした。また、「政策金利を2019年から2020年にかけて現在の水準に維持すると予想する」との文言も今回削除されました。

***

 このところ、主要先進国中銀は相次いで金融政策スタンスをハト派方向にシフトしています。ただ、その中でも、次の政策変更について“利下げのみ”に言及したRBNZのハト派色の強さは際立っているように見えます。RBA(豪中銀)も金融政策スタンスをシフトしましたが、それでも「利上げと利下げの可能性は均衡」です(以前は「利上げの可能性が高い」でした)。

 市場では、RBNZの早期利下げ観測が浮上しており、一部には5月にも利下げが行われるとの観測もあります。利下げ観測を背景に、NZドルは当面、上値が重い展開になりそうです。

 NZの1-3月期CPI(消費者物価指数)が4月17日に発表されます。CPIがRBNZの2月時点の見通しである前期比+0.2%、前年比+1.6%を大きく下ブレする結果になれば、早期利下げ観測は一段と高まる可能性があります。<八代>

【カナダドル】
 BOC(カナダ中銀)は3月6日に政策金利を1.75%に据え置きましたが、フォワードガイダンス(金融政策の方向性をあらかじめ示したもの)を以下のように修正しました。
 <これまで>
 ・「インフレ目標を達成するため、政策金利を時間をかけて中立レンジまで引き上げる必要がある」
 <3月>
 ・「見通しは引き続き中立レンジを下回る政策金利を正当化する」

 3月の声明では、BOCの利上げバイアスが後退し、金融政策スタンスが“より”中立”的なものへとシフトしたことが示されました。その一方で、声明は「将来の“利上げ”時期についての不確実性が高まった」と利上げに言及する一方、利下げへの言及はなく、次の政策変更は利上げとBOCが見ていることも示唆されました。

 BOCの次回政策会合は4月24日。それまでBOCの金融政策の先行きについて、市場の見方が大きく変化することはなさそうです。主要国中銀が利上げから遠ざかるなか、BOCが利上げの可能性を残していることは、カナダドルの下支え要因となりそうです。また、原油価格(米WTI先物)が高止まりしていることもプラス材料です。カナダドルは当面、底堅い展開になりそうです。<八代>

【トルコリラ】
 3月31日(日)にトルコの統一地方選が行われます。選挙の大勢は、日本時間4月1日の早朝にも判明する可能性があります

 統一地方選では、イスタンブール、アンカラ、イズミルの三大都市の市長選が特に注目されており、それらの結果が地方選における勝敗の重要な判断材料になるとみられます。

 市場は、AKPが地方選に敗れた場合に、エルドアン大統領がバラマキ的な政策の強化やTCMB(トルコ中銀)に対する利下げ圧力の増大へと動くことを懸念しています。上述した三大都市(特にイスタンブールやアンカラ)の市長選でいずれか1つでも敗れれば、市場は“地方選はAKPの敗北”と判断して、トルコリラ売り圧力を強める可能性もあります。

 地方選でAKPが勝利すれば、エルドアン大統領はバラマキ的な政策を縮小し、TCMBに対する利下げ圧力を弱める可能性がありますが、自身の政権運営が信任されたとみなして独裁色をさらに強めることも考えられます。トルコリラにとって、前者はプラス材料とみられますが、後者はマイナス材料と考えられます。

 トルコリラについては、地方選の結果だけでなく、選挙後のエルドアン大統領の言動にも注意が必要です。<八代>

【南アフリカランド】
 米格付け会社のムーディーズが3月29日に南アフリカの格付け見直しを発表します。ムーディーズにおける南アフリカの格付けは、投資適格級最低の“Baa3”。本稿執筆時点では、その結果は明らかになっていませんが、仮に格下げされれば、ジャンク(投機的等級)へと転落します。

 市場では、格付けは今回据え置かれるとの見方が有力ですが、格付け見通しが「安定的」から「ネガティブ(弱含み)」に下方修正されるとの観測があります。その通りになれば、将来的な格下げの可能性が意識されて、南アフリカランドは上値が重い展開になるかもしれません。一方で、格付けが据え置かれ、かつ「安定的」の格付け見通しも維持されれば、南アフリカランドの上昇材料になるとみられます。

 南アフリカランドについては、トルコリラの動向にも注意が必要かもしれません。トルコリラが下落を続けた場合、南アフリカランドなど新興国通貨全体に下落圧力が加わる可能性もあります。<八代>



【マーケットView】
マーケットViewは、毎日16時ごろアップの予定です。

※動画のアップ時間は前後する可能性があります。

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